2番手から決勝に挑む初参戦の太田格之進「想定よりうまく進んでいる。優勝を狙える力は充分ある」/デイトナ24時間

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2025年01月24日 15:40  AUTOSPORT web

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アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシングから2025年デイトナ24時間に参戦する太田格之進
 予選が終わり、いよいよ1月25日(土)に決勝スタートを迎えるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レース。今回は、これまで日本のレースでステップアップを重ねてきた太田格之進が、アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシングの93号車アキュラARX-06でシリーズデビューを飾るとあり、事前テストの段階から注目を集めてきた。

 太田が乗り込む93号車は、1月17〜19日の公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』から好調ぶりを見せつけ、23日の予選ではニック・イェロリーのアタックにより2番手を獲得。絶好の位置から、24時間の長丁場へと臨むことになる。

 予選を終えたところで、太田に現在までの手応えと、決勝への展望を聞いた。

■的確な改善に感じるチームの力

──11月の公式テスト参加以降、ロア・テストに向けてはどんな準備をしてきたのでしょうか?

太田格之進:インディアナポリスにある(HRC USの)シミュレーターにて走行を実施し、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイというサーキットへの習熟はかなり進めた状態で今回の本番に臨めているかなと思います。今まで何回も乗ってきましたが、新年が明けてからもシミュレーターを実施し、より実戦に向けた準備をしてきたという状況です。

──ロア・テストで太田選手が担当したメニューの大まかな内容、マシンの仕上がりはいかがでしょうか。

太田:24時間レースということで、チーム一丸となり決勝に向けたセットアップをつくっていく中、それぞれが特別なメニューをというよりは、フィードバックをしながら、決勝に向けてクルマの安定感を高め、高い次元で走るクルマづくりを進めてきました。

 チームメイトたちと自分のコメントには一貫性がありますし、チームはフィードバックを的確にマシンに対して反映してくれているので、決勝に向けたクルマづくりは良い感じで進んでいると思います。レースがすぐ近くまできているので、特に僕と(アレックス・)パロウ選手は、ドライバー交代の練習をより重点的にやってきました。時間に余裕がない中でドライバーチェンジをし、そこで順位変動も起きるので、しっかり身体で覚えることを重点的にやってきました。

──11月のテストと比べた際に、今回のテストではどんな違いを感じましたか。

太田:まず、一番大きく違うのは気温です。前回のテストでは比較的暖かくて、半袖でも居られるような気温でしたが、今回は『本当にフロリダにいるのか?』というような寒さで、そこが一番違うかなと思います(※予選日のデイトナ・ビーチの最低気温は4℃程度)。

 レース中はもちろん急ぐ気持ちがありつつも、ピットアウト後にコールドタイヤで出ていく時の走り方は非常に難しいですし、攻めないといけないものの、リタイアしてしまうことがないように、細心の注意を払わなければいけないので、そこが練習でも重点的にやっている部分です。

 マシンのセットアップは前回よりも進んでいると思いますし、前回チームに対してドライバーが言ったこと、改善して欲しいと言っていたところが的確に改善されており、すごくチームの力を感じます。

──前回のテストからは出走台数も増えていますが、そのあたりはいかがでしょうか。

太田:トラフィックは前回のテストよりも圧倒的に多いですし、毎周毎周、練習走行から対処していかなければいけないのはチャレンジングです。レースでは接触せず、なおかつタイムをロスせずトラフィックに対処していかなければいけないので難しいですが、スーパーGTやスーパー耐久の経験が活きていると思います。

 ナイトセッションは、そこまで暗くないですね。チームメイトも言っていますが、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイは比較的明るい方です。後ろから来るクルマはライトが眩しいので正直見えないですが、チームには優秀なスポッターがいて的確に後ろの車の位置を教えてくれます。あまり心配はしていませんが、油断せずにやっていきたいと思います。

──ロア・テストではフルコース・イエローのシミュレーションにも参加したかと思います。

太田:フルコース・イエローについては日本とまったくルールが違うので、特別難しいというわけではないものの、ルールを覚えなければいけません。仮に周回遅れになったとしてもフルコース・イエローでゲインできる量、取り返せる量が大きいのがIMSAのルールなので、仮にトラブルなどで遅れても最後までチャンスがあります。それを生むのがフルコース・イエローの特殊なルールなので、最後まで気を抜けないし、(もし何かトラブルがあったとしても)最後まで諦めずにレースをしなければいけないと思います。

■アレックス・パロウの求心力

──フリープラクティスでは、どのようなメニューを担当しましたか?

太田:特別これをやる担当というよりは、セッションごとにチームのセットアップに対して、同じようなメニューをドライバーごとにやっていくことが多いのかなと思います。それに対してのフィードバックをもとに次のセッションでセッティングを変えていく。特別、ドライバーごとに仕事を分けることはしておらず、メインのポイントとなるのは決勝のペースなので、それぞれの選手が周回数も同じ周回数を走れるようにしています。そういう部分は耐久レースの特徴だと思います。

──チームメイトとは、どんなコミュニケーションをとりながら進めているのでしょうか。

太田:ニック(・イェロリー)選手、レンガー(・バン・デル・ザンデ)選手はかなり経験のあるドライバーで、ふたりとも速いですし、いろいろなことを聞きながらやっています。ドライビングで速く走らせるためのというよりは、IMSAのルールだったり、ドライバー交代だったり、特殊な事例や、ピットアウト後の走り方、トラフィックについて、経験がものをいう部分を丁寧に教えてくれます。非常に明るいですし、良い関係を築けています。

 一発の速さを求めて走るということはしていないので、同じような状態で比べることはあまりできないし、難しいですけれども、しっかりと比較して、ロガーやオンボードを見ています。お互いの走りに対してためらうことなくこうした方が良いかもねというところを、僕からも言うし、向こうからも言うし、お互いより良くしていこうと同じ方向に向かって進められています。

 (アレックス・)パロウ選手については、インディカーであれだけの成績を残していて日本でも速かったので(速いのは当然として)、一番思うのは求心力があるところだと思います。その求心力というのは、何に対してもしっかりとためらいなくコメントすること。こうした方が良い、とすごくはっきり言うという印象です。速さはもちろん速いですが、どういうふうにチームを進めていくかを見ていて、それぞれ3人からいろんな学びや刺激をもらいながらやれています。

■寒い夜にカギとなるウォームアップ

──現状の、レースに向けた課題を教えてください。

太田:比較的トラフィックの対処は問題なく進めていますし、正直思ったよりもうまくいっていると感じています。一番不安視しているのは、ナイトセッションにニュータイヤで出ていった時のウォームアップです。大きなミスをしないこと、慎重に行きながらもタイムを失ってはいけない緊張感の中でうまく走るために、集中してビルドアップしていかなければいけません。

 特別ここが足りていないというところは正直ないので、ある程度は自信を持って、ひとりの、チームを支える選手としてやっていきたいなと思います。

──決勝に向け、ライバル勢との相対的な勢力図をどう見ていますか?

太田:勢力図に関しては、速さの点でいうと、BMWがとても速そうだなと感じています。予選結果にそのまま表れていますが、練習からBMWが少し抜けているなという印象です。決勝がどうなるのか分かりませんが、我々は充分戦えるクルマを持っています。現状では少しBMWが速いけれども、充分捉える力とリソースはあるので、まったく心配はしていないです。

──改めて、太田選手が今回のデイトナ24時間レースで目指すもの・目標とするところを教えてください。

太田:事前の自分の想定よりもうまく進んでいますし、クルマのポテンシャルも高くて、充分に優勝が狙えるだけの力が、我々にはあると思っています。

 24時間のレースなので、シンプルに速さやペースだけでは語れない難しさがあり、ひとりひとりがミスなく、全員がそれをやっていくことが一番重要だと思います。もちろん速さを見せつつも、IMSA独自のルール、フルコース・イエローで何が起こるかわからないので、その時その時にやれることをしっかりミスなくやることに尽きると思います。

 トラフィックも強烈だし、ナイトセッションもあるし、とにかく長いレースなので過酷ですけど、その点を一番意識してやれば、結果は自ずとついてくると思います。

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