もはやLINEはインフラ 若者は本命SNS「Instagram」で何をしているのか?

0

2025年02月17日 14:51  ITmedia Mobile

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia Mobile

「普段一番よく使っているSNSはどれですか?」(Studyplusトレンド研究所)

 「若者はLINEを使っていない」――そんなうわさが流れてからずいぶん時がたつ。若者は大人が入ってきたサービスから逃げ出す、という言説もある。しかし、本当に若者はLINEから離れているのだろうか。


【その他の画像】


 答えは「No」。LINEは、友人だけでなく、家族や友人、アルバイト先との連絡などによく使われている。Studyplusトレンド研究所が2024年7月に高校生に行った「SNSに関する調査」では、「普段一番よく使っているSNSはどれですか?」の問いに対し、1位は「LINE」(39.8%)だった。


 「LINEは使わなくなった」と言っている若者は、もはやLINEがインフラと化しているため、意識していないのだろう。大人が「メールは使わなくなりましたね」と言うのと似ている。LINEがリリースされたのは2011年であり、彼らが幼い頃からLINEはあったのだ。


 また、LINEの使われ方も関係しているのだろう。LINEの利用目的のほとんどが、「トーク」と呼ばれるメッセージでの連絡だ。トークのやりとりが止まらないというときももちろんあるが、基本的に送信すればアプリを閉じる。なぜなら、他に魅力的なアプリがたくさんあるからだ。


 その1つが、先ほどのアンケートで2位になっていた「Instagram」(32.9%)だ。「LINEを使わなくなった」と話す若者も、「インスタ(Instagram)使っているから」と回答することが多い。彼らはなぜInstagramをよく使うのか、Instagramで何をしているのかを紹介する。


●プロフィールはほぼ空に DMでもやりとり


 Instagramは「インスタ映え」する写真を投稿するSNSとして人気が高まった。しかし、今は「フィード」への写真以外に、24時間で消える「ストーリーズ」、ショート動画「リール」があり、DM(ダイレクトメッセージ)も備えている。


 若者が投稿するのは、もっぱらストーリーズだ。ストーリーズには静止画、動画が投稿できる。日常のたわいもないことをストーリーズに投稿する。ストーリーズにコメントをするとDMになるため、そこから会話が続くことも多い。自撮りをする際にもストーリーズのカメラエフェクトが「盛れる」とよく使われる。2025年1月にクリエイターが作成したエフェクトが利用できなくなった際には、悲しみの声がSNSにあふれた。人気のエフェクトは、顔や目が極端に大きくなるなど、ユニークなものも多い。


 フィードへの投稿はほとんど行わず、とっておきの写真だけをプロフィール画面に載せるようにしている。プロフィール画面にまったく投稿がない人もいる。フィードに投稿しても、しばらくしたらアーカイブか削除を行って、見えないようにする。若者にとって、プロフィール画像とプロフィール画面は自己表現の場として重要なのだ。


 DMは基本的に1対1で使っているが、グループでも利用する。LINEは公式アカウントからのメッセージや、部活の先輩などのあまり気乗りしないメッセージも来ているため、未読のままためがちだ。そのため、LINEを開くこと自体がおっくうになり、InstagramのDMを優先して返信する人も多い。InstagramのDMは、基本的に「最近仲がいい」友人とつながっているからだ。DMには通話機能もあり、LINEの通話と併用して使われている。


 また、最近は「ノート」機能がよく使われている。ノートとは、ひとこと書いたり、音楽をシェアしたりできる機能だ。DM画面の上部に表示されるが、2024年からリールやフィードにもノートが付けられるようになった。手軽に交流でき、公開範囲を限定できる点が10代に人気となっている。


●アカウントは2つ以上作成、相手によって使い分ける


 若者はInstagramにメインアカウントとサブアカウントを持っている。NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、10代女性の約7割が2個以上のアカウントを持ち、3個以上のアカウントを持つ人は約4割いる。


 メインアカウントは関係性が浅い人ともつながる、いわばオフィシャルアカウントだ。フィードやストーリーズへの投稿も少なめで、広くつながるためだけに使われている。


 サブアカウントは、親しい友人だけのアカウントや、推し活専用アカウントなど、用途別に分けて運用している。親しい友人とのアカウントを複数持つケースもある。さらに、ストーリーズの公開範囲を「親しい友達」限定にすることもできる。


 大人が若者に用事があり、「連絡したいからLINE教えて」と頼んだとき、「Instagramでいいですか?」と返されたという話を聞くが、これはInstagramのアカウントのうち、無難なアカウントを教えたいからだ。「LINEを教えるのは重いけど、Instagramならさりげなくフォロー削除できるし」とある10代女性が言っていた。こうしたエピソードから「若者はLINE使っていないんだ」と認識した大人も多いようだが、LINEを教えない理由は、縁を切りにくいから。ブロックするのは角が立つし、インフラなのでアカウントごと削除するのは避けたいからだ。


 Instagramのサブアカウントでは、ストーリーズの「ライブ」を使って、ライブ配信も行われる。親しい人しかつながっていないので、安心して配信できる。もっと限定したければ、「親しい友達」のリストに入れた人だけに公開することが可能だ。コメントしてくれた人に対して答えるなどの交流を行うため、感覚としてはビデオ通話に近いが、見たい人だけ見に来るゆるさがいいのだろう。友達数人で集まったときに、来ていない人向けにライブ配信する人も多い。


 このように、若者は自分の情報を出す相手を細かくコントロールし、お互いの負担が軽い方法でコミュニケーションをする。そのニーズに応えられているのが、Instagramだ。彼らはメインアカウントとサブアカウントでストーリーズやDMをまめにチェックし、時折リールを見ているため、Instagramの利用時間も自然と長くなる。大人から見えない場所で楽しんでいるので、何をしているのかつかみづらいかもしれないが、彼らにとってInstagramは欠かせないツールの1つになっている。



    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定