「アメリカの航空会社の機内で水を飲むのは危険」という調査結果が出て、旅好きや飛行機を利用する回数の多いアメリカのビジネスマン&ウーマンたちが騒然としています。(初公開日は2019年1月20日 記事は取材時の状況)
◆機内サービスの飲料水には大腸菌がウジャウジャ!?
ハンターカレッジNYCフードポリシーセンターが行った調査は、11の航空会社で機内提供されているスナックの栄養価と機内で利用される水道水の質について聞いたもの。
センター理事長のチャールズ・プラトキン教授は『ニューヨーク・ポスト New York Post』の取材に対し、「機内サービスで水をオーダーするのはやめたほうがいい。もちろん(その水を使った)コーヒーや紅茶なども」と結論付けました。
素早い離発着の繰り返しを指示されている乗組員たちのプレッシャーは測り知れず、飲料水の品質検査は後回しになってしまいがちというのが、今回の調査で分かったこと。旅客機のウォータータンクは、フライトごとに洗浄されるものではないのです。
2004年に旅客機の機内で提供される飲料水から大腸菌が検出されて以来、米国環境保護庁は各航空会社に“年4回のウォータータンク洗浄”を義務付けています。
しかし、報告については業界団体や各航空会社に任されており、プラトキン教授は「自己申告では意味がない。実際にはタンクはほとんど洗浄されていないだろう」と警鐘を鳴らしています。
◆怖いのは飲料水だけじゃない、トイレ後の手洗いにも注意!
『インサイダー Insider』によると、2017年に行われた米国環境保護庁の調査でも、米国旅客機全体の12%にあたる8機中1機の飲料水が安全面の基準に到達していなかったといいます。
2年続けての最悪な結果にも関わらず、業界団体のスポークスマンは「厳しい管理条件のもと定期的に検査を行っている」と反論。
航空会社数社は四半期ごとのタンク洗浄にハイテクオゾン除菌装置を利用しているため、問題があるわけがないと主張しているらしいのですが……。
フライトアテンダントたちの多くが「勧められても機内でのコーヒーや紅茶は飲みたくない」と答えているため、どうやら業界や企業側の言い分を鵜呑(うの)みには出来なそう。
実際、米国最大の客室乗務員組合(The Association of Flight Attendants-CWA)は、現在の規定では水の品質管理を十分にすることができないことを認めていると米国版『ビジネス・インサイダー Business Insider』が報じています。
飛行機に積まれるウォータータンクの水は飲料用だけではなく、洗面台の手洗い用にも使われています。そのため、用を足した後に手をきれいに洗ったつもりでも、逆にバイ菌だらけになっていることも考えられるとか。
今後、米系航空会社を利用する時はペットボトルの水と消毒用のハンドサニタライザーが必需品になりそうです。
・「New York Post」
・「Insider」
・「Business Insider」
<文/アメリカ在住・橘エコ>
【橘エコ】
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。