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前回からの続き。私(ヒカリ)は、両親と3人で暮らしている。私は小学校高学年になった頃から少しずつ友達が減っていき、今では話かけてくれる人なんてほとんどいない。お母さんは「そのままのヒカリでいて」と言って、私に外見の手入れを一切しないようにと、まるで呪文のように繰り返し言い続けている。最近、数年ぶりにイトコのサラちゃんと会えた。せっかくサラちゃんが身だしなみのアイテムをくれたのに、お母さんが全部送り返してしまった。「そのままのあなたが一番」と言って……。悲しかったけれど、悲しまないようにするのは平気になっていた。
サラちゃんと映画に行く約束をした。部屋にある洋服を見ても可愛いものはない。先日おばあちゃんの家でサラちゃんに会ったときに着ていた洋服を思い出して、少しだけ羨ましくなってしまった。お母さんに、「ヒカリはいつもの通りでいい」と言われたので、私は「いつもの服」を着ていった。でも……。
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私のことを心配してくれるサラちゃん。けれど私の脳裏にはすぐにお母さんの姿が浮かび、嫌な記憶がよみがえって現実に引き戻されてしまう。私はいたたまれなくなり、サラちゃんに「今日は帰るね」と言って帰ってしまった。早足になりながら、頭の中は混乱していた。
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どういうこと? 子どもは子どもらしくいればいいんじゃないの? 今のままじゃ「そのままの私」すらも理解されないの?
今まで信じてきたもの。心の奥底で疑問に思いつつも、それでも信じ続けてきたものがガラガラと音をたてて崩れていくように感じた。
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サラちゃんが心の底から私のことを心配してくれているのは分かっていた。
けれど、どうしても頭の中にはお母さんの姿が浮かんでくる。
「子どもは子どもらしく」
「そのままのヒカリでいい」
そう言い続けてくれていたお母さん。
でもサラちゃんは、ありのままの自分を理解してもらうために、身だしなみを整えておくことも必要なのだと教えてくれた。
「オシャレ」と「身だしなみを整える」は別だと言うサラちゃん。
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私は心がぐちゃぐちゃになってしまい、はじめてお母さんに感情をぶつけてしまった。
【第8話】へ続く。
原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・よしはな 編集・石井弥沙