【第1回】から読む。
前回からの続き。出産後のママたちは、体に大きなダメージを受けています。そして育児がスタートすれば、睡眠時間が削られてしまうことも。そのようなママたちこそ、適切な寝具を選ぶことが大切かもしれません。また赤ちゃんとママが一緒に寝ることもあるでしょう。その方が夜中の授乳やオムツ替えもしやすくなりますが、睡眠の質を考えると好ましくない場合も。この記事では西川株式会社でスリープマスターをされている眠りのプロ田中大地さんに、ママたちの寝具や睡眠についてお話を伺いましょう。
布団のなかの温度や湿度で快適な睡眠を
――産後のママさんたちの寝具選びについて、教えていただけますか?
スリープマスター田中大地さん(以下、田中さん):出産をしたママさんは、体に大きなダメージを受けています。安静にして体を休めてほしいので、敷き布団は「体圧分散」と「寝姿勢保持」に着目していただきたいです。
体圧分散と寝姿勢保持についてはこちら
――秋から冬にかけての季節は寒さが強くなるので、対策が必要になってきますね。
田中さん:布団のなかの理想的な温度は33±1℃、湿度は50±5%RH(相対湿度)とされています。これを保つためには寝具の組み合わせが重要になってきます。例えば室温が10度以下の場合には、羽毛かけ布団(1.2kg)にウール毛布や真綿かけ布団などを加えることになります。室温が20度前後になると、羽毛かけ布団(0.7〜1.0kg)に真綿かけ布団(1.0kg)になるので、使う布団が違ってきます。住環境も関係しますし、冷え性であればブランケットをプラスするなどの対応が必要になるでしょう。
――かけ布団の素材に関してはいかがでしょうか?
田中さん:いろいろな素材のかけ布団がありますが、冬の時期であれば羽毛かけ布団やウール毛布、真綿ふとんなどが良いでしょうね。天然素材で暖かく、湿気を吸収して発散してくれるので布団内の湿度も保てます。ウールには吸湿発熱と言って、湿気を吸うと発熱する機能があるので、寝ているときは特に暖かさを感じるのではないでしょうか。ただ最近はポリエステルやレーヨンなどの人工的な素材でも、いろいろな機能がプラスされていることもあります。自分にとって必要な機能が備わっているのかも1つの選び方になりますね。
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赤ちゃんと一緒に寝るのは避けたほうがいい!?
――ママたちは赤ちゃんと同じ布団で寝ることもあると思います。夜中の授乳やオムツ替えがしやすいですから、近くにいた方がいいんですよね。
田中さん:実は睡眠の観点でいうと、赤ちゃんは親と別の布団で寝るのが理想なんです。赤ちゃんはベビーベッド、ママさんパパさんは大人用の寝具ですね。赤ちゃんが大人用の寝具で寝ると敷き寝具に顔が埋まってしまい窒息の恐れがあります。それにかけ布団が顔にかかってしまうリスクもあります。もっと理想的なことを言うと、部屋も別にするのがおすすめです。大人と赤ちゃんでは生活リズムが違うので、当然寝るリズムも違ってきます。一緒に寝るとお互いに影響しあってしまい、なかなか眠れなくなってしまうこともあります。赤ちゃんだから一緒に寝たい気持ちもわかりますが、別々に寝るのはお互いのためなんです。
――ちなみに田中さんには9ヶ月のお子さんがいらっしゃるとのことですが、別に寝ているのですか?
田中さん:子どもが1人で寝られるように、寝室を別にしています。生活のリズムが大切なので、できるだけお風呂や授乳、寝る時間をほぼ同じにしています。もちろんできない日もありますが、続けていると1人で寝てくれるようになりましたよ。そして朝は太陽の光を浴びるために窓際に連れていき体内時計を整えるようにしています。
編集後記
産後のママさんたちにとっても、「体圧分散」と「寝姿勢保持」は敷き寝具選びのポイントになるようですね。また赤ちゃんと一緒に寝ることに関しても、意外なアドバイスがありました。両親と赤ちゃんは別々に寝る方がいいとはいえ子どもが泣いてしまったりするとつい一緒の布団へ。ここは親心を優先してもいいのかもしれませんね。
※取材は2024年11月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。
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取材、文・川崎さちえ 編集・ここのえ イラスト・ももいろななえ
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