3COINSから実売4千円台のネットワークカメラが登場した。パン(左右)/チルト(上下)の首振りに対応しており、室内にいるペットを外出先からスマートフォンで見るなどの用途に使える製品だ。市販されている同等の価格帯にあるカメラと比べた場合の違いはどこにあるのだろうか。実機を購入したのでレビューをお届けする。
●パン/チルト操作に対応 珍しいベージュカラーを採用
本製品の外観はパン/チルト対応カメラによくみられる、球形ボディーに円柱状の台座が取り付けられた構造になっている。上下にチルトする際は球状の上部が、左右にパンする時は台座の下部が、それぞれ可動する構造だ。
カメラの喉元にはメモリカードスロットがあり、microSDメモリーカードを差し込んで映像を記録できる。電源はUSBで、本体背面に付属のUSB Type-Cケーブルを挿して使用する。
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他社製品と比較した場合、おそらく唯一無二といえるのが本体色がベージュであることだ。現行のネットワークカメラはほぼ全てがホワイトベースであり、ごくまれにブラックがある程度で、本製品のようなベージュカラーに筆者はお目にかかったことがない。ホワイトだと室内で浮きすぎるという場合、この本体カラーは強みになるだろう。
●録画先はメモリーカード スタンドアローンでの利用が前提
セットアップの手順は至ってシンプルで、スマホアプリが製品を認識すると画面にQRコードが表示されるので、それをスマホのカメラに読み取らせるだけで済む。一般的なネットワークカメラと比較しても簡単な部類に入るので、初心者でも迷わないだろう。
アプリをざっと見た限り、一通りの機能はそろっている。パンおよびチルトの操作は、十字キーを用いて行うだけではなく、プレビュー画面そのものを上下/左右にスワイプすることでも行える。あまり細かい角度の調整は得意ではないが、この価格帯の製品であまり欲張るのは酷だろう。
また複数のカメラ方向を登録しておくことで、ワンタップでカメラをそちらに向けられるので、室内に観察したいポイントが複数ある場合に便利だ。パン/チルト対応のカメラでもこの機能が用意されている製品は少ないので、大きな利点と言える。
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被写体の動きを検知すると通知してくれる、モーション検知機能ももちろん搭載している。本製品で撮影/録画を行うには本体にメモリーカードを挿入する必要があるが、モーションを検知した瞬間のプレビューだけは本体内に記録されるので、メモリーカードなしでも何が起こったのかはきちんと知ることができる。
スピーカーを使ってカメラ付近の音声を聞いたり、マイクを使ってこちらから話し掛けたりするなど、双方向のやり取りにも対応する。さらに、暗闇でも撮影が可能なデイナイトモードも備えているので、夜間の監視にも適している。
この他、特定条件でカメラを動作させるシーン設定をサポートするが、本製品とリンクさせられるデバイスや条件は少ない上、設定画面が直訳で分かりづらく、実用性はあまりない。また、Alexaとの連携メニューも用意されているが、試した限りAlexa側からは本製品を認識できなかった。取り扱い説明書でも言及されていない機能であり、基本的にスタンドアローンで使う前提で考えた方が良いだろう。
●上下方向の可動範囲が狭い点は要注意
さて、本製品の売りの1つに、自動追尾機能がある。カメラの前を被写体が横切ると、それを見失わないよう画角を変えて追尾するという、パン/チルトカメラではおなじみの機能だ。本製品は屋内用ということで、部屋の中に入ってきた人物の他、室内で飼っているペットの動きを追うのが、主用途になると考えられる。
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ただし実際に使ってみた限り、機能は最小限といったところだ。被写体がいったんカメラの前に現れて静止し、そこから人間がゆっくり歩く程度のスピードで移動する程度の動きならばしっかりと追従するが、カメラから距離が近すぎる場合や、止まらずに小走りで横切るなどの素早い動きだと、反応すらしないこともしばしばだ。
また同等の機能を持ったWebカメラの中には、追従しきれずに被写体をロストすると左右に首を振って探すような製品もあるが、本製品はロストして動きを止めるとそれっきりだ。こうなると、室内で走り回っているペットを観察するような用途では、期待したような映像は得られない可能性が高い。
一方で被写体をロストした場合、数十秒経つとカメラはホームポジションの位置へと戻るので、自動追尾を常時オンにしておいても支障はない。とはいえあまり過剰な期待はせず、手動操作を併用する前提で考えておいた方が良いだろう。
これに関連して気になったのは、上下方向の可動範囲の狭さだ。真上を向けられないのは実用上それほど支障がないのだが、水平方向から下に向けることもほぼ不可能なので、戸棚の上に設置して部屋全体を俯瞰(ふかん)で撮影するといった使い方はできない。ちなみに、仕様上は上40度、下15度となっている。
そのため、例えば床面に置いたペットのケージを撮影したければ、それと水平の位置、つまり床の上か、少なくとも床から数十センチ低い位置に置く必要がある。置き場所の選定は慎重に行った方がいいだろう。
一般的にパン/チルト対応のカメラで下方向の撮影をメインに行いたい場合、天地を逆にして天井に取り付ける方法がよく用いられるが、本製品は天井に固定する方法が用意されていないので、こうした使い方も不可能だ。天井設置用のオプションパーツが付属する競合製品に比べると不利なポイントだ。
●価格相応だが致命的な欠点はなし 入門用にはよい選択肢
以上のように、他社製品と比べて際立った特徴はなく、カユいところに微妙に手が届かない部分は少なからずあるが、実売4千円台のネットワークカメラとしては一通りの機能を備えており、致命的な欠点はない。アプリをインストールして約1カ月になるが、余計な通知を飛ばしてくることもないし、アプリが広告を表示して目障りといったこともない。このあたりはプラス評価だ。
一方で、データはメモリーカードによるローカル保存でクラウド録画には対応しないため、カメラ本体の盗難や破損によってデータも丸ごと失われてしまうリスクはあり、複数台の本格的な併用も想定されていない。このような部分は、ネットワークカメラとしてはどちらかというと旧世代に属する製品で、最新のトレンドをカバーできていない点は把握しておくべきだろう。
とはいえ、スマホだけで操作が完結するというのは、こうしたIT系のデバイスに不慣れなユーザーにとってもハードルが低く、扱いやすいことは間違いない。また説明書などを見る限り、専業メーカーであるグリーンハウスがサポートを行っているようなので、素性の知れない海外メーカー製品のように売りっぱなしで、後はノンサポートといった心配もない。入門用としては、良い選択肢と言えそうだ。
なお、これは他のスマホ向けネットワークカメラと同様だが、利用にあたっては、自宅内にWi-Fiルーターがあることが必須になる。IT系のデバイスに詳しい人にとっては当たり前だが、そうでない人にとっては意外な落とし穴になる可能性はある。購入にあたっては、こういった利用環境も事前に確認しておきたいところだ。
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