一条みおPCやインターネットの発達で、田舎で生活しながら都会の会社で働く「二拠点生活」を送る人も増えてきました。
しかしもちろん、実際に現場で身体を動かさなくてはならないお仕事も多く、誰でも二拠点生活ができるわけではありません。
現場での撮影が必要なセクシー女優も、二拠点生活は難しい……と思われがち。そんななか、デビュー以来ずっと故郷の北海道と東京の往復生活を続けている人気セクシー女優が、一条みおさんです。
しかも一条みおさんは「酪農を応援したい」と精力的に活動を続けており、実際に酪農家の方々からも「酪農好き女優」として認知されるほどの「ガチ酪農好き」。 そんな一条みおさんに、二拠点生活の話や酪農に関する話など、深掘りして語ってもらいました。
◆東京が苦手で、定期的に北海道に帰らないとツラいんです
――一条さんは、北海道に住みながらセクシー女優のお仕事をしているんですよね。
一条みお(以下、一条):はい、そうです。月の半分は北海道、半分は東京でお仕事……という生活を、デビューからずっと続けています。
――地方在住の女優さんでも、お仕事が忙しくなってくると結局東京に引っ越してくるケースが多いですが、一条さんはなぜ上京しないんですか?
一条:ぶっちゃけて言っちゃいますと、東京が苦手なんです。人が多いし、ビルもまさに「コンクリートジャングル」って感じで。北海道に帰らないと、精神的にツラくなっちゃっうんです。北海道の自然の多い環境が、私には向いているんですよね。
――北海道では、自然の多い場所で暮らしているんですね。
一条:と言っても、札幌市に住んでいます。札幌市は、中心部はたしかにすごく栄えていますけれど、中心部を少し離れるとけっこう自然が多いんです。鹿も歩いているし、キツネもいるし。
◆東京に来てお仕事が始まるたび、いまだに緊張しちゃいます
――それは素敵な環境ですね。でもずっと北海道と東京の復生活を続けていて、大変じゃないですか?
一条:東京でまとめてお仕事をして、北海道に帰ってリフレッシュする。そんな仕事の仕方が私には合っているみたいなので、大丈夫ですね。
――お仕事にメリハリがつけられるわけですか。北海道ではなにかお仕事はしていますか?
一条:いえ、なにもしていないです。ひたすら北海道に浸って、リフレッシュしています。
――本当に北海道が好きなんですね。
一条:でも久しぶりに東京に来ると、そのたびにお仕事で緊張しちゃうんです。いまだに裸になるのも恥ずかしくって。着替えもスタッフさんがいると「本当に見ないで!」って思っちゃいます。
自分では自分がセクシー女優に向いているとはまったく思っていないんです。カメラで撮影されるのも恥ずかしいし、そもそも目立つのが苦手で。なんでまだ続けられているのか、自分でも不思議なくらいです(笑)。
◆就職してからも実家で農業の手伝いをしていた
――北海道大好きな一条さんですが、最近は酪農に関する活動でも知られていますよね。やっぱり北海道出身なのが、理由としては大きいですか?
一条:私の実家がもともと農家だったんです。田舎のほうで、家の周りには畑しかない、みたいなところで育って。私も学校を卒業して、就職してからも農業のお手伝いをしていたんです。
でも結局、跡継ぎがいないから農業はやめてしまって、それで私は札幌に出てきたんですよ。だから直接酪農をやっていたわけじゃないんですが、近所には酪農家さんも多かったので、親しみはありましたね。
――それで、酪農を応援しよう、と思ったわけですか。
一条:いやー、もともとは「酪農を応援したい!」と言う気持ちよりも「羊を育てたい」って思っていて。
――羊……ですか?
一条:羊、かわいくて好きなんですよ。そもそも人間が多いのが苦手なので、羊と暮らしたいなって(笑)。
北海道って、ジンギスカンが有名ですよね。でも羊を飼っている酪農家さんも、跡継ぎ不足などでどんどん減ってきてしまっていて、ジンギスカン用の羊肉もどんどん高くなっているんです。「だったら私が育てるのもアリじゃん」って、本当に軽い気持ちで思っていたんですよ、今までは。
◆牛乳が売れなくて大変な酪農家を応援したい
――「今までは」ということは、今は気持ちが変わってきている?
一条:羊を育てたいのはもちろんですが、今は牛乳の問題に取り組んでいます。
牛乳が売れなくなっていて、酪農家さんがすごく大変なんです。「牛乳が売れないなら、チーズやバターに加工すればいい」って言う人もいますけど、加工するにもお金がかかっちゃうから、簡単じゃないんですよ。
そんな状態だと将来性もないから、どんどん跡継ぎもいなくなって、ますます酪農家さんが減ってしまっているんです。そういう状況を、なんとかできないかなって考えています。
――それは難しい問題ですね。
一条:新鮮で安全な牛乳を飲める国って、少ないんですよ。本来だったら、牛乳1リットルあたり500円くらいじゃないと、酪農家さんは苦しいんです。
でも日本では200円くらいで売られていて、値上げしたら売れない。加工もコストがかかって難しいとなると、もう牛乳を捨てるしかないって状況なんです。
そんな負のサイクルをなんとかしたくて、いろいろな酪農家さんに直接コンタクトを取ってみたんですよ。
◆「酪農募金」をつくり北海道の酪農家に寄付
――ご自身で、自主的にですか。
一条:はい。あとは事務所の社長にも相談をしたら、社長もいろいろな人にコンタクトを取ってくれて。でもセクシー女優が突然「なにかできませんか」って言っても、相手も「突然なんですか?」ってなっちゃうじゃないですか。無理もないですけど、ほとんど誰からも相手にされなくて。
だからカレー屋さんとコラボして、実際にメニューを考えたり、お店で店員をしたりして「酪農募金」を集めたんです。店員になったときは、300人くらいお客さんが来てくれました。結局「酪農募金」は15万円くらいですかね、北海道の酪農家さんに寄付ができました。
――それは素晴らしいですね。どんなコラボメニューを考えたんですか?
一条:牛乳をたっぷり使ったホワイトシチュー、あとはジンギスカンカレー、ソーセージと野菜のカレー。全部、北海道の食材を使ったメニューです。
カレー屋さんだけじゃなくて、タイ料理のお店ともコラボをしました。そうやって、少しずつ酪農に関する活動を続けていったんです。
――「一条みお=酪農」のイメージを、少しずつ作っていったわけですね。
一条:あと「牛乳でスマイルプロジェクト」という、さまざまな企業さんや酪農家さんが関わっているプロジェクトがあるんです。私もSNSで「#牛乳でスマイルプロジェクト」「#牛乳で乾杯」って、毎日牛乳を飲む画像をアップしています。
そうしたら「僕も飲んだよ」ってコメントや、牛乳を飲んでいる画像をアップしてくれる方も増えて。とにかくみんなが一日一杯でも牛乳を飲んだら、牛乳の消費量が増えて酪農家さんの収入アップにもつながるので、少しでも力になれたらって気持ちで続けています。
――すごく真剣に、酪農のお仕事に向き合っているんですね。
一条:そのくらい、一次産業が好きなんです。最初は「セクシー女優がなんで酪農を応援するの?」って誰にも見向きもされませんでしたが、さまざまな活動を続けているうちに「本気なんだ」って思ってもらえるようになったのが、うれしいです。
◆酪農応援活動を続けるうちに増えていった肯定的な声
――現在では「ガチで日本の酪農を応援するセクシー女優」として個性的な存在となっている一条さんですが、周囲からの評判はいかがですか?
一条:ずっと「酪農ラブ」で行動を続けていたためか、セクシー女優としての私のファンの方だけではなく、それ以外の方にも認知してもらえるようになりました。
この前は撮影でご一緒した男優さんに「僕、みおちゃんのファンなんですよ」って言っていただいて。うれしかったですね。
――否定的な声などはありませんでしたか?
一条:最初の頃は、アンチとまでは言いませんが「どうせ言っているだけだろ」なんて意見も、やっぱりありました。でも実際に募金やイベントなどで行動しているうちに、そういう声は消えていきましたね。
酪農家さんからもSNSをフォローしていただくことが増えたので、続けてきて良かったと思います。
――発言と行動が伴っているからこそ、ですね。
一条:本当に、酪農だけでなく日本の一次産業について、勉強すれば勉強するほどいろいろな疑問点や問題点が出てくるんです。実際にそういった疑問点や問題点について声を挙げている酪農家さんもいます。
私も「酪農好きセクシー女優」として、そういう方々のお手伝いが少しでもできれば、と。だからこれからも、酪農に関する活動は続けていきます!
<取材・文/蒼樹リュウスケ>
【蒼樹リュウスケ】
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター