「ダービー馬ダノンデサイル(牡4歳)の参戦により、例年よりも注目度が高まっていますね」と、研究ニュースの藤田浩貴記者が語るGIIアメリカジョッキークラブC(中山・芝2200m)が1月26日に行なわれる。
注目のダノンデサイルは、前走のGI有馬記念(12月22日/中山・芝2500m)でも3着に入線。それからわずか1カ月後、それもこの時期のGIIに出走とあって、大きな話題となっている。
当然、1番人気が予想されるが、過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は2勝、2着3回。ここ3年は馬券に絡んでおらず、その信頼度は決して高くない。2015年には、同じくGI馬のゴールドシップが有馬記念3着から出走。1.3倍という断然の支持を得ながら7着と、あえなく馬群に沈んでいる。
そういう意味では、ダノンデサイルも絶対視するのはどうか。波乱ムード漂う一戦と言える。
実際、過去10年の馬連の平均配当は6000円超え。3連単もすべて万馬券。2022年には、70万円超えの高額配当も飛び出している。
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そこで、藤田記者は今年のレースで好配当をもたらしてくれそうな伏兵馬を2頭、ピックアップした。1頭目は、マテンロウレオ(牡6歳)。3歳クラシックでは、イクイノックスやドウデュースらとしのぎを削ってきたハイレベルな世代の1頭だ。
「昨年は、GI天皇賞・春(4月28日/京都・芝3200m)での13着大敗から、時間をかけてオーバーホールを実施。精神面でのリフレッシュを図ったことが功を奏し、およそ7カ月半ぶりに臨んだGIII中日新聞杯(12月7日/中京・芝2000m)で3着と好走しました。
同レースでは気難しい面を見せることなく、中団のインで折り合って、直線では狭いところを割って伸びてきました。先週のGII日経新春杯(中京・芝2200m)を楽勝した2着ロードデルレイとはアタマ差。完全復活を印象づけました。
久しぶりの実戦をこなしたあともメンタル面は安定していて、1週前の追い切りでは長めから追って好時計をマーク。一度レースを使ったことで上積みも十分。今回はハンデ戦の前走より斤量も軽くなるだけに、一段と高いパファーマンスを発揮してくれるのではないでしょうか。
鞍上は、人気のダノンデサイルの長所も短所も熟知している横山典弘騎手。しかも、同騎手は過去にこのレースをなんと7度も勝っている"エキスパート"。トリッキーな中山・芝2200mの舞台で、アッと言わせる存在としては申し分ないと思います」
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藤田記者が推奨するもう1頭は、ライラック(牝6歳)だ。
「近走はふた桁着順が続いていましたが、前走のGIエリザベス女王杯(11月10日/京都・芝2200m)では不向きな展開ながら、メンバー最速タイとなる上がり33秒9の末脚を繰り出して、6着と奮闘。3着のホールネスとはタイム差なしで、着順以上に中身の濃い内容だったと言えます。
その走りから、まだまだ"枯れていない"ことを証明。明け6歳の牝馬とはいえ、割引の必要はないと思います」
勝ち鞍は3年前のGIIIフェアリーS(中山・芝1600m)以来遠ざかっているが、その後も中山ではGIII紫苑S(芝2000m)で3着と善戦し、一昨年のGII日経賞(芝2500m)でも牡馬相手に4着と健闘。今回と同じ芝2200m戦のエリザベス女王杯でも、2着(2022年)、4着(2023年)、6着という結果を残しており、好走の条件はそろっている。藤田記者が続ける。
「前回がテン乗りだった石川裕紀人騎手が、継続騎乗となるのもプラス材料。同騎手とは手が合っているようで、この中間もほぼ毎週のように稽古に乗ってコンタクトを取っています。今回は、さらに一段階踏み込んだ騎乗ができると見ています。
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ちなみに、管理する相沢郁厩舎は、2014年、2015年と当レースを連覇。一発への期待がますます膨らみます」
今年のAJCCはダノンデサイルの話題一色となりそうだが、はたしてレースの行方はどうか。トリッキーな舞台にあって、思わぬ伏兵の台頭も大いに考えられる。それが、ここに挙げた2頭、しばらく勝利から遠ざかっている6歳馬たちであってもおかしくない。