チャンピオンズリーグでレアル・マドリードが見せた王者の真髄 マンチェスター・シティは攻撃力不足を露呈

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2025年02月12日 19:20  webスポルティーバ

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 チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント進出を懸けたプレーオフのファーストレグ。最大の注目カードは一昨季の覇者対昨季の覇者、マンチェスター・シティ対レアル・マドリードだった。

 両者のCLでの対戦はこれで4シーズン連続だ。昨季はレアル・マドリードが準々決勝でPK戦勝ち(通算スコア4−4)。2022−23シーズンはマンチェスター・シティが準決勝で通算スコア5−1の勝利。2021−22シーズンはレアル・マドリードが通算スコア6−5で勝利している。

 レアル・マドリードの2勝1敗という結果だが、内容は3シーズンとも変わらなかった。攻めるマンチェスター・シティ、守るレアル・マドリードで一致する。主導権を握るマンチェスター・シティに対し、レアル・マドリードがしぶとく食い下がるという展開だ。

 しかし、4度目の今回はこれまでとは趣を大きく異にする展開となった。

 舞台はマンチェスターのシティ・グラウンド。だが、立ち上がりからアウェーのレアル・マドリードが積極的に前に出る。ヴィニシウス・ジュニオール、ジュード・ベリンガム、ロドリゴにキリアン・エムバペを加えたアタッカー陣4人が高い位置から圧を掛ければ、ボールを奪う位置もおのずと上昇する。

 11分、12分、13分と、その産物としてたて続けに決定的なチャンスを迎えた。中でも12分のシーンはシュートを打てば入りそうなチャンスだった。が、パスを回しすぎて好機を逃すという、むしろマンチェスター・シティ的な"濃い"プレーさえ披露していた。

 慌てなくても大丈夫。筆者にはそれが余裕に感じられた。しかし直後の19分、「あの時シュートを打っておけばよかった」とレアル・マドリード側が後悔したくなるシーンが訪れる。マンチェスター・シティに先制点が生まれた瞬間である。

 反転速攻から、左ウイング、ジャック・グリーリッシュのクロスを左SBヨシュコ・クバルディオルが落とすとアーリング・ハーラントが現れ、巨体を揺らしながら蹴り込んだのだ。相手のプレッシャーをかい潜るようなしたたかなゴールだった。

 現在国内リーグ5位と不本意なシーズンを送るマンチェスター・シティ。レアル・マドリードはプレーオフで対戦する相手としては荷が重いかに見えたが、逆境のなかで、従来のレアル・マドリードを彷彿とさせるようなしぶとさを発揮した。

【リードされても焦らないレアル・マドリード】

 だが、時間が進むにつれ、レアル・マドリードが再び前に出始める。同点弾は時間の問題かというあたりで前半を終えた。

 レアル・マドリードも国内リーグで盤石の戦いを繰り広げているわけではない。バルセロナ、アトレティコ・マドリードと三つ巴の戦いを演じている状態だが、過去15度欧州一に輝いているだけあり、CLになるとギアを1段上げ、無類の底力を発揮する。

 この試合、前評判で上回っていたのはレアル・マドリードだった。若干イングランド勢に贔屓が入ることで知られるブックメーカー各社も、マンチェスター・シティを推せなかった。レアル・マドリードは強者の立場でこの試合に臨むことになった。にもかかわらず、先制点を奪われた。並のチームなら焦る。180分のホーム&アウェー戦という長い戦いとはいえ、平常心を失いがちだ。

 ところが、レアル・マドリードは後半も開始早々からいい感じで攻め立てた。

 後半8分、10分と、ベリンガム、エムバペが決定的なチャンスを逃した後だった。後半15分。FK崩れからダニ・セバージョスのクロスボールをエムバペがボレーで合わせ、同点弾とした。その後もレアル・マドリードの攻勢は続く。決定的なチャンスを2度ほど作るなど、逆転は時間の問題かに見えた。

 だが、サッカーは先の読めないスポーツだ。後半35分。フィル・フォーデンがダニ・セバージョスと交錯。微妙なプレーだったが、フランス人の主審、クレマン・トゥルパン氏はマンチェスター・シティにPKを与えた。

 ハーラントがこれを決め、マンチェスター・シティは再びリードを奪う。試合内容とスコアが一致しない、ある意味でサッカーらしい展開となった。だが、欧州一に15度輝いている名門クラブに焦りはなかった。逆にそこからの数分間で、王者の真髄を発揮してみせたのである。

 後半41分、ヴィニシウスが放ったシュートの跳ね返りを、交代で入ったブラヒム・ディアスが押し込めば、アディショナルタイムに入った後半47分、相手の右SBリコ・ルイスからボールを奪ったヴィニシウスが、ベリンガムへのアシストとなるラストパスを決め、逆転に成功した。

 さも当然のように、という感じだった。「レアル・マドリード強し」と言いたいところだが、全体的な印象は「マンチェスター・シティ弱し」になる。最大限うまく戦ったにもかかわらず、2−3で敗れた。その地力の差が際だった一戦となった。

 直近3シーズンの対戦と比較すると、力の差が一目瞭然となる内容だった。マンチェスター・シティはボール支配率こそ57対43で上回っていたが、惜しいチャンス、決定的なチャンスの数でレアル・マドリードに大きく劣った。ひと言でいえば、攻撃力で見劣りした。実際には2点差がついていてもおかしくない、スコア以上の開きがある試合だった。

 マンチェスター・シティにとって痛かったのは、先制点をお膳立てするなど、序盤に独得のキープ力で存在感を発揮していたグリーリッシュが故障で早々に退いたことだ。それ以降、マンチェスター・シティの攻撃には立体感が失われた。

 1週間後に行なわれるセカンドレグで状況が一変するとは考えにくい。マンチェスター・シティにとって苦戦必至の一戦となる。ボールを有効に支配することができない。前方への推進力、スピード感に欠ける。それがこのレアル・マドリード戦を通して露呈した課題だ。立て直すことは容易ではない。逆転は苦しいと見る。

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