2025スーパーフォーミュラ鈴鹿公式テスト 三宅淳詞(ThreeBond Racing) 2月18日、鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式テスト1日目では、昨年から目立った躍進を遂げた陣営があった。三宅淳詞の1台体制でエントリーするThreeBond Racingだ。
2024年シーズン、年間を通してノーポイントと苦しんでいた三宅の12号車は、この日朝のセッション1で首位から0.02秒差の2番手、本格的なドライ路面での初走行となった午後のセッション2でも、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)という上位勢の常連に次ぐ3番手に飛び込んだのだ。
「走り始めから、ここ最近にはなかったようなすごい手応えがありました」。初日の走行を終えた三宅は、爽やかな笑顔を浮かべながらそう振り返る。
テスト前から話題になっていたように、今季のThreeBond Racingは体制を変更。アドバイザーを務めていた塚越広大が監督に、そしてTEAM MUGENからチャンピオン獲得経験のある一瀬俊浩エンジニアが移籍加入した。細かなセットアップのノウハウがモノを言う現在のスーパーフォーミュラでは、やはり知見を持ったエンジニアの移籍はやはり大きい、ということだろうか。
この日のテストの走り始めは前日からの雪および雨の影響が残るウエット路面。その状況下でコースインしただけでもグリップの高さが感じられ、「正直、手応えはあった」と三宅は進歩を確信したという。
昨年までのクルマとどこが主に変わったのか、という問いには「タイムを見てもらえれば分かるように、もう全部ですよね(笑)」と三宅。ただしセットアップシート自体を比較してもそこまで大きな違いがあるわけではなく、「本当に小さな、ひとつひとつの積み重ねなのではないかと思います」という。
もちろんチームにはこれまでのノウハウの蓄積もあるわけだが、あえて「今日の進歩のうち、一瀬エンジニアが加入した効果は何%くらいあるか」と問うと、「代わったメンバーは一瀬さんなので、90%以上は絶対にあるとは思います」と三宅は即答する。
「ここ最近のスーパーフォーミュラでの勝ち方も知っていますし、進め方についても納得した部分もありました。もちろんクルマのセットアップもすごいのでしょうけど、クルマのメニューの組み方や段取りなんかもすごいと思います。無駄なく、効率よくという感じで」
一瀬エンジニアは前日のメディアデーの際、公式アプリ『SFgo』の車載映像などを通じて三宅のドライビングを分析していた過去を明かしたが、そういった経緯もあり、三宅が車両に対して『欲しい部分』の意思疎通は最初からスムーズに行えたのだという。これも、走行初日から飛躍を生み出すことができた要因になっていたようだ。
とはいえ、まだテストは始まったばかりで、各陣営はスペックが変更されたタイヤの特性や、鈴鹿サーキットの改修された路面を習熟中の段階。開幕戦に向けた持ち越しタイヤをどう温存するかなどの戦略面も絡むため、「このリザルトが自分の本当の位置かは分からない」と慎重な構えを見せながらも、三宅は「去年はこんな順位を走れることはなかったので、上位にいられることはポジティブ」と終始柔らかい表情を見せていた。
「(ピットでコクピットに座っているときに見える)作業しているメカニックさんも笑顔なので、こういう雰囲気を崩さずにやっていきたいですね。流れは大事だと思うので、無駄なことをせずに、順調に進めていければいいかなと思っています」