【モデルプレス=2025/01/31】すすきの札幌の人気No.1ニュークラブ(キャバクラ)「バルセロナグループ」で営業部長を務める山下遥香さん。学生時代にニュークラブの魅力に触れ、そこに秘められた可能性を見出した彼女は、この業界に飛び込む。課題が多く、偏見の目で見られることも少なくない水商売業界を、女性が安心・安全に働き、経済的・精神的な自立を獲得して卒業していく業界に変えるため、日々挑戦を続ける山下さん。後半ではそんな彼女の人生とプライベートに迫る。【インタビュー全2回の2回目】
【写真】“キャバクラ部長”の華麗なる過去 ■「コンプレックス」を原動力に走り続けた学生時代
― 水商売業界に自ら飛び込み、営業部長として様々な挑戦を続けている山下さんですが、昔から自立した女性だったのでしょうか?
山下:全くそんなことはなく、わりかしコンプレックスの多い人生を歩んできたと自己認知しています。生まれは大分のド田舎なんですが、幼稚園と小学校の頃は大分市内で生活して、中学の時におじいちゃんの介護で生まれた街に戻ることになったんです。生活環境が変化したほか、色んなことにトライできるチャンスが激減し、「田舎で一生を終えるのは嫌だ」「高い基準を持ち続けないと」と強く感じるようになりました。
― なりたい理想像のようなものが?
山下:その頃はそんなに高尚な理想像があったわけではありませんが、小学生の頃から海外志向が強く、中学時代はビヨンセやレディー・ガガの音楽を聴きながら、こんな自立した強い女性になりたい、人を勇気づける存在になりたいという思いはありました。社会に出て自立し、生き生きと輝いている女性はその頃から憧れの対象で、私もあんなふうに自信と誇りを持って生きていきたいなって。
そんな折にアメリカにホームステイに行ける機会があったんです。本来50万円程の費用がかかる留学が20万円程で行ける行政のプログラムがあって、母に「アメリカ行きたい?」って聞かれ「行きたい!」と即答しました(笑)。それが中学2年生の頃でしたね。
― 中学生でアメリカにホームステイするのはすごいですね!
山下:私にとっては衝撃的な体験になりました。元々、英語は好きでずっと勉強していて、英語スピーチコンテストでも優勝した直後だったのでかなり自信があったんです。でも、アメリカのホストファミリーと過ごすうちに、自分の意思決定や自己主張の弱さを痛感しました。会話の中で聞かれていることはわかっているのに、自分の「意志」がないから明確に回答できず相手を困らせてしまったことがすごく悔しかった。それと同時に視野がすごく広がり、私の人生の最初のターニングポイントになりました。
― より大きな世界を知るのは貴重な体験ですね。
山下:帰国後からは、通常の勉強に加えて毎日シャドーイングに2時間以上費やすようになり、その頃にはアメリカの高校と大学に進学したいという想いが強くなっていきました。ただ田舎の一般家庭でさほど裕福ではなかったので、親には言い出すことはできず、結果、普通に日本の高校から国公立大学に進学しました。でも第一志望ではなくて。
自分の中では「ここで終わりたくない」という想いがより強化されたように思います。今考えると、すごく強いコンプレックスが自分の中にあったんだと思います。「田舎出身」とか「経済状況」とか「学歴」とか「容姿」とか。本来、今を形作ってくれているもののはずなのに、誇らしいと思えない。当時はコンプレックスを原動力に走り続けていました。
― コンプレックスが原動力だったんですね。大学時代はどのように過ごされたんですか?
山下:大学進学をきっかけに初めて親元から離れて、自由に過ごせる嬉しさはあったんですけど、生活費を切り詰めていくので精一杯でした。学費は両親が学資保険で賄ってくれたのですが、生活費は自分で稼ぐ必要があったので大学1年生の頃は1ヶ月1万円生活をしていましたね。教材を買うと5,000円くらいするので、その時は1ヶ月5,000円生活でした(笑)。そんな生活をしている時に、ふと「こんな生活がしたくて大学に入ったんじゃないのに」と感じて。
色々やりたいことがあるのに、節約ばかりで自分の可能性に投資できないのが悔しくなっちゃったんです。精神的にもネガティブになり、同期に対して「親のお金で買った高級バックなのに自慢して」とか「目的もなく留学に行ったって何も変わらないのに」って思うようなすごく嫌なヤツになっていました。羨ましかったんでしょうね。
― 生活にも心にも余裕がなくなってしまったんですね。
山下:そうですね。そんな時に水商売と出会って、働き始めるようになるんです。そこでやりたいことのためにお金を稼いで、大学3年生の時、念願だったアメリカの志望大学への交換留学に行くこともできました。帰国後は、福岡や渋谷のスタートアップで長期インターンシップをしたり、自分が一番苦手としていたミスコンテストに出場したりと色々な挑戦をしました。
そういう挑戦をひとつずつ重ねて「成果」を出していくうちに、少しずつだけれど自分を形作っているルーツや、自分の容姿、コンプレックスや葛藤を原動力に頑張ってきた自分のことが愛おしく思えるようになったんです。“私、ちゃんと頑張ってきたじゃん。お金も自分で稼いで自分に投資してきたじゃん。コンプレックスをひとつずつ乗り越えてきたじゃん”、と。自分のことを信じられる、いわゆる「自己信頼」が持てるようになった頃から、自分が走り続けるエネルギーを創ってくれた私のルーツも含めて、今は誇らしいと思えるようになりました。
■「一番苦手意識がある」ミスコンへ出場した理由
― 過去にはミスジャパンにも出場されていましたが、どういった思いから参加をされたのですか?
山下:参加したのは学生最後の年である2019年でした。先ほどお話ししたようなコンプレックスから学生時代はずっと「戦って勝たないと」みたいな競争意識が強くて、女性としての自分には容姿へのコンプレックスも相まって自信が持てず。だからこそ自分が一番苦手意識を持っているミスコンに出てみようと思ったんです。
ミスコンに参加したのはすごく良い経験になりましたよ。みんなそれぞれの人生があり、葛藤を抱えながら生きていて。出場者全員の人生が尊いなと感じました。日本大会のファーストステージに出る直前に、私の提案で「私は美しい!あなたは美しい!」って全員で円陣を組んだのですが、それはすごくいい思い出になっています。結果、日本大会で5位入賞を果たしました。
― そこからスタイルが変わらないのがすごいです!オフの日はジムにいったり?
山下:ありがとうございます(笑)。運動が好きなので、ジムに行ったり、ゴルフに行ったり、スノボをしたり、ランニングしたり、トレッキングもしたりと北海道を満喫してます。今年の夏は友達と一緒に乗馬をしに行きました。もちろんダラダラ過ごす日もありますけどね(笑)。
仕事をポジティブに頑張り続ける上で、運動は結構大事だなと思っています。運動をすることでメンタルも安定します。私もそうなんですけど、20代前半とか若い頃ってメンタルを疎かにしがちというか。「自分の価値を証明しないと」と頑張るのも大切ですが、寝ずに頑張るという生活は長く続きませんから。しっかり運動して、しっかり食べて、しっかり寝る。この3つはすごく大切だと思っています。
■山下遥香の挫折を乗り越えた方法
― 山下さんがこれまでの人生の中で挫折や辛いと感じた経験はありますか?
山下:挫折は何度もあるんですけど、人生で辛いと感じていたのは、自分の理想像が常に「他人の期待」から来る理想像だった時期ですね。 先ほどコンプレックスの話をしましたが、それはここから来ているんだと思うんです。うちの家族はすごく仲が良くて大好きなのですが、小さい頃を振り返ると、父は単身赴任で家にいないことが多かったので、体の弱い頑張り屋な母と弟と一緒にすごく時間が長く、長女の私が家族を支えないとって思いながら育ってきました。過去を振り返ってみると、「家族・母のため」とか「先生・部活の顧問からの期待に応えるため」とか、自分が「こうなりたい」ではなく他人から求められる姿を意識して、そのために頑張る時間が長かったんですよね。
― 理想像が他人主体、人の期待から来るものだったんですね。
山下:はい。それ故、求められる人が変わると、自分の理想像が変わってしまうという苦しさが常にありました。どんなに頑張っても、評価先が変わってしまうとまた0点からになってしまう。頑張っても頑張っても、満たされない。自分は常にマイナスな状態にある。バケツに穴が空いていると一生懸命注いでも満たされることがないみたいな感覚です。10代後半から20代前半は、そんな時期が続いていました。
― そこから抜け出せたきっかけは?
山下:無我夢中に走り続けてきて、必然的に成果を出す経験が増えた。それと同時に、自分のその課題に気づいたって感じですね。どこからこの苦しさが来てるんだ、と考えた。そんな時に出会って、良くしてくださった大好きな社会人の先輩たちが「出した成果」とか「強く見せている私」ではなく、「私そのもの」に目を向けて心から承認してくれた経験も大きかったと思います。
「過去の経験があるからこそ今の私がいる」という捉え方もあるんだと思えるようになると、自分が悩んできた過去やコンプレックスも含めて、私が歩んできた道のりと必死で出してきた成果が自己信頼をくれました。それまでは、ただ前だけを向いていて、登るべき高い山は既に決められていて、それをただただ登る。登り切ったら、そこにはまた別の山が用意されていて、という感じでしたが、そこからようやく「どの山に登ろうかな」と登る山を自分で考え、自分で選択するようになっていきました。他の誰でもなく、自分で道を選び、選んだ道を正解にするって本当にとても価値があることだと思いますよ。何より、自分を好きでいられる生き方だから。
■山下遥香の夢を叶える秘訣
― それでは最後に夢を追いかけているモデルプレス読者へ、山下さんの「夢を叶える秘訣」を教えてください
山下:昭和っぽい言い方になっちゃいますが、どれだけ腹を括ってやるかだと思います。どれだけ腹を括って選択したかで、困難に直面した時の対応が変わると思うんですよ。他の誰でもない「自分の意志」で決めて、既に退路を断っている人なら「この壁をどう乗り越えよう。どうしたら実現できるだろうか」と考えるけど、腹が括れていない人は「本当にこれで良いのかな。もっと他に良い道はないのかな」と悩んでしまう。本気で夢を実現させようと思うなら、そんなに簡単に叶うと思わない方がいい。それくらい腹を決めて、覚悟をもって取り組む。一生じゃなかったとしても、最低何年はここにコミットするとか、とにかく決断をして腹を括ることは大事だと私は思います。
― 本気で夢を叶えたいなら腹を括って。
山下:そうですね。腹を括ったら、あとは行動するのみです。やると決めたらやる。やらないという選択肢を自分の脳内から消す。夢を叶えるために何が必要か、自分は何が得意で何が苦手なのか。何を克服しなければならないのか。どうすれば実現できるのか、紙に書き出したり、周りにフィードバックをもらいながら、とにかくトライ&エラーを繰り返す。努力は必ずしも報われるとは限らないですが、努力しないとその土俵にさえ立てないですから。コミットする期間を決めるのもありだと思いますよ。この◯年間は迷わずこの道でやりきる、みたいな。モデルプレス読者の皆さんの夢が叶うことを心から祈っています。私もまだまだ道半ばなので、理想を描き、ともに頑張りましょう、と伝えたいですね。
― ありがとうございました。
仕事の第一線で活躍しながらも、プライベートの時間を大切にすることで、自身を高め続ける山下遥香さん。運動や趣味に没頭する姿は、日々のストレスを和らげ、仕事にポジティブに取り組む原動力になっていると明かす。「しっかり働き、しっかり遊び、しっかり休む」―そんな彼女のライフスタイルは、現代を生きる女性たちにとって理想的な働き方を示しているのかもしれない。(modelpress編集部)
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