創業1951年の「大阪染織機械株式会社【公式】」(@osakasenshoku)社長さんのSNSの投稿が話題になりました。
「何だろうか?
倉庫片付けしてたら出てきたけど、設計に使う用かな?
知っている方お願いいたします
ちなみにレア度はありますでしょうか?」
投稿には動画がつけられています。細長い長方形の木製ケースを開けると、中からびっしり目盛が書き込まれた定規のようなものが出てきました。さらに中央部分と枠のようなものがスライドするようになっています。動画は535.4万回再生されました。
「計算尺 今は手に入らない。映画『アポロ13』の中でもこれで計算しているシーンがある」
「計算尺で、恐らくHEMMI No.254WかNo.260のどちらかだと思います。高級機種です。とても状態が良さそうなので、大切にしてあげて下さい」
「一般用ではなく技術者用の計算尺(対数尺)でしょう。わたしは仕事で一般用計算尺を使っていましたが非常に便利なもので,使いなれると,ものすごいスピードで計算ができます。どんなにコンピューターが進歩してもこれはこれで使えるはずです。大事にしましょう」
「ウチにも全く同型の計算尺、ヘンミNo.260があります。掛算、割算、べき乗、根号、対数、三角関数…の計算が可能な今で言う関数電卓です。竹製で自己潤滑性がある為、動作が滑らかで狂わず…高品質で辺見計算尺は世界に冠たる逸品だったのです。残念ながら電卓の登場で一挙に廃れてしまいました」
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この定規のような道具は「計算尺」で、昔は関数計算をしていたようです。その後、倉庫からさらに対数表も見つかりました。「計算尺を作ろうと考えた発想が凄い事と、計算尺自体をどのように作ったのか製造工程が気になりました。計算尺の使い方は全く知らないです」と社長さん。
「創業を支えた設計士さんの物だと分かりましたので、貴重に保管をしたいです」としています。
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この計算尺を作った「ヘンミ計算尺株式会社」によると、1620年にイギリスの天文学者エドマンド・ガンターが対数尺度を発表し、「ガンター尺」が作られたことが計算尺のはじまりだったとのこと。
その後、創業者の逸見治郎氏が明治28年(1895年)に計算尺の製作に取りかかり、1909年に完成させます。この計算尺は「日本の湿度変化に対応できるように竹(九州の孟宗竹)が使用」された日本独自のものでした。
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同社によると、東京タワーや零戦(零式艦上戦闘機)の設計などに使用されていたとのこと。高度な仕事をしているということと、頭脳明晰なイメージがあったためでしょうか、「ポケット計算尺をスーツの上着のポケットに挿している事が、当時のステータスであった」のだそうです。
ちなみに全ての関数に万能なわけではなく、関数ごとに商品の設計・開発がおこなわれていました。高価なものでしたが、1958年ごろは年間100万本も出荷され、輸出もされていたと言います。
そして計算機などが現れて計算尺を使う人が減っていき、1975年ごろに生産が終了しています。今は作られていない計算尺を、ぜひ大切に保管していただきたいですね。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)
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