きのこを食べるとがん予防につながる!? “マッシュルーム”が持つ健康効果を医師が解説

1

2025年01月29日 15:00  クックパッドニュース

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

クックパッドニュース

写真

がんは死亡率も高い病気なので、食事や生活習慣などには普段から十分に気をつけたいもの。そんな中、“きのこ”にがん予防の効果があることがわかったそうです。そこで今回は、きのこががんを抑える仕組みや予防効果について、YouTubeチャンネルの登録者数が48万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。

“マッシュルーム”が前立がんを抑える!?

きのこに含まれる化合物は、さまざまな病気の予防や治療に効果があります。

霊芝、冬虫夏草、カワラタケ、アガリクス茸などの薬効成分の強い薬用きのこだけではなく、食べるきのこにも免疫に関与する成分が十分に入っています。

前立腺がんの患者にマッシュルームの抽出物を投与することで、免疫機能が上がり、前立腺がんを抑える効果があることが研究でわかっています。

骨髄由来サプレッサー細胞という免疫を抑える細胞があるのですが、その細胞が活性化すると、がん細胞に対する免疫の反応が弱ってしまいます。

免疫が抑制されることによって癌が進行してしまうことがあるのですが、マッシュルームの成分がこの骨髄由来サプレッサー細胞を減少させるというデータも発表されました。

“がん細胞”は免疫から逃れようとする

通常はこういった免疫システムは、がん細胞を見つけると異常な細胞とみなして攻撃をしますが、がん細胞はいろいろな手を使って免疫から逃れようとします。

骨髄由来サプレッサー細胞をがん細胞が利用して、細胞傷害性のT細胞やナチュラルキラー細胞などのがん細胞を攻撃する免疫システムの働きを抑えてしまう。

そうやって自分自身を守るという賢い作用を発揮して、なんとか免疫から逃れようとするのです。

“マッシュルーム”が免疫効果を強める

マッシュルームの抽出物が骨髄由来サプレッサー細胞を減少させるということは、がんの進行を抑制する効果が出ると仮定して、実際に研究が行われました。

そこで、前立腺がんのマウスにマッシュルームの抽出物を投与すると、腫瘍の成長が抑制されることが発見されました。

さらに、骨髄由来サプレッサー細胞の数が減少し、がんを攻撃するT細胞やナチュラルキラー細胞などの免疫細胞は増加していて、まさに仮設の通りでした。

また、前立腺がんの治療効果が上がるかの研究もマウスで行いました。

前立腺がんの治療に一般的に使われている免疫療法の抗PD-1抗体と併用して、マッシュルーム抽出物も一緒に50日間投与したところ、免疫療法の効果がより強く出ることがわかりました。

マッシュルーム抽出物も使ったほうがマウスが長生きしたのです。

日々の食事で新鮮なきのこを摂ることが大事

これは、マッシュルームに細胞の免疫応答に関して重要な役割を果たすβ-グルカンが含まれている点が大きいと考えられます。

β-グルカンはきのこ全般に含まれるので、きのこ全般にこういった免疫効果があると考えられていますが、マッシュルームに特に強く認められているため、何か特定のβ-グルカンが隠れているのではないかと研究者は探しているようです。

ただ、きのこ抽出物のサプリメントは過去にトラブルが多発しているので、特に「がんの治療に効果がある」と謳うようなものには注意したほうがいいです。

やはり日々の食事の中で、新鮮なきのこやマッシュルームを摂るのが一番確実な方法。

前立腺がんだけではなく、乳がんやそのほかの癌も予防する効果があるはずなので、マッシュ―ルームはもちろん、いろいろな種類のきのこを食べて、がんの予防をしていきましょう。

(TEXT:山田周平)

▼動画でもっと詳しく知る

画像提供:Adobe Stock

石黒成治先生


消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は48万人超(2025年1月時点)。

もっと大きな画像が見たい・画像が表示されない 場合はこちら

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定