下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
まだまだ中居正広問題の激震が続き、当初口をつぐんでいた当事者たちが対応を迫られている。中居本人のコメント、フジテレビ社長の会見、フジ『めざまし8』での報道――。
しかし、それらは決して自発的なものではなく、またしても海外からの“外圧”がきっかけとなった。今回の問題はタレントの性加害という問題だけでは済まない日本のマスメディアの問題でもある。その事なかれ主義、不遜な隠蔽体質は、ジャニー喜多川氏の性加害という大スキャンダルを経ても全く変わっていなかった。
目次
・今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3
・中居正広問題で露呈したメディアの性加害に対する問題意識の希薄さ
・フジテレビに対しても鋭く切り込む「女性セブン」
・「女性自身」と「週刊女性」、後追い特集のありえない内容
・もしジャニーズ事務所が解体されていなかったら?
・Snow Man・向井康二とデート報道の相手
今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3
第731回(1/9〜1/21発売号より)
1位「中居正広 引退工作『さらばテレビ』」
「フジテレビは1年半前から知っていたのに…テレビ局は『切り捨て』『見殺し』香取慎吾も『手のひら返し』」(「女性セブン」1月30日号)
2位「中居正広 生き残り賭けて引退宣言の大博打」(「女性自身」2月4日号)
同「中居正広 起死回生かけるSMAPへの哀訴」(「週刊女性」2月4日号)
3位」「Snow Man向井康二 美女ゴルフタレントと『熱々ラウンドデート』」(「女性セブン」1月30日号)
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中居正広問題で露呈したメディアの性加害に対する問題意識の希薄さ
ということで、中居正広問題だ。事態が進むにつれあぜんとさせられるのが、日本マスメディアの腐った現状だ。
中居は国民的アイドルグループの元リーダーであり、冠番組をいくつも持ち、名MCとして知られる超有名人だが、当初マスメディア、特にテレビはこれをスルーしようとした。もちろん事件に加担したといわれる当事者のフジテレビもしかり、だ。このまま嵐が去るのを待てば今まで通り、喉元すぎればなんとやら――。そんな安易な思惑だったのだろう。実際、そうなりかけていた。
ところが、今回もまた“外圧”が降臨した。フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスの株主2位の米投資グループ「ダルトン・インベストメンツ」がフジの対応に激怒、「我々は憤慨しています」と第三者委員会の設置を求めたのだ。
フジは震え上がった。速攻で定例会見を前倒して社長会見を行った。そして港浩一社長ら幹部が第三者の弁護士を中心とする調査委員会を立ち上げることを発表。なんとも情けないが、しかしフジはまだまだ狡猾だった。この調査委員会は自分たちの都合の良い人選が可能で、日弁連(日本弁護士連合会)のガイドラインに基づくものではなかったからだ。
そもそも港浩一社長自身が、女性局員やアナによる“異常な接待文化”を作った張本人の1人との報道もあるから、過去をほじくられるとヤバイということもあるのだろうか。
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今回も露呈したメディアの性加害に対する問題意識の希薄さは、こうした人物がいまだに企業幹部として鎮座していることに他ならない、そう考え得ざるを得ない事態でもある。
当然、フジの報道も噴飯物だった。1月20日、情報番組『めざまし8』ではこの問題を取り上げたが、MCの谷原章介は、「今、世の中で出回ってる情報は臆測であったり伝聞であったり、きちんと裏が取れてない情報というのが本当に数多く出回っている」などとエクスキューズし“臆測や”伝聞“という言葉を繰り返した。その上で「臆測ではなく、われわれが確証、確信を持ってお伝えできる情報のみを、お伝えした」などと発言したのだ。
おいおい、この番組ってフジだよね? 自社で起こっている問題だよね? 何もわからないなんて、まるで他人事だし、報道機関としても失格としか言えない。さらに言えば、臆測や伝聞を招いたのは、フジテレビをはじめとする関係者の対応そのものに他ならない。
でも他人事なんだよねー、自分たちは知る立場にないってことなんだろうけど、報道に携わる人間としていかがなものか。頑張って調べる気もないんだね。なんだかね〜。
フジテレビに対しても鋭く切り込む「女性セブン」
ということで、この問題をスクープした「女性セブン」は今回も中居問題を取り上げ、フジテレビに対しても鋭く切り込んでいる。
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中居は昨年暮れ、地元繁華街で友人たちと痛飲、仕事関係の大物に身の振り方を相談して“引退”も口にしていたという。さらに大きな波紋を呼んだ中居のコメントにあった「今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」という文言の舞台裏を「巨額の違約金回避」ではないかと、こう指摘した。
「降板するとしても、それはあくまで取引先の判断。自分は誠意を尽くし、芸能活動も継続できる状態を整えたという体裁を取ることで、巨額の違約金を回避する狙いがあったのではないか」(芸能リポーターのコメント)
さらにフジに対してもこう批判した。
「“被害者”となった女性から1年半前に相談を受け、以前からトラブルも存在を認識していたフジテレビの責任を問う声は大きい」
当然だろう。また過去に女性アナを接待要員として参加させた事例も紹介される。
もちろんスキャンダルの最大の当事者は中居本人だ。しかし、テレビやマスメディアといった巨大組織が中居だけにその責を負わせようとする姿は、あまりに不条理でグロテスクという他ない。
これまで散々重宝して起用して持ち上げて、視聴率を取ってもらって金儲けもさせてもらって、しかし一気に見殺し、手のひら返し。大スターとはいえ大組織企業の前では、あまりに儚い。
「女性自身」と「週刊女性」、後追い特集のありえない内容
そんな中居問題について「女性自身」「週刊女性」も後追い特集を組んでいるが、しかし新たなネタがないのだろう。その内容はしょぼい。
まずは「自身」。フジでは今後の中居起用は二度とない、周囲の関係者も中居から離れているし仕事仲間も手を差し伸べられず静観、今となってはジャニーズ事務所独立を後悔、など中居をめぐる状況をおさらいし、その上で引退を勧告する。その理由はというと「けじめをつけて引退することが、将来の復帰の可能性を残す」だって。ない、ない!
そして「週女」も中居の起死回生策について“ありえない”提案を。
「やはりSMAPのメンバーの手を借りることではないでしょうか」
「4人への“哀訴”が最後の手段かもしれませんね」(テレビ局関係者のコメント)
ない、ない。
もしジャニーズ事務所が解体されていなかったら?
追記。「週女」ではテレビ局の女子アナ接待について、各局で起こりうるトラブルだとして業界全体で規定を作ることが提案されている。それほどテレビ局の接待問題は深刻という証左だ。
そして思う。今回の中居スキャンダルが朋友・松本人志にどんな影響をもたらすのか。
さらに思う。もしジャニー喜多川氏の性加害問題を発端とし、巨大芸能事務所ジャニーズ事務所が解体されていなかったら、「セブン」は中居スキャンダルを報じたのだろうか、と。事件は闇に葬られてしまったか可能性はあるのか、と。メディアの闇は深い。
Snow Man・向井康二とデート報道の相手
そんな中で明るい(?)ニュースが。Snow Man・向井康二とゴルフYouTuberのなみきのゴルフデートを「女性セブン」が報じている。だがこの記事で一番興味深かったのは、「セブン」の直撃を受けたなみきの反応だ。
「私なみきじゃないです。たなかです」「YouTubeもやっていない」「ゴルフもやってない」と答えたなみき。やはりトップアイドルとの交際は、見え透いた嘘をついてでも否定しなくてはならないのか――。