ファーウェイ(Huawei)は、2月18日にマレーシア・クアラルンプールで新製品発表会を開催した。同イベントはグローバル向けで、アジアはもちろん、欧州のメディアも集められていた。例年、スペイン・バルセロナで開催されるMWCに合わせて実施されていたイベントに位置付けは近い。ここで真っ先に披露されたのが、3つ折りスマホの「HUAWEI Mate XT ULTIMATE DESIGN(以下、Mate XT)」だ。
●閉じて6.4型、開いて7.9型と10.2型のディスプレイを使える
Mate XTは、2024年に中国で発売された世界初の3つ折りスマホ。3段階にディスプレイサイズを変更できることを特徴にしている。中国限定の展開だったMate XTだが、ファーウェイはこれをグローバル市場に拡大していく。同社によると、まずは東南アジアが中心になるといい、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、香港、カンボジアで展開することが決定したという。
残念ながら、現時点では日本での発売はアナウンスされていないが、Mate XTはフォルダブルスマホの今後の方向性を示す端末の1つとして、注目しておいた方がいい1台といえる。競合では、サムスン電子も1月に米カリフォルニア州サンノゼで開催したイベントで、3つ折りスマホのシルエットを公開。3つ折りスマホ投入の“におわせ”ではないかとウワサされている。ここでは、Mate XTの実機をチェックしていきたい。
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3つ折りのフォルダブルスマホと聞くと、奇をてらった端末のように思えるかもしれないが、Mate XTは思いのほか“普通”に使うことができる。手に取ったときのズッシリとした重み(298g)はあるが、閉じるとあたかも普通のスマホのよう。それを可能にしているのは、最薄部3.6mmという薄さだ。本体を極限まで薄くすることで、閉じて3段階に重なってもギリギリ許容範囲な厚みを保てるというわけだ。
閉じたときのディスプレイは6.4型。この状態のときの使い勝手は、一般的なスマホと大きく変わらない。1回開くと、3面あるうちの2つを使う状態になり、ディスプレイが7.9型に拡大する。サイズ感は、サムスン電子のGalaxy Z Foldシリーズを開いたときにそれに近い。タブレットとしては小ぶりだが、その分携帯性が高く、移動中などに大画面で使いたいときに重宝する。
中間段階の7.9型モードにした場合、ディスプレイの3分の1が背面側に折りたたまれている状態になる。裏や上部から見ると、半分だけディスプレイが重なっていることが分かる。背面に段差がある形になるため、ここに指を引っ掛けて持つことが可能。スマホと比べると大型だが、意外と持ちやすかった。この折れ曲がっているディスプレイを展開すると、最大サイズの10.2型になる。
そのサイズ感は、あたかもタブレットのよう。動画などのコンテンツが大迫力になる他、PC用レイアウトにしたWebサイトも見やすい。搭載されている標準アプリの多くは、画面サイズに合わせて3段階でレイアウトが変わるようになっている。
●2カ所を折り曲げる機構を生かした変則的な利用も可能
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2カ所を折り曲げられるため、それを生かして変則的な状態で利用することができる。例えば、1面分だけを途中まで折り曲げて、そこにキーボードを表示させるといった使い方も可能だ。ただし、キーボードの真裏にカメラがきてしまうため、机やテーブルの上に置いて入力することができないのが惜しい。この場合は、両手持ちで、キーを親指で打つ形になる。
テントのような形で立てておき、カメラ部分のディスプレイを動かして画角を調整するといったこともできた。また、フォルダブルスマホでおなじみの、カメラ側にディスプレイを出し、メインのカメラを使って自撮りするといったことも可能。2カ所を折り曲げられるというギミックを生かし、1台3役以上の活躍をするデバイスになっている。
カメラは広角、超広角、望遠の3眼で、メインの広角カメラはF1.4からF4.0までの可変絞りに対応する。プロモードでは、絞りを手動で変更していくことが可能だった。ファーウェイは、かつて今のシャープやXiaomiと同様、Leicaとカメラを共同で開発していた。一方で、現在、その協業は終了しており、カメラには独自の「XMAGE」ブランドを冠している。
●依然としてGoogleサービスは使えず 価格は日本円にして約55万円
OSには、「EMUI 14.2」が搭載されていた。米国の制裁を受け、Googleのサービスを使用できなくなったファーウェイは、現在、発売中の端末を独自開発の「HarmonyOS」に置き換えている。Harmony OSはAndroidをベースにしながら、独自のカスタマイズを加えたものだったが、中国ではより独自性を高めた「HarmonyOS Next」の投入も進めている。
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一方で、EMUIはどちらかといえばユーザーインタフェースに近い。Googleサービスの利用ができなくなった後に日本で発売された「P40 lite」「P40 Pro」にもこれが採用されており、Android用アプリは、Google Playを介さず、APKファイルを直接インストールする形でなら利用できた。制約はあるが、Googleサービスが一般的な国や地域ではこちらの方が使いやすい。Mate XTを中国から広げていくにあたり、アプリのエコシステムを重視し、あえてEMUIを搭載したことがうかがえた。
そのギミックほど奇をてらった端末ではないように思えたMate XTだが、価格のインパクトは大きい。中国で先行発売した際には、256GBのストレージを搭載したモデルが、1万9999元(約40万円)だった。クアラルンプールでの発表会では、価格をユーロで発表。その額は3499ユーロ、日本円に換算すると約55万円にものぼる。1台3役のデバイスだが、価格も3台分かそれ以上になってしまった。展開国も限られているため、普及の仕方は緩やかになる可能性もありそうだ。
●「HUAWEI FreeArc」「HUAWEI MatePad Pro 13.2」「HUAWEI Band 10」も発表
クアラルンプールの発表会では、耳掛け式のイヤフォン「HUAWEI FreeArc」も発表された。同モデルは、2月7日に日本で発表されていたモデルだが、そのグローバル展開が改めて明かされた形だ。機能やカラーバリエーションなどは、日本で発表されたものから変更はない。また、反射を抑え、紙のような書き心地を実現したPaperMatteディスプレイを搭載の「HUAWEI MatePad Pro 13.2」も発表された。ウェアラブル製品では、「HUAWEI Band 10」を公開している。ただし、こちらは実機の展示がなく、スライドのみでの発表となった。
(取材協力:ファーウェイ・ジャパン)
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