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ガンバ大阪
名和田我空インタビュー(前編)
2025シーズンを迎えるにあたって、高校生からプロ入りする道を切り拓いた選手では間違いなく、移籍市場を賑わせたひとりと言えるだろう。
ガンバ大阪のMF名和田我空だ。
彼がその名を一躍世に知らしめたのは、神村学園・高等部2年生時に出場したU−17アジアカップだ。決勝の韓国戦での2ゴールなどの活躍を受けて大会MVPと得点王に輝きアジア制覇に貢献すると、同大会によって出場権を獲得したU−17ワールドカップ・インドネシア2023にも出場した。
さらに、所属チームでも同年の全国高校サッカー選手権大会で8強入り。3年時に出場した夏のインターハイでもチーム史上初の決勝進出を果たし、自身のプレーをチームの結果に直結させながら存在感を示す。残念ながら、高校生活最後の公式戦となった高校サッカー選手権ではまさかの県予選敗退となったが、高校時代を通してチームのど真ん中で輝く姿は、"超高校級"選手として注目を集めた。
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「周りに期待してもらえるのは、すごくうれしいこと。期待に見合った結果を残さないといけない、ってことを自分のいいプレッシャーや原動力にしてきました」
そんな彼が、数多のオファーから選んだのが、ガンバだった。
高校1年生の時から国内外のさまざまなプロクラブの練習に参加してきたなかで、一昨年、ガンバの練習に参加した際の"フィーリング"がよかったこと。ダニエル・ポヤトス監督が志向するスタイルのなかで、自身のプレースタイルが活きるイメージを描きやすかったことが、最大の理由だという。
「ガンバがロングボールを多用するというより、テクニカルな中盤の選手を効果的に使いながら、前に進んでいくサッカーを志向するチームだということが一番の決め手でした。
その分、自分の特徴と似た、うまい選手がいるのはわかっていたんですけど、いろんなことを吸収しながら、そういった選手たちを超えていくことを求めないと、将来的な目標としている世界の舞台には届かないだろうな、と。つまり、自分が主戦場とするポジションにこういう選手がいるから行かない、ではなく、すごい選手がいるところに飛び込んで、競り勝つことを自分に求めるための選択でした」
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昨年のガンバの布陣をもとに考えると、名和田がポジションを競うのは、宇佐美貴史や山田康太ら。いずれもガンバの攻撃の主軸となる選手たちだ。その競争に割って入るのは簡単ではなく、そのためにはフィジカル面を含めたパワーアップが必要だという自覚もあるが、幼少期から磨いてきた技術や質といった"強み"で勝負したいと語気を強める。
「今の時代、テクニカルな選手が減ってきて、フィジカル重視のサッカーになっているということは、高校時代もいろんな指導者から言われてきました。そのなかで自分がどうやって生き残っていくのかを考えると、もちろんベースとなる部分はしっかり作らなきゃいけないですけど、ピッチ上で"違い"を出せるような、『そこが見えているのか』『そこから決められるのか』といった、人とは違う質のところで勝負していくしかない。
ガンバのスタイルなら、きっと近くに効果的なポジションを取ってくれている選手が必ずいると考えても、シュートもパスも選べるという自分の特徴は活かしやすいはずですしね。パスが効果的なら周りを活かす、シュートを打てるなら周りを囮にして自分で行くという判断を間違わないようにしつつ、相手チームを困らせるようなプレーをどんどんしていきたいと思います」
そのうえで、持ち味を、明確な"数字"で表現していくことが、自身に課している最大のミッションだ。
「この世界は結果がすべて。ダニ(ポヤトス監督)との面談でも、去年までの成績やキャリア、実績ではなく、この先のパフォーマンスを見て判断していくと言われているし、自分の色をどんどん出していってほしいと言われているからこそ、ここから自分が何を魅せていけるかだと思っています。自分のプレー、特徴を周りの選手にも知ってもらって、僕自身も吸収するものは吸収して、そのつど、必要と感じたことをしっかり備えていきながら"自分の形"をしっかり表現していこうと思います」
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(つづく)◆ガンバ大阪・名和田我空、スカウトが認める天賦の才>>
名和田我空(なわた・がく)
2006年7月29日生まれ。宮崎県出身。2025年、神村学園高から鳴り物入りでガンバ大阪に入団。プロ1年目からの活躍が期待される。世代別代表でも力を発揮。U−17日本代表では、2023年U−17アジアカップでの優勝に貢献。U−17W杯にも出場した。