今回の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「年始恒例“巳年の相場格言”と“2025年の経済マーケット展望”」というテーマでお話を伺いました。
(左から)宗正彰さん、マンボウやしろ、山本里菜
◆巳年は相場のピークを迎える年になる?
山本:今回、宗さまには「年始恒例“巳年の相場格言”と“2025年の経済マーケット展望”」についてお話しいただきます。
やしろ:年始に必ずこのコーナーで触れている、十二支の相場の格言です。巳年はどんな内容でしょうか。
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やしろ:近年の相場の格言、株式市場は実際にその通りになっているのでしょうか?
宗正:ほぼ一致しています。辰年の前の年は卯(ウサギ)年です。格言では卯跳ねるって言うんですけど、2023年の株式市場はたしかに跳ねました。干支を逆に遡っていくと分かりづらいので、2020年の子(ネズミ)年から見ていくと、この年は日経平均株価が1万6,000円台から年末には2万7,000円台にまで上昇した年です。
やしろ:あの年は確かにすごく上がりましたよね。
宗正:コロナ禍の最初の年です。格言では、子(ネ)は繁盛と言います。日経平均株価はその後、4万円台に達しましたが、4万円台を目指して弾みがついたのがこの2020年の子(ネズミ)年。
翌年は2021年で丑(ウシ)年です。相場格言は丑つまずき、確かにこの年は株価の上昇が一旦落ち着きました。
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やしろ:そういうことなんですね!
宗正:株式市場はこの年、一定の範囲内で乱高下しました。格言通りでした。寅年の次が卯年で、先程の最初の話に戻ります。つまり、近年の株式市場の動きは、ほぼ相場の格言通りなんです。
やしろ:12年のサイクルで言うと、卯年、辰年、巳年の3年間でピークを迎える感じですか?
宗正:そうですね。相場の格言通りになれば12年の中では今の3年間がピークを打つ年にはなります。
やしろ:この3年間が株式市場の上昇する流れの年なんですね! その最後の1年が今年は来ると。
宗正:でも気を付けなくてはいけないのが、来年2026年の午(ウマ)年です。午尻下がりと言って、相場の格言では株式市場が下がる年になります。
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宗正:格言と呼ばれるものの多くは、先人の豊かな経験と知識に裏付けされています。干支の相場格言も、江戸時代の米相場から脈々と受け継がれてきたものです。ある程度は当たらないと、そもそも受け継がれないのが格言ですから、そう考えると信じるに値しますし、投資家が相場の格言を意識することで、株式市場もその内容に引っ張られてしまう可能性もあります。
やしろ:なるほど!
宗正:株式市場では、理屈では説明できないけれど、あるタイミングや一定の条件下でそうなりがちといった現象を「アノマリー」と呼びます。相場の格言も広い意味でのアノマリーと言ってもよいかもしれないですね。
◆新NISAのメリットと注意点を解説
やしろ:続いて、2025年の経済マーケット展望です。でもその前に、昨年2024年の注目ポイントを3つ挙げていただけますか?
宗正:まず1つ目は、昨年から始まった「新NISA」でしょうね。株式や投資信託で得た利益にかかる税金が、一定の条件下で0円になる。これはけっこう大きいですよ。
例えば、投資で得た利益(リターン)が10万円だとします。通常の税率は20.315パーセントですから、2万315円が税金で持っていかれます。100万円のリターン場合には、さらにその10倍です。「新NISA」の開始は日本の個人投資家の数の急増といった現象も引き起こしています。
従来のNISA(旧NISA)と比べて年間投資額の上限も一生涯の上限額も大幅に引き上げられて、投資期間も無期限になったというのが新NISAです。ただ、誤解してはいけないのは、あくまでも一定の条件下で一定額の税金が非課税になるという制度だということです。投資のリターンが必ずプラスになるという制度ではありません。
やしろ:そこの認識は必要ですよね!
◆2025年に留意すべき経済のポイントは?
宗正:昨年2024年の2つ目のポイントは、マイナス金利政策の解除です。政策金利の引き上げは17年ぶりのことで、金融政策の正常化、そして金利のある時代に大きく舵を切ったのが昨年です。
3つ目のポイントは、昨年は選挙イヤー(選挙の年)だったということで、世界的に各国の首脳を決める選挙が集中しました。中でも当然と言えば当然ですが、注目すべきは日本とアメリカですよね。
「政治と経済は車の両輪」と私はこのコーナーでよく言っていますが、政治の動きはここから先の経済を決めるベースになります。そういう意味では10月の日本の衆議院議員選挙、そして11月のアメリカの大統領選挙。共和党のトランプ氏の圧勝は、いずれも2025年の今年の経済活動につながる動きです。
やしろ:今年につながるということで、今年2025年の注目ポイントはズバリいかがでしょうか?
宗正:1つ目はやはりトランプ大統領の就任です。1月20日の第47代アメリカ合衆国大統領の就任式の内容には世界中が注目しています。これまでのアメリカの政策が180度変わると思っておいた方が良さそうですね。期待もしつつ覚悟も必要です。
やしろ:大きくルールが変わるようなことも起きるかもしれませんね。
宗正:関税の引き上げについてはトランプ氏のことですから、十中八九やってくると思います。一方で、エネルギーの増産支援にも言及しています。原油などの増産は、エネルギー価格の低下につながります。このこと自体は日本にとって朗報ですが、輸入品なのでその時の為替次第、トランプ政権下におけるアメリカの金融政策にも大きく左右されます。
直近でも、トランプ氏が大統領選で優位に立てば、アメリカ株やビットコインが急上昇したりもしてきました。日本の株式市場も、トランプ政権の政策の影響を大きく受ける1年になりそうです。
その他に今年注目すべきポイントは、7月の「参議院議員選挙」と「東京都議会議員選挙」。1年を通じて「本格的な金利上昇が始まる年」「金利のある時代『元年』」になりそうだという点ですね。
◆いよいよ名実ともに日本が超高齢化社会に突入
やしろ:経済やマーケットの動き以外に今年注目すべきことは何かありますでしょうか?
宗正:「2025年問題」があります。団塊の世代の全国民が75歳以上、つまり後期高齢者になるのが今年です。団塊の世代は日本の第一次ベビーブームに生まれた世代で、1947年から1949年に生まれた人たちのことです。
今年2025年を境に、医療や介護需要の急増、そして生産年齢人口の減少が同時に起きます。つまり、社会保障制度や経済活動に大きな影響を与える動きがいよいよ今年から始まります。名実ともに日本が「超高齢化社会」に入るのが今年です。
やしろ:数年前から言われていたことですが、いよいよ今年から本格的な動きになるんですね。
宗正:さまざまなシーンで効率化を進めていかないと、この国は立ち行かなくなります。
やしろ:2025年は経済的に見ると前向きなニュースもあれば、ちょっと怖くなることもありますね。それでも、格言通りにいけば日本の株式市場は上がるだろうと。
宗正:そこは格言通りになることを期待しつつ、努力すべき点は自ら進めて行く、そんな意識が必要ですね。
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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月〜木曜17:00〜19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ〜)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/
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