エンジニアを目指す人に、僕がボドゲをお薦めする理由

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2025年02月20日 07:11  @IT

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マシュー・フェブルさん

 グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回もインターネット・アカデミーのシステム開発室でリーダーを務めるMathieu Fevre(マシュー・フェブル)さんにお話を伺う。チェスにはまったマシューさんは、生まれ育ったル・フィエのチェスクラブでは物足りなくなり、近隣で一番大きな町「ブザンソン」まで通うようになった。


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 大学もブザンソン。フランスの一地方で生まれ育ったマシューさんは、「たまたま」ふるさとから1万キロも離れた日本の大学に留学することになる。


 聞き手は、AppleやDisneyなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。


●「たまたま」京都大学に進学


阿部川“Go”久広(以降、阿部川) 高校卒業後に進学したフランシュ・コンテ大学もブザンソンにありますね。


Mathieu Fevre(マシュー・フェブル、以下マシューさん) はい。フランシュ・コンテ大学は地域で唯一の大学でした。パリなどの大きな都市の大学に進学することもできましたが、生まれた村の近くにいたかったので、この大学を選びました。


 大学では数学を専攻しましたが、物理学も得意でした。卒業後は数学の分野で研究者や大学の教員になり、高度な数学の研究や教育に携わりたいと思っていました。


阿部川 大学卒業後に京都大学の大学院に留学しますね。きっかけは何だったのですか?


マシューさん 全くの偶然でした。日本文化やアニメ、漫画に興味があったわけではありませんし、日本に興味があったわけでもありません。単に留学先を探していて、たまたま私の数学の教授が京都大学の教授と知り合いだったので、紹介してもらい、修士の2年目に留学しました。


 大学院での日々は、本当に大変な挑戦でした。ふるさとから1万キロも離れた場所なので、何も知らない状態でした。日本語も全く話せず、英語でのコミュニケーションしかできませんでした。


阿部川 修士課程を終了した後は?


マシューさん 奨学金を得て、3年間博士課程に在籍しましたが、コロナ禍の影響で、最後の1年間は良好な環境で研究できませんでした。そのため、一時中断して仕事を探すことにしました。


 フランスに戻って仕事を探すという選択肢もありましたが、日本を一度離れると戻ってくるのは難しいと考え、今だからできる選択をしようと、日本で仕事を探すことに決めました。


 数学を研究していたこともあり、プログラミングは論理的で理解しやすかったので、エンジニア職が希望でした。しかし、私のバックグラウンドは数学が中心で、当時はJavaScriptを少し理解できる程度でした。そのようなスキルでの就職活動でしたが、インターネット・アカデミーが私の可能性を信じてくれて、採用が決まりました


阿部川 未経験からエンジニアになったのですね。プログラミングを素早く学ぶコツがあれば教えてください。


マシューさん 具体的なプロジェクトや目標を持つことです。実際の必要性に応じて学習する方が早く習得できます。


 良いエンジニアなるために必要な能力の一つが英語力です。子どもの頃は重要性が分かりにくいかもしれませんが、大人になってからとても役立ちます。


 私の場合は、ボードゲームが好きだったことも今の仕事に役立っています。チェスはもちろんですが、他のボードゲームにも熱心に取り組んでいました。ボードゲームを通して、物事を素早く理解する力が身に付きました。それは今の仕事にも生かされていると思います。


●良い面も大変な面もある多国籍チーム


阿部川 現在はどのような仕事をしているのですか。


マシューさん システム開発チームのチームリーダーを務めています。チームのメンバーを管理し、受講生向けのプラットフォームの改善に取り組んでいます。チームはインド人が2人、韓国人が1人、そして私の4人で構成しています。


 チーム内では英語を使ってコミュニケーションしています。ただ、他部門とのコミュニケーションは日本語が多いです。京都大学に留学していたので、ある程度日本語も話せるようになりました。


阿部川 国際色豊かなチームならではの特徴はありますか?


マシューさん 良い面は、さまざまな国の視点を取り入れられることです。韓国人、フランス人、インド人それぞれの考え方の違いを生かせるので、オープンマインドな議論ができます。一方で、大変な点もあります。文化の違いから、時には意思疎通が難しいこともあります。価値観が大きく異なるので、お互いに理解し合うのが大切です。


阿部川 意見が分かれたときはどのように解決されているのですか。


マシューさん ブレーンストーミングをして意見を出し合いますが、合意が得られない場合は、私やマネジャーが最終的な決定権を持ちます。そのようなリーダーシップも必要です。


編集部 鈴木 日本では、数学の背景を持つエンジニアが少ないと感じますが、どのようにすればその状況を改善できると思いますか?


マシューさん まず、日本ではエンジニアの地位があまり高くないのが問題だと思います。フランスではエンジニアは高い地位にあり、エンジニアになることは非常に価値のあることとされています。世界的に見れば、エンジニアは非常に高い地位にあるので、日本でもエンジニアの地位を高く評価するようになれば、より多くの人が目指すようになるのではないでしょうか。そのような意識改革が必要だと思います。


編集部 鈴木 エンジニア自身が努力すべきことは何でしょう?


マシューさん 日本のエンジニアは、上司から指示されたことをこなすことに慣れ過ぎているのかもしれません。与えられた課題に対して最善の解決策を見いだすことはできますが、自ら新しいアイデアを提案したり、批判的に考えたりする力が弱いのが課題だと思います。私が考える良いエンジニアとは、常に改善点を提案し、より良い解決策を見いだし、自ら考え、新しいアイデアを提案できる人です。


 エンジニアは、自発性や創造性を育むことが必要だと思います。また、常に新しい提案ができる人材を育成していく、エンジニア教育の改革も必要だと思います。


Go’s thinking aloud


 フランス人も知らない田舎で生まれ育ったが、マシューさんにはチェスがあった。好きなことは徹底的に肯定する姿勢で、チェスが基になりボードゲームや数学など、知識や戦略作りのとりこになった。むしろ田舎だったことが、物事に集中できるプラスの作用を与えてくれた。


 エンジニアとは問題を解決するだけの人ではなく、問題を見つけ出し、論理的に思考して解決し、その上で新たな可能性までも見つける人のことだという。フランスではエンジニアといえばステータスも伴う仕事で、日本語で言う「エンジニア」とは違う響きを持つものらしい。


 以前勤めていたDisneyにはImage + Engineeringで作られた「Imagineering」という造語があり、「ぼやっとしたイメージをテクノロジーで実現させる」ために必要なものがエンジニアだと言われ、直感的に正しいと感じたことを思い出した。



このニュースに関するつぶやき

  • 日本ではエンジニアがほぼ派遣の会社もあるくらいだからねぇ。地位向上できたらいいね。
    • イイネ!19
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