小林製薬の臨時株主総会=19日午前、大阪市北区 小林製薬の紅麹(べにこうじ)配合サプリメントによる健康被害問題を巡り、香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントが提出した取締役選任案は19日の臨時株主総会で反対多数により否決された。小林製薬は被害者への補償を進めるとともに、企業風土改革にも力を入れるが、昨夏掲げた「創業家依存からの脱却」には疑念の声が根強い。消費者などからの信頼回復は道半ばだ。
「創業家脱却から正反対の動きだ」。オアシスを代表して出席したフィリップ・メイヤー共同最高執行責任者は、小林一雅前会長が引責辞任後も特別顧問に就いたことなどを批判。昨年8月に退任した小林章浩前社長が補償担当の取締役として残っていることも問題視した。オアシス以外にも、出席株主から「消費者はどう受け止めると思うか」といった意見が出た。
小林製薬側は株主に、一雅氏の影響力は商品開発やマーケティングでの助言に限定していると説明。章浩氏についても「創業家出身者が補償に向き合うことに意味がある」(山根聡社長)と理解を求め、オアシス案に反対するよう推奨した。
小林製薬株の1割を握るオアシスの要求は、7割強の反対で否決された。ただ、3割弱の株主は賛成に回ったとみられ、一般株主の中でも小林製薬への不信感は拭われていない。大阪市の男性会社員(40)は総会終了後、「本当に会社は良くなるのだろうか」と語った。