半自動オフサイドテクノロジーの導入が決定した [写真]=Getty Images FA(イングランドサッカー協会)は、FAカップ5回戦で半自動オフサイドテクノロジー(SAOT)を導入することを明らかにした。13日、イギリスメディア『BBC』が伝えている。
プレミアリーグでもSAOTの導入に向けて動き出していることが明らかになっていたなか、FAはプレミアリーグに所属するチームのスタジアムで開催されるFAカップ5回戦のうちの7試合でこの技術を採用することを発表。なお、SAOTが導入されるのはイングランドの国内フットボールでは史上初のことになる。
現状、オフサイドの判定の際はVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の審判員が、ボールが蹴られた瞬間、ボールが蹴られた時の守備者の体の位置と角度、攻撃者の体の位置と角度という3つの重要な点を判断する必要があるが、SAOTの導入によって自動判定に切り替えられることで人間の主観要素の一部を排除することが期待されている。
プレミアリーグに所属している全20クラブのスタジアムの屋根下には厳しいオフサイド判定に関わるさまざまな重要な要素を監視する特注のカメラが設置されていることから、プレストン・ノースエンド(2部)のホームで開催されるバーンリー(2部)との一戦を除く、FAカップ5回戦の7試合で導入されることになったようだ。
また、カラバオ・カップ準決勝以降と同様に、FAカップ5回戦の全8試合ではVARによる判定が行われた後に主審が口元にあるマイクでスタジアムに向けてVARの判定をアナウンスする試みが実施されることも明らかになっている。
SAOTの導入を決定したことを受け、FAは「FAカップでの実戦運用が成功した時には、プレミアリーグは今シーズンの後半戦にこのシステムを導入する予定である」ことを明らかにしながら、声明を次のように発表した。
「半自動オフサイドテクノロジーは光学的な選手追跡に基づいて仮想オフサイドラインをより効率的に配置して、仮想グラフィックスを作成し、サポーターのスタジアム内および放送体験を向上させることができる。半自動オフサイドテクノロジーの運用によって意思決定の精度が変わることはないが、プロセスのスピードと効率性が向上するだろう」
なお、プレミアリーグでもSAOTを本格的に導入される予定となっており、昨年4月には2024−25シーズンでの使用が全会一致で承認されている。当初は昨年10月のインターナショナルウィーク後に運用開始見込みとなっていたが、追加の技術テストが必要となったことから、技術の信頼性が完全に確信できるまで導入は見送られることになり、現在までまだ採用されていない。
それでも、先日にはプレミアリーグの最高フットボール責任者であるトニー・スコールズ氏が、SAOT技術が大きく改善したことから、早ければ今シーズン中にも導入することを考えていると明かしており、FAカップ5回戦で問題が起きなければ、プレミアリーグでの導入にまた一歩近づくことにもなりそうだ。
SAOT導入でさらに注目されることになったFAカップ5回戦は3月1日(土)と2日(日)に開催予定となっている。