アルビレックス新潟レディースは皇后杯決勝で三菱重工浦和レッズレディースと対戦し、延長・PK戦の末に準優勝となった。開始11分に失点を喫するも、徐々に流れを掴むと28分にエースの滝川結女が同点弾。その後は一進一退の攻防でスコアは動かず、PK戦までもつれ込む決勝に相応しい熱戦となった。
新潟Lを率いる橋川和晃監督は「最高の相手チームと最高のゲームをすることができました。最後の結果だけが出なかったですが、選手たちは120%ファイトしてくれました。我々は挑み続けるしかないですし、挑み続けてくれる選手たちだと思うので、また休んでリーグ戦再開に備えていきたい。本当に最高だったという一言です」と総括した。
今大会は5回戦から登場し、朝日インテック・ラブリッジ名古屋(なでしこリーグ1部)、マイナビ仙台レディース、日テレ・東京ベレーザを撃破。12月から1月にかけて行われる大会のため、降雪の影響により地元・新潟で満足に練習ができないこともあった。そんなハンデを感じさせない戦いぶりを見せ、8大会ぶりに皇后杯決勝進出を果たした。準決勝の東京NB戦も延長・PKの接戦となった中、守護神・平尾知佳がPKを2本ストップ。さらに下吉優衣、横山笑愛、田中聖愛の“10代トリオ”がPKを成功させ、期待の若手選手の活躍も光った。10番を背負う上尾野辺めぐみも「若い子たちが決勝に連れてきてくれたと思っているので、感謝しかない」と称えている。
昨年のWEリーグカップ(現クラシエカップ)、そして今大会と橋川監督就任以降2季連続での決勝進出。悲願のタイトルはもう手の届くところまで来ている。「一発勝負の中で勝ち切れていることは底力があると思う(上尾野辺)」。「運だけで決勝に来ることはできないですし、自力が付いてきている(川澄奈穂美)」と経験豊富なベテラン選手たちも口を揃えて手応えを語ってくれた。平尾は「橋川監督は若手を育てながら、中堅・ベテランを起用してうまくチームを作ってくれています。橋川監督に付いて行って、タイトルを獲りたい」と指揮官への想いを述べている。
リーグ戦では首位・東京NBと勝ち点8差の6位と上位に付けており、3月に再開する後半戦でさらなる高みを目指す。その中で上尾野辺は「リーグ戦でもカップ戦のような気持ちでもっと戦っていかないといけない」と話す。“本気でタイトルに挑む”をテーマに掲げる今季、橋川監督は「これからも挑み続ける」ことを力強く宣言した。
「女子サッカーは浦和、ベレーザ、INACがいて、広島がその壁を破ってタイトルを獲得しています。我々もその壁に挑み続ける。それだけです。一人ひとりの成長は小さな一歩かもしれないけど、みんなが成長することによって大きな壁を乗り越えることができると思っています(橋川監督)」
キャプテンを務める川澄は「一緒にタイトルを獲りたいと思える仲間がいることは幸せですし、また(決勝に)戻ってきて次こそはタイトルを獲得できるように努力していきます」と前を向いた。頼もしいベテラン選手、橋川監督のもとで成長を続ける中堅・若手選手が揃う今季の新潟L。悲願成就へ、“本気でタイトルに挑む”戦いはこれからも続いていく。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)