ケア・トランポリン汚職 2800万円は「成功報酬」 社長が供述

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2025年02月19日 18:25  毎日新聞

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毎日新聞

福岡県警本部

 福岡県が助成する健康事業「ケア・トランポリン運動」を巡る汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された会社社長が逮捕前の任意の調べに対し、元県議の片岡誠二容疑者(58)=収賄容疑で逮捕=に渡した現金2800万円は「(事業拡大の)成功報酬だった」という趣旨の説明をしていた。事業に協力的な片岡容疑者に以前から企業献金していたが、法律上の上限額があるため「金額が足りない」と考えたという。いずれも関係者への取材で判明した。


 贈賄容疑で逮捕されたのは、北九州市の健康器具製造販売会社「サンライフ」社長、鬼木義美容疑者(66)。関係者によると、逮捕前の任意の調べでは2800万円について「賄賂ではない」とも供述したとされるが、県警は実質的には片岡容疑者の便宜に対する見返りの趣旨だったとみている。県警は、逮捕後の両容疑者の認否を明らかにしていない。


 健康事業では、北九州市の一般財団法人が開発した手すり付きの円形の跳躍器具「ケア・トランポリン」(直径約1メートル)が使われ、サンライフが開催会場に器具を貸し出していた。


 関係者によると、器具を県の担当者に紹介するなど協力的だった片岡容疑者に対し、鬼木容疑者は熱心に献金を続けていた。


 政治資金収支報告書によると、片岡容疑者が代表を務める「自民党福岡県中間市第1支部」は、サンライフなど鬼木容疑者が代表取締役を務める会社から、2017年750万円▽18年1370万円(2社分)▽19年1500万円(2社分)▽23年300万円――の寄付を受けた。さらに24年6月には一部で記載漏れがあったとして追記され、20年にサンライフなど2社から計1500万円の寄付を受けていたことも判明した。


 政治資金規正法は政党支部などへの企業献金について、資本金10億円未満の会社は年間の上限額を1社750万円と規定。サンライフは該当しており、他の関連会社も使って寄付額を積み上げていた節がうかがえる。


 一方、鬼木容疑者の親族が代表を務める会社は、片岡容疑者の妻が代表を務める会社と契約書を締結。この契約に基づき、片岡容疑者側に22年4月、2800万円が支払われた。県警はこの金銭授受は商取引を装っているものの、健康事業に県の助成予算が付くよう便宜を図った見返りだったと判断し、両容疑者を逮捕した。


 県警は、片岡容疑者の後押しを受けて事業が拡大する中、鬼木容疑者が、さらなる資金提供が必要だと考えたことが事件の背景にあるとみている模様だ。【佐藤緑平】



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