近年、目まぐるしく発達しては様々な分野で活躍している「AI(人工知能)」。これまで負担だった作業などもAIの力を借りれば、楽に進められることもあるでしょう。なかには、漫画の創作をすべてAIに任せてしまう作者もいるようです。
実験的にAIを活用して漫画を創作している野火城さんは、以前自身のX(旧Twitter)に『AIが法規制された世界で、絵を描く話』という作品を投稿。同作はAIによって生成された一作で、作中ではAIが普及した世界で“自分らしさ”を追い求めて絵を描く高校生のエピソードが描かれています。同作は多くの人から注目を集めたようで、約6700件もの「いいね」が寄せられていました。
舞台は2035年の東京、AIの進化によってSNSやネット上に偽情報などが続出した影響で、政府は「ヒト指数」という対策を決行。人の脳波を読み取る超AIシステム「GAIA(ガイア)」が、ヒト指数の高い人間の投稿だけを優先的に表示させるようにして、反対にヒト指数が低ければ投げかけた発信は、誰にも届かないシステムになりました。そんな中、兄の影響で絵を描き始めた高校生「境井誠」は、ヒト指数が高い絵を描けずに悩んでおり…。
AIに注目した同作に対し、読者からは「これから訪れる可能性のある未来の話でとても面白かった」「今は非現実的に感じるかもだけど、真剣に考えなきゃいけないテーマ」など様々な反響が上がっています。そこで作者である野火さんに、同作を手がけたきっかけについて話を伺いました。
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―『AIが法規制された世界で、絵を描く話』を描いたきっかけを教えてください。
現在の画像生成AIを取り巻く状況を自分なりに分析・整理し、従来の手法とAIの両方を実践する立場から見える様々な「画像生成AIにまつわる考察」を、記録も兼ねて作品化して残しておきたいと思いました。
―AIによる創作は何かと物議を醸すテーマですが、そういった世の中の風潮に対して野火さんが感じていることをぜひお聞かせください。
創作の基本は現実から得た情報の参照と再構成だと認識しています。それを人間の思考プロセスで行うか、機械的な処理で行うかの違いですが、後者への抵抗感が生まれるのは感情として理解できます。ただし、その感情的な反応を「正しさ」として確立しようとする動きについては、今後の展開を注視していきたいと考えています。
―読者にメッセージをお願いいたします。
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技術の進展については、異なる立場の方々との建設的な対話が重要だと感じています。私自身は、自分の考えを伝える手段として漫画という形式を選んでいます。作品として楽しんでいただきながら、この題材について考えるきっかけになれるのが理想です。今後も面白い作品作りに励んでまいります。
(海川 まこと/漫画収集家)
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