日本男子卓球の「次世代エース」17歳の松島輝空が覚醒 全日本選手権で張本智和を相手に挑んだ「真っ向勝負」

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2025年01月31日 07:41  webスポルティーバ

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全日本卓球シングルス 男子編

(女子編:早田ひなが張本美和、新星・大藤沙月に完勝で、全日本卓球シングルス3連覇「ここからが"シーズン2"の始まり」>>)

【ジュニアの部には出場せず狙った上位】

 1月21日から26日にかけて東京体育館で行なわれた「天皇杯・皇后杯2025年卓球全日本選手権大会」のシングルス。男子で初優勝を果たしたのは、日本男子卓球界の次世代を担う存在として注目される17歳、松島輝空(そら/木下グループ)だった。準決勝、決勝とパリ五輪代表メンバーを下して全日本を制し、2028年のロサンゼルス五輪に向けた有力候補に名乗りを上げた。

 松島は2007年生まれ、京都府出身。祖父母が営む田阪卓球会館で競技を始め、両親と4きょうだいいずれも卓球選手という、「サラブレッド」と呼ぶにふさわしい環境で育った。ユース年代で実績を積み、2023年頃からシニアでも国内外の大会で活躍。昨年は世界卓球の日本代表に選ばれ、パリ五輪ではリザーブメンバー入りを果たすなど、期待の若手としてさらなる飛躍が期待されていた。

 松島は昨年に初優勝したジュニアの部には出場せず、一般の部に専念した。上位を狙って挑んだ戦いで4、5回戦を順当に勝ち上がり6回戦へ。迎えた相手は、2016年リオ五輪の団体の銀メダリストで、前回大会ベスト4の吉村真晴(SCOグループ)。ベテラン相手の戦いでも松島は怯むことなく、強気の姿勢でゲームカウント4ー1で快勝。ベスト8に進んで全日本選手権での最高成績を更新した。

 今回の男子シングルスで優勝候補とされていたのは、昨年のパリ五輪に出場したメンバーたち。その筆頭は張本智和(智和企画)だった。昨年10月のアジア卓球選手権では日本勢50年ぶりとなる金メダルを獲得し、同11月の「WTTファイナルズ福岡」でも準優勝と、オリンピックでメダルを逃した苦境から這い上がった。世界ランキングを3位まで上げて2025年を迎えた21歳は、全日本選手権の連覇を狙っていた。

 張本は、初戦となった4回戦から安定した内容で順調に勝ち上がっていく。一方で、ライバルに波乱が起きる。2022、23年の優勝者であり、昨年の決勝でも張本とフルゲームの死闘を繰り広げた戸上隼輔(井村屋グループ)が、ノーシードで勝ち上がってきた谷垣佑真(愛工大)に3−4で敗れた。

 男子の優勝争いは張本、3年連続で4強入りしたパリ五輪代表の篠塚大登(愛工大)、そして松島と谷垣という新たな構図となった。

【王者・張本相手にも"真っ向勝負"】

 松島は準決勝で、国際大会ではダブルスペアを組むこともある張本に挑んだ。特長であるバックハンドやロングサービスを軸に試合を組み立てたが、際立ったのは思いきったフォアハンドでの強打。第1ゲームから張本のレシーブやサービスの隙間を縫ってフォアを打ち込む"真っ向勝負"で攻め続け、8−10のビハインドからデュースに持ち込み逆転。11−13で第1ゲームを奪った。

 その後、修正力に長ける張本も第2ゲームでは5連続ポイントなどで優位に立ち、タイムアウトも使いながら9−11で取り返す。しかし、松島の集中力は第3ゲーム以降も切れることなく、YGサービスを使うなど変化も入れながら張本に対応した。

 そのゲームを11ー7で取って勝ち越した松島は、第4ゲームでは5−2から後陣に下げられてのラリーをものにするなど勝負どころを押さえ、デュースとなったゲームを勝ち取る。王手をかけて迎えた第5ゲームも11ー7で取り、王者・張本の連覇を阻止して決勝進出を決めた。

 初の決勝は、篠塚とのサウスポー対決。立ち上がりから仕掛けてきた篠塚に対しても冷静に対応し、9−9からチキータとミドルへのツッツキで2ポイントを奪い先手を取る。第2ゲームではリードされながら、回り込んでのフォアやサービスエースなどで迫り、再び11−9で奪取した。

 主導権を握った松島は第4ゲームこそ奪われたものの、ゲームカウント4−1で勝利。張本に続いてパリ五輪代表の篠塚を下して、張本、水谷隼に次ぐ史上3番目の若さとなる17歳8カ月での初優勝を成し遂げた。

 試合後に松島は、「五輪に出場できなかった悔しさがあった」と、リザーブメンバーでの帯同となった昨夏のパリ五輪を振り返った。それに続けて、「もちろんロス五輪では、自分がシングルスで出るという強い気持ちを持って頑張っていきたい」と宣言した。

 ここ数年での活躍から「次世代エース」と呼ばれることもあった松島が、全日本選手権の大舞台で覚醒。日本男子の新たな希望として存在感を放った17歳が、2028年のロス五輪でメダル獲得のための救世主となれるか、注目が集まる。

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