
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第88回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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今回は暗証番号の話です。
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ウーバーイーツで注文完了後、たまに「暗証番号」なる4桁の数字が表示されることがあります。同じく配達員が使うアプリにも、商品受け渡しの際に暗証番号を求める画面が表示されることがあります。
この暗証番号案件、同じ人に運ぶ場合でも、ある日は暗証番号を求められなかったのに別の日には暗証番号が必要だった、なんてことがあるので、配達する側にとっては面倒な案件です(注文される方にとっては、もっと面倒に感じていると思われます)。
あくまで私が配達してみての感想ですが、年末年始の配達あたりから、この暗証番号を求められる案件が増加。以前は30件の配達に対して1、2件程度という感じでしたが、最近は4、5件ほど、多い時は7、8件ほど暗証番号の指示画面が出るようになりました。
誤配達防止のために導入したのではと言われているこの制度。経緯はわかりませんが、この番号がランダムで出るのは配達員にとってたまったものではありません。なぜなら、暗証番号を伺うと「知らねえよ!」「前はそんなもの出なかったぞ!」と怒り出す方がまれにおり、BAD評価を付けられる可能性があるからです。
配達する私や注文される方にも面倒な暗証番号案件を回避するにはどうしたらいいのか。確実な方法は商品の受け渡しを「置き配」に設定することです。受け渡しの住所などを設定する画面の受け取り方法を選択する画面で「手渡しする」を選ばないことです。私が配達をしていて置き配指定で暗証番号を求められたことはこれまで一度もありません。
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たまに「手渡しする」設定のまま、配達員に伝えるメモ欄に「ドアの前に置き配でお願いします」と書く方がいますが、この場合「暗証番号の案件なので置き配できない」と言われるので、置き配で問題ないのであれば設定画面でしっかりと「置き配」と指定するのをオススメします。
確実に暗証番号を回避するそのほかの手段はありません。ただ、私の経験上、暗証番号が出やすいのがホテルへの配達。自宅、オフィスといった普段利用するところ以外の場所で商品を受け取る場合に暗証番号が求められることが多いです。
そのほか、外国の方からの注文でも暗証番号をよく求められます。すべての方が、ワン、ツー、スリー......とゆっくり話してくれるわけではない上、この配達が暗証番号を必要とするものだと理解していただくのに時間がかかる場合があるので、海外の方との暗証番号のやりとりは手間がかかります。
いくら誤配達防止のためとはいえ、4桁の番号を知っているのは配達員と注文者だけ。料理を受け取る際に暗証番号はいらないので、このシステムの導入で誤配達が減るとは思いません。
正直なところ私は「海外でサービスを展開するライドシェアの場合、乗車する時に暗証番号があれば、同じ乗車場所から出発する他の車への乗り間違えがなくなる。アプリはライドシェアのシステムをそのまま流用しているので、フードデリバリーにおいてはまったく意味のない機能だが導入された」と感じています。
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そんなわけで、誰もがメリットを感じない暗証番号機能ですが、ウーバーイーツで「手渡しする」を選択している限りは出てくる可能性がある案件なので、回避したい方は設定画面から置き配の設定をして注文してください。
ただ、置き配設定はキャッシュレスの事前決済の方しか利用できない機能なので、現金を使って利用される方はイライラしている時に口頭で伝えると早口になって聞き取りづらい場合があるので、暗証番号が出た場合はスクショに撮って、配達員が到着したら画面を見せていただけると助かります。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明