モデルたちが熟睡 「ポスト アーカイヴ ファクション」がパリで新作披露

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2025年02月06日 11:21  Fashionsnap.com

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 パリメンズファッションウィーク最終日となる1月26日、韓国発のファッションブランド「ポスト アーカイヴ ファクション(POST ARCHIVE FACTION)」(以下、PAF)が、2025年秋冬コレクションをプレゼンテーション形式で発表した。


 もともと工業デザインを学んでいたクリエイティブ・ディレクターのドンジュン・リム(Dongjoon Lim)が率いるPAF。彼らが今季の舞台に選んだのは、パリ11区にある国立工業高等学校ENSCiの中庭だ。ガラス屋根などのインダストリアルな空間が、ブランドのバックグラウンドとマッチする。

 16時のオープンと同時に会場に入ると、中央の白い花道に並ぶ無数のエアーベッドが目に飛び込み、そこでは最新コレクションを纏ったモデルたちが熟睡中。30分後のプレゼンテーションまで、来場者たちは思い思いに彼らを観賞・撮影しながらスタートを待つ。
 予定より約20分遅れでスタートしたショーは、瞼を擦りながら目を覚ました1人のモデルが、別のモデルを起きるよう促した後にキャットウォークを始め、2人目に起きたモデルも同様にキャットウォークの前に3人目を起こしていく、というリレー方式で展開していく。

 毎シーズン明確なテーマを設けてこなかったが、今季は“Future Past Present(未来 過去 現在)”を掲げ、時代を超えて愛されるデザインの可能性に挑戦した。不揃いなサイズと歪なシェイプのポケットを備えたセットアップをはじめ、シワ加工を施したナイロン素材のオーバーサイズジャケット、タータンチェック柄を落とし込んだトラックジャケット、ドーナツ型のダウンマフラー、機能素材で再構築したモッズコートなど。ベーシックな洋服を前衛的なディテールやアシメトリックなテーラリング、テクニカルなマテリアルでのアップデートを図ることで、時を超えうるプロダクト主義的な可能性を見せる。

 そして、昨今のPAFで最も注目される動きと言えば、「オン(On)」とのコラボレーションだろう。このスイス発スポーツブランドとの協業は2024年春夏シーズンからスタートし、プレゼンテーションの発表前にドンジュン本人がSNSでリークしていた第3弾コラボスニーカーがランウェイでお披露目。過去2回のコラボで登場したランニングシューズ「クラウドモンスター 2 パフ(Cloudmonster 2 PAF)」とトレイルランニングシューズ「クラウドベンチャー ピーク パフ(Cloudventure Peak PAF)」に、ブラックやブラウンなどの新色が加わるようだ。

 さらに、アウトソールからシューレースまでを同系色でミニマルにまとめた「クラークス オリジナルズ(CLARKS ORIGINALS)」とのアイコンブーツ「ワラビー(Wallabee)」と、過去にもコラボ経験がある「ディストリクトビジョン(District Vision)」の新作サングラスも仕込まれていた。

 2018年の設立以降、過剰なデザインや奇抜なカラーに頼らずとも、過去と未来を繋ぎながら現代のファッションに新たな可能性を吹き込むことで、着用者の心を満たしカルト的なコミュニティを築いてきたPAF。彼らが提案するのは、単なるトレンドではなく、時を超えて価値を持つ服作り。その挑戦と実験精神が、次なるステージへと押し上げることを確信させるコレクションだった。
Riku Ogawa () エディター&ライター WWDとHYPEBEAST出身でプレミアリーグのアーセナルを応援する、食道楽のエディター&ライター。お仕事のご連絡は各種SNSのDMまで。

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