注目度再燃の女子プロレスで引退を決意したカリスマ・里村明衣子が貫く"人生をかけた夢"とは?

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2025年02月09日 13:20  週プレNEWS

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女子プロレスのレジェンド・里村明衣子

『極悪女王』も話題となり、ここ数年で人気再燃し盛り上がりを見せている女子プロレスにおいて長年"女子プロレス界の横綱"と称されたレジェンドが今年4月での引退を発表!

東北の拠点・仙台に「センダイガールズ」(以下、仙女)を立ち上げ社長としても牽引、今や世界がリスペクトする存在となった里村明衣子がその真意とさらなる野望を語った!!
(前編→女子プロレスのレジェンド・里村明衣子、引退! 「失望、虚しさ...すごく重いものを背負っていた」)

――では自信とともに基盤作りもしっかりでき、次のステップへ進化する過程での引き際でもあると。とはいえ、KAIRIやIYO SKYのようにさらに華々しく頂点の舞台で躍動している姿にまだまだ目指せるのでは、という思いも......。

里村 まだこの先さらにブレイクするかもというのはあります。でも、やって2、3年なのか、それよりこの後の30年を取るかといえば、30年かけて次のステージにいくほうがいいと。

――その考え方に至ったのも"THE King of Kings(王者の中の王者)"と称えられたレジェンドでWWE最高執行役員のトリプルHにかけられた言葉に影響を受けたとか。

里村 2019年の契約直前にお会いして。「引退した後のほうが何倍もビジネスの世界が広がって生き甲斐があるよ」と言われたことがすごく心に響いて。大きかったですね。

――一選手として以上に、長いスパンをかけて自らやるべき役割があると。それが大局的に仙女の、ひいては女子プロレス界のためにも?

里村 そこまで女子プロレスとか後輩のためにっていうのは考えてないです。それは自分が苦しいだけになるし、自分自身が本当に女子プロレスのビジネスに懸けたいのか、そのために何ができるかだけですね。

――何かを背負ってしまうのは違うと。では、引退に際してシン・広田さくら選手が「里村さんはたたずまいが違う。ダメージを受けるのは仙女より女子プロレス業界」と仰ったそうですが、そこは......。

里村 全く思わないですね。人ひとりやめたくらいでこの世界、何も失われないですよ。そんなのは自分が一番わかっているので。

――歴史も浮き沈みも長年見てきて、そんなもんじゃないぞと。では、この先のご自身が果たすべき役割、めざすところとは?

里村 やっぱり理想の女子プロレスというのはあるので、引退後もそれに向けた思いは貫いていきたいと。例えば、最近『極悪女王』がヒットしたじゃないですか?

――まさに、その話題もお聞きしたいところでした!

里村 私は正直、クラッシュギャルズの時代をリアルタイムで見てないんですね。長与千種さんが立ち上げた「GAEA JAPAN」のオーディションを受けた時も長与さんのすごさを知らず、同期の全員が大ファンで憧れて入門しているのに私はそんなことも全くなく(笑)。

――当時、トップ合格し脅威の新人として注目され、長与さんの付き人も務めて帝王学を植え付けられた期待の星が実は......(苦笑)。

里村 でも今の時代にあらためてドラマや当時の映像とか見て、やっぱり女のコがもう本当に憧れの目で熱狂しているわけですよ。その憧れの目こそが私は一番の理想なんだと。アイドルレスラーが戦っている時に男性ファンが叫んでいるのとも違う、彼女たちが目を輝かせてキャーキャー絶叫している姿こそ理想じゃないかと。

――それは女子に限らず昭和のプロレスから熱狂の時代にあるものかと。ファンがギラギラとした眼光でレスラーのリングで体現する生き様、背負った人生に共鳴するような。

里村 そうだと思います。

――それを映し鏡に自分たちも立ち向かって生きる力や元気をもらえる、そんな存在が憧れとともにムーブメントを起こし、ビッグビジネスを生むわけで。

里村 はい。これまでに出会ったスーパースターは一番最初が長与さんで、その姿をずっと見てきてそこから北斗晶さんやアジャ・コング選手とか。2014年に北朝鮮でご一緒させていただいた(アントニオ)猪木さんもですし、あとは小橋建太さんも......真のスーパースターは本当に違うなと思うんです。

正直、そんな存在はひとりかふたりでいいけど、これから私が死ぬまでに作り上げたい。その人と一緒に人生をかけられる存在と出会いたいですし、いい夢を見たい。

――10年前のインタビュー時は橋本千紘、岩田美香、カサンドラ宮城(現、michiko)がデビューしたタイミングで中心選手として今に至る期待も大きく。そういった巡り合わせもありますよね。

里村 そうですね。ただ当初かけていたカサンドラもいい感じでいってたのが結局、退団に至ったのはすごく反省点だし。その時もショックで本当にひとりひとりメンタルな部分と付き合うってこれ以上難しいものはないなと。すごい勉強になりました。

――選手と経営者両方の気持ちがわかる立場とはいえ、繊細でそれぞれ一番かまわれたいという自己主張の強い彼女たちに目配りするのは本当に難しいかと。

里村 なんか自分でももうほんと気が狂いそうな寸前までいく時がありますけど。でもそこでもうやめたっとは思わないので。

――この先の人生をかけてスーパースターを作り上げ、いい夢を見るまでは?

里村 もうとにかく死ぬまでには必ず超大スターを生み出して、超満員の日本武道館大会を開催したいです。

――それも以前仰ってました。いまだ実現していない武道館興行!

里村 本当にそれも超満員の状態でやりたいんです。これまでいただいた人脈とかも減ることなく増えていく一方だと思っているので、たくさんの方に協力していただきながらどんどん広げていって。まだまだ団体として小さいし、仙台を拠点にって言っても全然足りていないので、今一度その足元からしっかり根付かせてやっていくつもりです。

――出身地である新潟でもよく凱旋されていますが、二拠点にしたり他での進出も?

里村 そういう考えはないですね。仙台にありながらプロレスラーとしての技術、実力は世界一ですよというところに自信を持っているので。そこをプラットフォームに道場を構えて、世界中から選手が練習しに来る場所であり、世界に通用する意識を変えず移ろわずにやっていきたい。

――まずは4月29日、後楽園ホールでのラストマッチまで対戦相手や観客に自らの集大成を伝承する引退ロードですね。

里村 まだ半年ってくらいまでは、あと何試合できるのか考えるだけで涙が出てくる時がすごいあったんですけど。今はもう忙しすぎてとにかく悔いのないように戦おうという思いだけで。自分自身が妥協しない、最後まで里村明衣子の厳しさを貫くことだけ伝えられれば、一番悔いも残らないのかなと。

――それこそ、これが里村明衣子の生き様だという全てを出し尽くす。

里村 去年、武藤敬司さんが引退された時、絶対に自分を崩さずにあの"武藤敬司ワールド"の中に相手を引き込んで、最後までカッコよく貫いていたところに魅せられた感じで。私も自分の中の意地とか最後まで負けちゃいけないし、その先に繋がらなければいけない決意をいっぱい感じてもらいたいです。

――最高の姿を見せるためにも万全の状態でやり切っていただければ! ......最後にこれも初インタビュー時、この選んだ道を貫いて「犠牲にしてきたものは恋愛です」と。プロレスをやってたほうが幸せになると思った、その気持ちは変わらず?

里村 いや、それはわからないですよ(笑)。本当にこればっかりは決めつけたくないし、イコール諦めるみたいになりたくないんで。

――出会いはいつも突然ですしね。あるいは、今回の引退後、即電撃でとか......。

里村 ないですね、残念ながら(苦笑)。なんか歳を取るごとにこだわりというか、譲れないものがますます固まってくるんで。優先順位がもう決まっちゃって、そこを崩すのは難しいと思います。

――今はいろんな形がありますし、現役を離れて違う両立も夢ありで!

里村 まぁお互いわかり合えるなら。第一条件は別居しながらってのが一番ですか(笑)。

――(笑)。いずれ人生を貫かれて、次なるステージも楽しみに期待しております!!

●里村明衣子(さとむらめいこ)
1979年、新潟県生まれ。95年、GAEA JAPANの旗揚げ戦でデビュー。2006年のセンダイガールズプロレスリング設立からエースとして活躍。13年には初の女子プロレス大賞受賞。21年にはWWEでもコーチ兼選手として契約後、NXT UKで王座を4度防衛する。

◆3/19の仙女『THE TOP of JOSHI WRESTLING』(代々木競技場第二体育館)、3/23には新潟・佐渡島(相川体育館)、3/29の新台湾プロレス参戦(台湾)と続き、4/29の後楽園ホール引退試合まで最終降臨を見逃すな!

撮影/五十嵐和博 試合写真提供/センダイガールズプロレスリング

【画像】引退を発表した里村明衣子

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