付き添い家族を「食」で支援。おせちと年越しそばのミールプログラム

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2025年01月21日 16:01  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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入院する子どもの家族を支える「ミールプログラム」

子どもが入院する際に、特に重い病気の場合は家族が何日も付き添うことになりますが、入院患者である子どもには病院食が出る一方、家族には食事が出ないことがほとんどです。

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そのため、家族には精神的、肉体的、さらには経済的にも負担が伴います。
今回取材をしたのは、付き添いの家族に手作りの食事を月に一回くらいのペースで無償で提供する「ミール・プログラム」です。

この「ミール・プログラム」の活動を行っている「認定NPO法人 キープ・ママ・スマイリング」の理事長、光原ゆきさんに、この活動をするに至った経緯について伺いました。

「認定NPO法人 キープ・ママ・スマイリング」の理事長、光原ゆきさん
「私自身の長女、次女ともに先天性の疾患を持って生まれてきたこともありまして、子どもたちの入院と一緒に私自身も泊まり込んで過ごしていたという経験があります。
私自身が付き添っている中で、やっぱり一番つらかったのが『ご飯』だったんです。

付き添う親にはご飯が出ないのがほとんどですので、本当に毎日、売店やコンビニで買ったものを隙間の時間に食べていました。
やっぱりコンビニって割高だったりするので、他のお母さんたちの中には自分の食費を削る方も多かったです。
そこでこのような、食べられない、眠れない、長期になると体を壊すという過酷な環境を何とかしたいなと。
この環境をより良くすること、そして今付き添っている方を応援することをやりたいなと思って、団体を立ち上げたのがちょうど10年前です」

入院している子どもの付き添いのために台湾からきている親も…

ミール・プログラムが実施されている「ドナルド・マクドナルド・ハウス せたがや」という施設は、子どもの治療や入院に付き添うために遠方から来ている家族が、一人1日1000円で滞在できる施設です。
せたがやハウスに実際に滞在している家族にこのような食事の支援を受けられることについて聴きました。

「せたがやハウス」滞在者
「実家は北海道で、今は台湾で生活しているので、東京にちょっと身寄りがいなくって・・・。

せたがやハウスだと病院の施設の中に滞在施設があるということで、病院からもすすめられてここに決めました。
急に難病の子どもをもつとなったときにすごくショックで、しかも1人で看病しなきゃいけないということですごく不安はあったんですけれど、食事を提供してくれる『ミール・プログラム』はそういったところに寄り添ってくれて、1人じゃないんだなって思えることを食を通じて感じています」

この滞在者の娘は、発達の遅れや難聴などの症状が出る「ムコ多糖症」という難病で入院しています。
せたがやハウスはこのような希少難病の子どもなどを受け入れている「国立成育医療研究センター」に隣接していて、そこに子どもが入院している家族が付き添いのために遠方から来ているケースが多くあります。

話を聴いたこの滞在者は朝10時から面会時間ギリギリの夜9時まで付き添いをしていて日々クタクタになって帰宅するため、「ミール・プログラムはとてもありがたい」と話していました。

食を通じて、付き添い家族に季節を感じてもらいたい

今回は大晦日に取材をしました。

そのため、この日はボランティア15名ほどが集まってせたがやハウスのキッチンを借り、おせちと年越しそばを作っていました。

おせちのメニューを考えたキープ・ママ・スマイリングのメンバーで管理栄養士の中野あまねさんに話を聴きました。

管理栄養士の中野あまねさん
「今年は、1回目に作ったときに好評だった松風焼きっていう鶏肉の和風ハンバーグを入れるっていうことと、野菜をできるだけ入れたいなと思って、去年からお煮しめという筑前煮みたいな料理を入れたりして、少しでも栄養を取ってほしいなって思っています。

子どもにとって親が元気でいることが一番のできることというか支えだと思うので、まずは食べて、お母さんたちお父さんたちに元気になってもらって、それで子どもがその笑顔を見て元気になったらいいなということで食べることからサポートしていけたらいいなと思っています」

ほかにもおせちのメニューには「栗きんとん、昆布巻き、かまぼこと伊達巻、エビの生姜煮、田作り、黒豆煮、紅白なます」などがありました。

理事長の光原さんは「病院に泊まり込みだと季節感をなかなか感じられないので、おせちと年越しそばで少しでも季節感を感じてほしい」と話していました。

入院環境をより良くしてもらうことも子どもの権利

最後に、このような活動を続けている光原さんに今後の活動への思いを聴きました。

「認定NPO法人 キープ・ママ・スマイリング」の理事長、光原ゆきさん
「自分がつらいとき、入院しているときに大切な人に付き添ってもらうっていうのは、『子どもの権利なのだ』なのだ、というのが私達の活動の核となる考え方です。

だから付き添っている親御さんにより良い環境を作ることも含めて、その子の入院・療養環境を良くしていくということ。その良い環境を作ってもらうことが子どもの権利なんですよね。なので、そこの権利を大事に私達は伝えていきたいなと思っています」

キープ・ママ・スマイリングでは、今回のような食支援活動以外にもお弁当を各地の病院に届ける活動や日用品などを詰め込んだ「付き添い生活応援パック」というものを全国の病棟に届ける活動もしています。

今回の食支援活動をはじめ、このような活動は寄付金によって運用されており、銀行振り込みやふるさと納税などで活動を応援することできます。

 (TBSラジオ「人権TODAY」担当:恒藤泰輝)

このニュースに関するつぶやき

  • これは素晴らしい取り組みだと思う。自分は介護だったが、親とはいえ他人のお世話って本当に自分の時間が取れない。トイレに行く時間も躊躇う程。保険もそういうオプションが有れば、少しは備えられると思う。
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