デポルティーボは22日、主将FWルーカス・ペレスが個人的な事情により、クラブを退団するを発表した。
“デポルの王”が、愛するクラブに3度目の別れを告げる。ガリシア州ラ・コルーニャ出身のL・ペレスは、1989年9月10日生まれの現在36歳。かつては、アーセナルやウェストハム、アラベスなどでもプレーした。そして、生まれ故郷のクラブであるデポルティーボには、プロキャリアを通して計3度も在籍。2014年夏に初めて“ブランキアスール(青と白)”のシャツを纏うと、翌2015−16シーズンは公式戦19得点11アシストを記録。また、2度目の加入となった2017−18シーズンも公式戦9得点8アシストを挙げていた。
2023年冬。3度目となる加入は、伝説的なエピソードとして永遠に語り継がれるだろう。当時、ラ・リーガのカディスに所属していたL・ペレスは、3部リーグに低迷する古巣を救うべく復帰を決断。その際に、なんと契約解除金の半分にあたる約50万ユーロ(8300万円)を自腹で払い、年棒も10分の1程度、同時にサウジアラビアから届いたとされる高額オファーも蹴ったのだ。マネーゲームと化した現代フットボールにおいて、「ずっと家に帰りたいと思っていた」と身銭を切ってカテゴリーを2つ下げた“漢気”は、なんと高尚なものだろうか。
さらに、この物語を美しいものとたらしめているのは、翌2023−24シーズンにリーグ戦12得点17アシストを記録して、デポルティーボを5年ぶりとなるセグンダ(2部)復帰に導いたからだ。特に、勝てば昇格が決定する中で迎えたバルセロナBとの一戦で、スコアレスの57分にL・ペレスが直接FKをゴール右下に突き刺し、この1点がそのまま決勝点となった。2004年にチャンピオンズリーグでミランを4−0と粉砕した、『エスタディオ・デ・リアソール』で復権への第一歩を踏み出した出来事は、クラブの新たな歴史として刻まれている。
今シーズンも公式戦20試合でプレーしており、主力として活躍していたL・ペレス。そうした中でのクラブ退団となったわけだが、家庭の事情を理由に挙げるとともに、クラブ側との齟齬が生じていたことも明かした同選手は「僕が無私無欲にここに来て以来、難しい家庭環境を経験しており、双方にとって状況は悪化している。クラブのためにも、僕にとっても、これが最善の決断だと思っている」としつつ、「クラブは1月3日から、僕の家族が複雑な状況にあることを知っていた。チームメイトに会い、別れを告げることにしたよ。彼らは最高だった。一緒に泣き、抱き合ったあの瞬間は忘れられない思い出だ」と述べている。
デポルティーボの名門復権は道半ば。復帰初年度となる今シーズンは第22節終了時点で、15位と残留争いに身を置いている。きっと描いていた別れ方とは違うが、L・ペレスが見せた“漢気”がいつの日か開花することを期待しよう。