満員電車は“地獄絵図”、もたれかかってくる人たちにヤンキーが激怒して「心の中で“ありがとう”と言いました」

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2025年02月17日 09:31  日刊SPA!

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※写真はイメージです。
移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
◆満員電車で踏ん張らなければ立っていられない状態に

相馬加奈さん(仮名・40代)は新入社員時代、混むことで有名な路線を利用していた。毎朝の通勤時間は身動きをとるのも大変な状態だったという。

「現在はリモートワークも広がって、ぎゅうぎゅうに詰められることは少ないかもしれませんが、当時の通勤電車は本当に地獄絵図みたいでした」

ある日の通勤ラッシュで窓に手を当てて踏ん張るような姿勢になってしまったのだとか。

「みなさん体重を隣の人に預けるかたちになるので、車内のもっとも内側に乗ってしまった私は、窓を頼りに踏ん張らなければならず、とても辛い時間を何駅分か過ごしていました」

すると、次の駅で、男性2人組が乗車してきた。しかも悪そうな、いわゆる“ヤンキー”だ。

「こんな状況の中、その2人組が私の近くに流れ込んできたんです。そっちも嫌だなと思って、気になりながらずっと耐えていました」

◆ヤンキーが放った言葉に「ありがとう」

揺れるたびに、相馬さんの元に数人分の体重がのしかかる状態が続いた。相馬さんは「早く最寄り駅に着かないかな」と思っていた。そのとき……!

「てめぇの体重くらい、てめぇで支えろよ!」

ヤンキー風の男性が発した言葉で車内は一瞬、静まり返った。そして、乗っていた全員が本当に“自分の体重を自分で支える”ようになったのだ。

「男性の怒鳴り声に、乗客全員がドキドキしていたと思います。でも私はむしろ、“ありがとう”と心の中で言いました」

その後、相馬さんは会社の最寄り駅まで、誰にももたれかかられることなく、“自分の体重だけを支えながら”立つことができた。

「社会人1年目で、あの通勤電車を体験しながら、社会人は大変だなと思っていました。社会人としての洗礼とでも言いますか……電車が揺れれば隣の人にもたれかかるのも仕方ないと思っていました」

あのヤンキーの一言で意識が変わったという相馬さん。

「あれ以来、混んでいる電車で他人に寄りかかることはしていません。というより、本来、寄りかかる必要はないんです。自分の体重は自分で支えられますから(笑)」

◆僅かな隙間をこじ開けて座るビジネスマンに唖然

営業職に就いていた加藤信之さん(仮名・50代)は、毎日電車で通勤し、行きも帰りも満員電車に揺られていた。

いつものように通勤ラッシュのある朝、ぎゅうぎゅう詰めの車内で自立することも困難だった。そんな中、ある駅で1人の男性が乗り込んできたという。

「年齢は50代くらいの人相の悪いビジネスマンで、威圧的な雰囲気を漂わせていました」

その男性は、吊革につかまる加藤さんを押し退け、目の前の僅かしか空いていないスペースを無理矢理こじ開けて座った。

「私も周りの人たちも迷惑そうにその男性を見つめていました。ただ、もしかしたらこの男性は怪我をしていて、どうしても座りたい理由があるのだろうと、自分に言い聞かせながらそのときを過ごしました」

しかし、加藤さんの良心からくる想像は、この男性にことごとく打ち砕かれるのだった。

◆居ても立っても居られず注意すると…車内は拍手喝采

「私の目の前に座った男性は、隣に座る若い女性に寄りかかって眠ってしまったんです。逃げ場のない女性は身体を揺らしながら男性を起こそうと必死でしたが、一向に起きません。彼女は半分涙目になりながら困り果てていたので、あまり関わりたくなかったですが、私は男性を起こし、彼女が迷惑している旨を伝えました」

すると男性は加藤さんに対して舌打ちをし、「お前には関係ないだろ!」と言い放ったのだとか。

車内は不穏な空気に包まれたが、加藤さんの怒りは収まらなかった。男性が降りる際、加藤さんは改めて……。

「あなたはこれだけ周りに迷惑をかけ恥ずかしいと思わないのですか? もしそうなら、これからでも遅くないので、人に対する思いやりを日夜勉強してください」と告げたという。

車内では、どこからともなく拍手が起きていた。その男性は、何も言葉を発することなく恥ずかしそうに降りていった。

「とくに朝の通勤時間帯は多くの人がストレスを感じながら乗車していますが、それを他人にぶつけるのは筋違いです。いろいろな状況や気分で電車に乗っている人がいることを念頭に置き、思いやりと労わりの気持ちを持ち続けることがとても大切だと改めて感じました」

電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。

<取材・文/chimi86>

―[乗り物で腹が立った話]―

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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