元タレント中居正広氏の女性トラブルを巡る対応が批判に晒されているフジテレビが、1月27日、2回目の記者会見を行った。191媒体、473人が集まった会見は10時間超におよび、深夜2時過ぎに終了した。
1月17日に行われた1回目の記者会見では、記者クラブ加盟社のみに参加を認め、結果として週刊誌やフリーランス、ウェブメディアは排除される形に。さらに、テレビ局による記者会見であるにもかかわらず動画撮影も禁止された。これが大きな反発を受けたことから、「やりなおし会見」として行われた2回目では、所属や肩書によらず広く参加が認められ、等しく質問の機会を得た。
ところがそこで目立ったのは、主にフリー記者からの的外れな質問や、自分語り、持論の展開だった。ネット上では、フジテレビへの批判以上に記者の質を嘆く声が相次ぎ、「1回目の会見で記者クラブ限定としたフジの判断は正しかった」という意見さえ散見された。
しかし、記者クラブを構成するテレビ・新聞だけでは、この問題は追及不可能だ。週刊誌デスクが振り返る。
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「もともとこの問題に火をつけたのは週刊誌メディアです。週刊文春が被害女性を取り込み、年末の最終発売号の特ダネとしてあたためていたネタだったのですが、文春が動いていることを察知した女性セブンが不十分な取材ながら第一報を放った。
一方のテレビ各局は当初及び腰でしたが、故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受けて、これまで目をつぶってきたことに反省のポーズを打ち出したのに、今回もフタをするというわけにいかず、年明けから各局が歩調を合わせるように報道を始めました」(週刊誌デスク)
他局まで慎重になる別の要因を、キー局社員のA氏が語る。
「タレントや大手芸能事務所の幹部と、女子アナとの2人きりの飲み会をセッティングするなんて、どこの局もやっていますよ。当然、性的な関係に発展するのを見越してね。視聴率という数字を持つタレントは局にとってもありがたいし、女子アナの中には関係を持てば仕事を振ってもらえるからと受け入れるケースも多いといいます。
アナウンサーは毎年新人が入ってきて、賞味期限切れでいつ配置換えになるかわからない不安定な立場。大物とのパイプは持っておきたいというのが本音です。フジは被害者に対してのフォローがおざなりだったうえ、中居氏を重用し続けたことで被害者の感情を逆撫でさせ、結果的に今回のような事態に陥りましたが、他局も対岸の火事ではありません」(キー局社員のA氏)
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■報道記者も女子アナをホステスに
女性の「献上」は中居氏が鎮座していたバラエティー番組周りだけではないとA氏は言い切る。
「報道の記者も、取材先の幹部クラスに対する接待のような飲み会には女子アナを伴いますね。政治部であれば大臣や自民党四役クラスとの飲み会にはホステス代わりに入社3年以内の若手の女子アナをつけるのが一般的です。
女子アナは、先輩社員で将来は番組のディレクターやプロデューサーとなる彼らに気に入られたいから、中高年の政治家とのつまらない飲み会でも積極的に参加する。そういえば、フジでは別の若手の女子アナが最近、石破政権の重要閣僚との飲み会でセクハラを受けたという噂が永田町で広がっています。
社会部の警視庁担当だって、飛びっきりのネタを漏らしてくれるネタ元との飲み会だったら、相手が警部補クラスでも女子アナを連れて行きますよ。性的な関係にならなくても、二次会のカラオケで女子アナと肩を組んでデュエットしている様子を撮影して画像や動画を送ってやれば、ノンキャリアで派手な遊びと無縁のおっさん刑事にとっては一生の宝物になります。記者としても証拠をおさえることで、相手の弱みを握ったようなものなので末長く飼い慣らせる」(キー局社員のA氏)
■新聞も知事に女性記者が胸を触られてダンマリ
若手の女性社員をホステス代わりに使うという意味では、新聞も同様だ。全国紙社会部デスクが明かす。
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「ある県の知事が、地元紙の県政キャップとの飲み会で、キャップに伴われた新入社員の女性の胸を鷲掴みにした。キャップは知事を咎(とが)めるどころか、その場面を見て爆笑するだけ。
その後に女性が社内告発してキャップは更迭されたものの、会社は地元の知事との関係にヒビが入るのを恐れ、紙面で報じるのは無論、抗議文の送付すらためらった。
中居の問題は今後、フジの性接待・上納システムの有無が焦点になるけれど、女性社員を接待役にしてきたメディア各社が本気で切り込めるのかは疑問ですね」
老若男女を楽しませる人気番組。大事件の真相に迫る弩級の特ダネ。これらの陰では、女性たちの涙がいつも流れているようだ...。
文/山本優希 写真/ 時事通信、photo-ac.com