iPhoneの「衛星経由メッセージ」で見えてきた緊急通信の可能性とは

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2025年01月26日 23:10  TechTargetジャパン

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 地震や豪雨などの災害のリスクがある中、緊急時の通信手段を確保することは重要だ。基地局の損壊や停電により通信網が寸断された場合でも、通信を確立できる可能性があるのが、通信衛星を利用したメッセージング機能だ。Appleが「iOS 18」で導入した「衛星経由のメッセージ」は、通信衛星経由でテキストメッセージを送受信可能にする。同社がこの機能を実装したことで、今後の緊急通信技術においてどのような進化が期待できるのか。現時点で考えられる限界と共に紹介する。

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●衛星経由のメッセージが示す緊急通信技術の進歩

さまざまな場面での通信手段

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 以下の点において、「iOS」の衛星経由のメッセージは緊急通信技術の進歩を象徴している。

・代替通信手段になる

・自然災害の発生時やへき地にいるときなど、通常のネットワークが機能しない場合の代替の連絡手段となる。

緊急SOS手段になる

・深刻な状況にある人が、地上のモバイルデータ通信が機能していないときでも、第一対応者や緊急サービスに接続できる。

位置情報を送信できる

・衛星通信では、メッセージング用のアプリケーションを通じて正確な位置情報を送信できる。これは緊急時において、第一対応者が遭難者の居場所を見つけるのに役立つ。

・衛星通信に接続した状態でiOS の「探す」機能を使うと、モバイルデータ通信や無線LANの圏外にいる場合でも、位置情報を共有できる。

ロードサービスに活用できる

・へき地で車両トラブルが発生した場合、ロードサービスの要請に役立つ。

世界各地でのサービス展開が期待できる

・2025年1月時点で、衛星経由のメッセージは米国とカナダでのみ利用可能だが、将来的には世界各地で使えるようになる可能性を秘めている。

利用しやすい

・衛星経由のメッセージはiOSの標準機能であり、追加機器は必要ない。

●衛星経由のメッセージの限界

 衛星経由のメッセージはさまざまな場面で役立つ一方、以下の制約を抱えている。

・互換性

・衛星経由のメッセージを使うには、iOS 18以降を搭載する「iPhone 14」以降のモデルが必要だ。インスタントメッセンジャー「iMessage」でメッセージを受信するには、受信者も18以降のバージョンのiOSを搭載する「iPhone」を使わなければならない。

通信事業者への依存

・全ての通信事業者が衛星経由のメッセージを取り扱っているわけではない。

SMS利用時の制限

・iMessageを利用できない相手に衛星経由のメッセージを送るには、SMSを使うことになる。これには有効なSIMカードが必要だ。

・衛星通信でSMSを送受信する際、送信者が受信者の緊急連絡先またはファミリー共有グループに登録されていない場合は、まず送信者が先にメッセージを送らなければならない。

地域的制限

・2025年1月時点で、米国とカナダでのみ利用可能。

環境の制約

・衛星経由のメッセージを送受信するには、空と水平線がよく見える屋外にいる必要がある。葉が茂った場所や障害物に囲まれている場所では、通信衛星に接続できない場合がある。

通信速度

・Appleによると、メッセージ送信にかかる時間は理想的な条件下では約30秒で、さほど葉が茂っていない場所だと1分以上かかることがある。

メッセージ機能の制限

・グループメッセージで写真やビデオを送受信することは不可能。

メッセージ長の制限

・メッセージ圧縮と帯域幅の制限があるため、テキストメッセージの長さには上限がある。

バッテリーへの影響

・衛星通信は、デバイスのバッテリーを消耗させる可能性がある。

●Androidでも利用できる?

 衛星通信を用いたメッセージング機能はiPhoneだけではなく、一部の「Android」搭載デバイスでも利用可能だ。Googleは「Google Pixel 9」「Google Pixel 9 Pro」「Google Pixel 9 Pro XL」「Pixel 9 Pro Fold」で、衛星通信を用いたメッセージング機能を提供している。

 Googleはこの衛星メッセージング機能を「衛星SOS」(Satellite SOS)と呼んでおり、緊急時の利用を想定している。機能の初期段階として、衛星通信事業者Skyloの衛星インフラを利用しており、2025年1月時点でハワイ州とアラスカ州を除く米国限定のサービスとして提供している。メッセージを送信できるのは、緊急通報用の番号である911番のみだ。デフォルトのメッセージングアプリケーションとして、Googleの「メッセージ」を設定しておく必要もある。

※本記事は米Informa TechTargetの記事を翻訳・編集したものです。

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