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人工知能(AI)が特許の発明者になり得るかが争われた訴訟の控訴審判決で、知財高裁は30日、AI開発者側を敗訴とした1審・東京地裁判決(2024年5月)を支持し、控訴を棄却した。清水響裁判長は「発明者は人に限られる」と判断した。
訴訟では、米国在住の科学者が開発したAI「DABUS(ダバス)」の「発明」が問題となった。ダバスは人が関与せずに自律して作動をするAIで、AI開発者側はダバスを発明者として20年8月に2件の特許取得を求めたが、却下されたため、訴訟を起こしていた。
知財高裁は判決で、特許の出願手続きでは、発明者が人であることを前提としており、人以外を発明者として特許を付与するための手続きを定めた規定もないと指摘。特許を受けられる発明は、人が発明者である場合に限られるとした。
AI開発者側は、特許法制定時はAIによる発明という概念がなく、「特許法に規定がないから保護しないのは不当だ」とも主張していた。
しかし、判決は、AIによる発明に特許を与えるかどうかは、社会に及ぼすさまざまな影響について広範で慎重な検討を踏まえた議論が必要な問題だとし、現行法がAIによる発明を前提としていないのに、法解釈でAIによる発明を保護すべきではないと結論づけた。
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AI開発者側の代理人弁護士は「重要な法的・社会的課題のため、最高裁の判断を求めたい」とコメントした。
同種の訴訟は世界各国で起こされ、発明者は人でなければならないとの司法判断が定着している。AIによる発明の保護の在り方は日本でも特許制度を巡るテーマの一つになっている。【菅野蘭】
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