2024年F1第16戦イタリアGP トト・ウォルフとその息子 メルセデスF1チーム代表トト・ウォルフは、F1におけるシミュレーター作業の重要性がますます高まっていることについて語り、若いドライバーたちが仮想世界と現実世界のパフォーマンスをシームレスに統合していると説明した。
ウォルフによると、4度のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンを含む若い世代は、仮想と現実の両方を見事に融合させる能力を持っており、それがフェルスタッペンがシミュレーションレースに熱中する理由かもしれないという。
実際、フェルスタッペンはシミュレーターでのトレーニングを積極的に活用しており、バーチャルトレーニングの有用性を強く支持している。
レースウイーク中に深夜までシミュレーションレースに取り組む彼の姿を見て、疑問を抱く人々もいる。仮想の24時間レースを終えた後にグランプリへ集中するのは難しいと考えるためだ。しかし、ウォルフはこの習慣をむしろ貴重なトレーニングツールとして評価している。
ウォルフは、自身の7歳の息子ジャックに関するエピソードを通して、その考えを示した。
「7歳の息子は、自宅にカート用のシミュレーターを持っていて、オンラインで他の人たちとレースをしている」とウォルフは語る。
「イタリアにはコースが4つある。そのなかに、実際に彼が運転したことがないコースがあったが、シミュレーターを通じてそこを完全に理解していた」
そして、ジャックが初めてその実際のコースに訪れたとき、驚くべきことが起こった。
「彼はコースに出てすぐに最速タイムを出した。彼が『このコースを知っているからね』と言うので、私は『そうだね、でもシミュレーター上で知っていただけだよね』と言った。だが彼は『本当だって。ここは走ったことがあるんだ』と言うのだ」
ウォルフはこの体験から、「若者はもはや現実と仮想の世界を区別していない」と結論づけた。
ウォルフはまた、シミュレーター作業が若いドライバーにとって非常に貴重なツールであり、トレーニングのあり方を大きく変える可能性があることを認めた。
「現在のグラフィックスは非常に精巧で、それによって若者の思考の働き方も変わってきている」とウォルフは語る。
「息子は5分間のカートレースを20回連続で走ることがある。そのなかで、スタートからクラッシュまで、すべてを経験している」
「本来、このようなトレーニングはすべてのドライバーに推奨されるべきだ。ただし、それほど若くないドライバーにとっては、おそらく少し難しいだろう。そして誰でもマックスのような効果を得られるとは限らない」