火を使う経験が少ない現代の子供たち ガス会社が進める「火育」で火おこし体験 火を扱う正しい知識を身につける

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2025年01月22日 12:00  まいどなニュース

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マッチやライターに頼らず自力で火を起こしてみる(場所:瓜破小学校/画像提供:ミライフ西日本株式会社)

火を扱う機会が少ない現代の子供たちに、昔ながらの火おこし体験をしてもらう「火育(ひいく)」の取り組みを行っているミライフ西日本株式会社。火を扱えるようになると、災害時にも役立つことがあるという。同社の経営企画部に取り組みの狙いを聞いた。

【写真】作業の手元をアップで見る…これは難しそうだが!?

災害時に役立つ「火」を扱える正しい知識と体験

ミライフ西日本株式会社(以下、ミライフ西日本)は、西日本エリアでLPガス・電気・灯油等のエネルギー販売事業を展開している。昨年12月14日、大阪市立瓜破小学校で行われた「みんなの運動会2024」の中で、30人の児童と保護者が参加し、火きり板と火きり棒を使って摩擦熱で火をおこすワークショップを行った。

ミライフ西日本では、子供を対象に、火を身近に感じて正しく扱う知識を身につけ、火おこし体験をしてもらう「火育」の取り組みを2022年から実施している。

「オール電化が普及し、火に触れる経験を持つ子供が減っています。ガス会社として何かできないかと考えました」

配管を地中に埋設する都市ガスは、いったん破壊されると復旧まで長い時間を要する。ミライフ西日本の主力商品であるLPガスは、ボンベで持ち運びができ、ボンベとコンロを設置するだけですぐに使えるのが強みだ。ただ、そのためには「火を使ったことがある経験」が必要というわけだ。

「災害時に炊き出しを行う際、火を扱える人がいないために大変な作業になったという声を聞いています。また、火の消す際も怖いという方がいらっしゃるようです」

災害時にはライターやマッチが手元にあるとは限らないため、摩擦熱を利用した火おこしの手順を知っておいて損はない。子供たちには楽しみながら火を扱ってもらうことも狙いのひとつ。そしておこした火を使い終えたら、正しく消すことが大事であることも教えるのだという。

「オール電化の普及で日頃は火を使わないし、小学生の親御さんの世代でも『久しぶりに火を使った』という人がいました」

火は扱い方を間違えると危険だが、正しく扱うと、食材を調理したり暖をとったり、人の命を維持したり救ったりできるエネルギーとなる。「火育」は、子供のときから知識と体験を積む貴重な機会になるだろう。

「火を怖がらず、正しい扱い方を知ってもらう活動は、今後も進めていきたいです。子供たちを対象にしたイベントは、引き続きやっていきたいと考えています」

そして子供たちへは「火のおこし方を覚えても子供だけでせず、必ず大人と一緒にやること」と注意を促した。

余談ながら、取材の過程で「火育マイスター」という民間資格があることを知った。大阪ガスが推進している体験型プログラムや学習プログラムを通して子供たちの「火育」をサポートする、民間の認定資格だそうだ。安全な手順を踏んで火おこしを行う講習会を受講して取得するが、認定条件は、ガス事業者及び関係会社従業員であることが必要とのこと。

さて、ミライフ西日本では、年3〜4回のペースで「火育」の取り組みを行っている。直近では2月22日に阿弥陀地域交流センター(兵庫県高砂市阿弥陀町阿弥陀1173番地の1)で「おかげ村子ども食堂」と高砂消防署が協力のもと、火災や防災に関する講話と「非常食ごはんづくり」が予定されている。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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