「もう一生歩けないかも」胸から腕にかけて深い傷…近所の玄関先で倒れていた瀕死の子猫、保護3年、奇跡の回復で“大暴走猫”に

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2025年02月17日 07:20  まいどなニュース

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保護当時、病院で治療を受けていた小梅ちゃん(画像提供:千代蔵さん)

「ご近所さん宅の玄関前で行き倒れ、動物病院で保護、里親募集されていた。胸から右腕にかけて、たすきがけのような原因不明の深い傷。神経が切れていて、『一生ちゃんと歩けないかも知れない』と聞かされて飼うことを決意。結果、現在、大爆走猫」。

【写真】お迎え当初…治療のため全身の毛を刈られていた猫さん

2024年12月、飼い主のX(ツイッター)ユーザー・千代蔵さん(@chiyomomiRSA)は、愛猫をお迎えした経緯をつづり、写真と動画を投稿。

そこには、黒猫の女の子「小梅(こうめ)」ちゃんの姿がうつっています。保護当時、大きな傷を負ってほっそりとしていた小梅ちゃん。飼い主さんのおうちに迎えられ、元気に走り回る姿をとらえた動画からは、幸せな時間を過ごしていることが伝わってきます。

小梅ちゃんと飼い主さんが出会ったのは、今から3年前のこと。一体、小梅ちゃんに何があったのでしょうか。詳しいお話をうかがいました。

動物病院で目にした子猫の里親募集

飼い主さんのおうちには、小梅ちゃんのほかに3匹の猫が暮らしています。13歳の男の子「小鉄」くん、7歳の女の子「千代」ちゃんと「紅葉」ちゃんです。

2021年9月22日、千代ちゃんのワクチン接種のため動物病院を訪れた飼い主さん。そこで、子猫の里親募集に関する張り紙を目にしました。そこには、胸から右腕にかけて傷を負っていて、将来的に歩行が困難になる可能性が高いと書かれていたといいます。

「病気やケガのある子の引き取り手を見つけることは難しいだろうと、容易に想像できました。小梅を迎える4カ月前、足が不自由だった黒猫の雷蔵を10歳で亡くしたばかりだったため、ご縁を感じたのです。体が不自由な子のお世話にも慣れていたことから、『この子はうちへ連れて帰ろう』と思い、先生に伝えました」

それが、当時、生後3カ月だった小梅ちゃんとの出会いでした。

傷やカビの治療のため、全身の毛を刈られていた小梅ちゃん。人間への恐怖心から威嚇のシャーシャーが止まず、歩くことができないため、這いながら隅っこに逃げていたといいます。

「里親募集の張り紙にあった通り、胸あたりから右腕にかけて、痛々しい大きな傷がありました。先生によると、『外に出たら玄関先に子猫がうずくまっていた。傷を負っていて全然動かない』と連れて来られたとのこと。すでに息絶えているのではないかと思うほど、衰弱していたそうです」

小梅ちゃんが負った傷は、想像以上に重いものでした。前足の神経が切れていたため、すぐに手術をしたものの、傷口はなかなかふさがらず、前足はだらんとしたまま……。先生からは「完治するとは断言できない」と言われたそうです。

それでも、小梅ちゃんをお迎えしたいという飼い主さんの気持ちは変わりませんでした。先生との信頼関係も築いていたことから、「雷蔵くんのお母さんなら何も心配ないですね。病院にいるよりも家でのんびりと養生したほうがいいでしょう」と言ってもらったといいます。

「10月1日、小梅は正式に我が家の子になりました」

こうして小梅ちゃんは、飼い主さんのおうちで過ごしながら通院することになったのです。

先住猫たちと関わり、心を開いた小梅ちゃん

お迎え当初、小梅ちゃんはまったく動かず、鳴くこともなかったといいます。

「触れようとすると、シャーシャーと威嚇するのですがまったく動かず……。おやつを差し出すと、ほかの猫の3倍くらいの速さで完食し、すぐ引きこもっていました」

しばらくそのような日々が続きましたが、飼い主さんは優しく小梅ちゃんのことを見守り、お世話をしました。

「指先で少しだけ触れる回数を少しずつ増やしていき、人間に慣れてもらえるようにするなど試行錯誤しました。今まで一緒に暮らした猫のなかで、小梅が一番、人馴れするまでに時間がかかったように思います。とにかく、最初は『人間、大嫌い!』という感じでした」

小梅ちゃんが大きく変わったのは、先住猫たちと触れ合うようになってから。面倒見の良い最年長の小鉄くんと仲良くなってから、小梅ちゃんは少しずつ家の中を歩くようになったのです。

「階段をゆっくり上り下りする姿は、懸命にリハビリをしているようにも感じられ、とても愛おしくてたまりませんでした。我が家に来て2カ月ほど経ったころ、私が仕事から帰って来ると、小梅と小鉄が追いかけっこをしていたのです。小梅は、階段を猛ダッシュで駆け上がっていました。思わず、『うそーん』とひとりつぶやいてしまったのを覚えています」

小梅ちゃんの傷はすっかり良くなっていて、ほかの猫と同じように走ったり、高いところへも登ったりすることができるようになっていました。

「動物病院で先生にそのことを伝えると、とても驚いていました。傷の原因も不明なら、良くなった理由も不明。そんなことが起こり得るとは想像していませんでした。『一生、面倒を見るからね!』と息巻いていた私の覚悟を返してほしいです(笑)」

こうして奇跡的な回復を見せた小梅ちゃん。先住猫ちゃんたちと飼い主さん、そして先生の温かい支援を受けて、命の輝きを取り戻したのです。

今、飼い主さんが抱く小梅ちゃんへの思い

小梅ちゃんは、現在、3歳を迎えました。

お兄ちゃんやお姉ちゃん猫たちに囲まれながら、優しい飼い主さんのもとでにぎやかな日々を送っています。

「小梅は、今でも怖がりですが好奇心旺盛な一面も見られるようになりました。キャリーバックと抱っこされるのは大嫌い。昔はとても寡黙な子でしたが、話しかけているうちに“おしゃべり猫”になりました」

飼い主さんには、小梅ちゃんに伝えたいことがあります。

「小さなころ、痛くてつらい思いをしたぶん、『これからは何もつらいことがないように、私ができることは何でもするよ。だから、これからもずっと私のそばで長生きしてね』と伝えたいです」

もう小梅ちゃんはひとりではありません。いつもそばで守ってくれる家族ができました。これからもっとみんなと絆を深めながら過ごしていくに違いありません。

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)

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