現役ホステスが見た、夜の街で横行する“上納システム”の実態。「イヤだ」と泣く女性を無理矢理…

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2025年01月26日 16:20  日刊SPA!

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大阪・北新地などのキャバクラを経て、現在は銀座のクラブにホステスとして勤める筆者(36歳)
 大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。「年金高いな〜」とゲンナリする一方で、年金受給者からのお布施(飲み代)でもって生活している私って勝ち組なんじゃないかとたまに思ったりもする今日この頃です。
 その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信させていただいております。

◆夜の街では“上納システム”が常態化
 
 いま、一連の報道で取りざたされている“上納システム”、いわゆるピンク接待ですが、夜の街でも常態化しているのは言わずと知れたこと。

 バカスカとシャンパンを飲んでお店の売上を支えてくれる太いお客様には、あーんなことやこーんなことができる女の子があてがわれる、というわけです。悪代官が「よいではないか」と囁いて、帯をくるくるとほどき、頬を赤らめた女性が「あ〜れ〜」となるアレです。

 ここであてがわれる女の子ですが、女の子自らが志願する場合を除いて、ほとんどはママのひと声で決まります。とはいえ、志願兵はそうそういません。となれば、ママに「行け」と背中を蹴られる形で、いわば強制的に……というわけです。

 今回は「夜の街で横行する上納システムの実態」について解説してみたいと思います。

◆お爺ちゃんの武勇伝
 
 これは大阪・北新地のとあるクラブに勤務していた頃のお話です。週5日、毎日欠かさず飲み歩き、1軒のお店に滞在する時間はせいぜい45分と短く、それでいて「シャンパンでもワインでも好きなものを飲め」と気前のいいお爺ちゃんがいました。今からもう10年以上も昔の話になりますが、当時ですでに80歳を超える後期高齢者であったと記憶しています。

 そんな彼が酔っていい気分になると時々ですが、某クラブの帯くるくる要員と思われるホステスとハワイ旅行をした際の話を聞かせてくれました。

 当然ながらお爺ちゃんはダブルルームを予約しており、ハワイでゴルフや食事を楽しんだ後は、お部屋でその彼女と事に及びました。

 覚悟を決めてハワイくんだりまで来てはみたものの、ブヨブヨに太った汚い裸体を目の当たりにしてイヤになったのか、はたまたはなからそういうつもりはなかったのか、彼女は「イヤだ」と泣いたそうです。

◆「イヤだ」と泣く彼女を無理矢理

 さて、お爺ちゃんですが「イヤだ」と泣かれた程度ではひるみません。無理矢理ひん剥いてやった、という話を悪びれる様子もなく、むしろ自慢気に話して聞かせてくれました。

「あいつ天井を見上げたままひと声も発さないんだよ」「マグロだな、あれは」と言って、彼はケタケタと笑いました。声もあげずにじっと耐えた彼女のことを想像すると「怖かっただろうな」と思います。それを笑って話すお爺ちゃんに心底ゾッとしました。

 ブヨブヨに太ったお爺ちゃんにここまでしてやったのに、そのうえマグロだなんだと私のようなどうでもいいホステスにまで言いふらされるなんて悲惨です。

◆のべつくまなしに消費し続けるおっさんへ

 彼女が自ら志願してハワイまでついて行ったのか、はたまた、ママに背中を蹴られて無理矢理飛行機に搭乗させられたのかは知りません。ただ、まだ右も左もわかっていないようないたいけな素人さんほど、都合よく動いてくれる“コマ”として使われてしまいがちなのは確かです。

 そういう業界です。今は雑誌やSNS等で有名キャバ嬢さんが活躍していらっしゃるおかげか、夜の街に生息する我々の様な女にも市民権が与えられつつあるようですが、雑誌やSNS等で目にするようなキラキラな世界とは、実態が大きくかけ離れています。ましてや、憧れの目で見られていいようなものでは全くありません。

 上納システムが常態化しているため、そこで長らく遊んでいる男性には、例えば女性を泣かせるようなことをしてしまった場合においても、自身の「加害性」について自覚させることはほぼ不可能。それをあの手この手でいなして、転がすのも腕の見せ所でしょうが。

 常態化した上納システムが及ぼす弊害は大きく、一部の男性にとって女性というものは、我々のような売り物からそうでないものまで区別なく、男性の手によって好き勝手にもみくちゃにしてもよいものである、というとんでもない誤解を生んでいる気がします。

 バストの大きな女性がいたらジロジロ見てもいいし、なんならちょっと触ってみちゃうし、「乾杯オッパイ」などの軽いものからそうでないものまで様々な言葉でからかってもよいのである、という間違った認識があまりにも一般的になりすぎています。

 それはとんでもない誤解です。乳デカ女をからかってもいいのは、サービス料+TAXなど、飲み代の他にバカ高い料金が発生する飲み屋さんで遊ぶ場合のみです。あなたが無遠慮にジロジロ見ているそこの彼女は売り物ではありません。お気を確かに。

◆「イヤだ」と泣かれたときは

「いやよいやよも好きのうち」なんてことは、「いやよ」と言っている本人ではなく、どうせ嫌がられているおじさんが言い出したことなのだろうけれど、イヤにはイヤ以外の意味はありません。ところが、「据え膳食わぬは……」となぜかキリっとした顔で挑んでくるおじさんがあまりにも多すぎます。

 言葉の裏を読むのがあまりに苦手で、こちらの社交辞令や嫌味まであまりにも文面通りに受け取り「イケメンだとはよく言われます」「実年齢より若く見えるとはよく言われます」などと、ときはにかみ、ときに胸を張って生きているあなたたちおじさんは、どうして「イヤだ」だけは「イヤだ」のまま理解してくれないのでしょうか。

 本当に愚かです。「イヤだ」と泣かれた時点でとどまるべきです。

 ましてや、ホテルまで来たんだから、部屋まで来たんだから、「そういうことができるものだと思った」なんてことが、泣いて嫌がっている人を力づくで犯しても良い理由になんてなるわけないでしょ。

 ですが、「部屋まで来た時点で同意なんだ」とする声が多いのも事実です。ならば、男性というのは言葉が通じない上、腕力だけは数倍あるバケモノだと認識しておく必要があるでしょう。「男はオオカミなのよ」という歌があるけれど、狼だとちょっとカッコ良すぎるので、ゴリラとかにしておきましょう。

◆憧れと現実
 
 今回は、「夜の街で横行する上納システムの実態」についてお話しました。当時80代のお爺ちゃんというのは、欲求を抑制しないことを社会に許容され続け、なんならそれが男らしさであるとさえ教育されてきた人たちです。

 そんな人たちのおかげで、我々の様な乳デカお酌係りがお酌してヘラヘラしているだけにしては高すぎるギャラをもらえるわけでもあるので、世の中ってうまくできているもんです。男たち、ありがとう。

 憧れた世界はキラキラというよりは、ギトギト?テカテカ?中年男性のおでこってこんなに光るんだって毎日感心しています。
 
<文/みずえちゃん>

【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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