【マナー】「よろしかったでしょうか?」は、なぜNGなのか

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2025年02月23日 10:20  ITmedia ビジネスオンライン

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「よろしかったでしょうか?」は、敬語なの?

 よくある敬語の間違いとして挙げられるのが、「バイト言葉」です。


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 バイト言葉とは、接客業などで、アルバイト店員がよく用いる表現です。みなさまも、もしかすると日常的に使っているかもしれません。


 注文の確認やお会計をしてもらうときに、「こちらのほうでよろしかったでしょうか?」というフレーズを耳にした経験があると思います。


 では、なぜこの言い方はNGなのでしょうか。


 問題点は2つあります。1つが「よろしかった」という表現です。「よろしかった」とは、「よろしい」を過去形にしたものです。『広辞苑 第七版』(岩波書店)によると、「よろしい」は「『よい』を丁寧にいう語」とあります。ですから、この言葉を使うこと自体に問題はありません。


 問題は、「よろしかった」という過去形にあります。


 過去に起こった事柄について「よろしかったでしょうか」と確認するのならともかく、現在進行していることに対して過去形で確認するのはおかしいですよね。本来は「よろしいでしょうか?」が正解になります。


 もう1つの問題点は、「〜のほう」という言葉です。「〜のほう」は、2つの選択肢がある場合の表現です。2つの似たような商品があった場合に「こちらのほうでよろしいでしょうか?」と確認を取るのであれば問題ないのですが、比較対象がないときに使うとおかしなことになります。相手に違和感を抱かせないためにも、確認をとる場合は、「こちらでよろしいでしょうか?」とシンプルに伝えるようにしましょう。


 バイト言葉には、ほかにも誤った敬語表現があります。つい使いがちなフレーズと正しい言い方を次に載せますので、参考にしてください。


●言葉遣いは「信頼」に直結する


 「でも、周りの先輩はそこまで気にしなくていいと言ってくれるし……」と、なぜバイト言葉を使わないほうがいいのか、腑に落ちない人もいると思います。職場によっては、まったく気にしないというところもあるでしょう。けれども、ビジネスの場ではバイト言葉を気にしない人がいる一方で、引っ掛かりを感じる人も存在します。


 ビジネスシーンは、マイナス要素をいかに減らすかが大切になるとお伝えしました。言葉遣いに引っ掛かりを感じると、そのほかの行動にも疑問や不安を持つようにる可能性があります。きちんとした敬語を使っていれば事なきを得ることであっても、言葉遣い一つで取引がなくなったり、ご縁が切れたりするケースもあるのです。言葉遣いは、信頼に直結するものだと心得ておきましょう。


 入社して間もない頃は、使い方を間違えたり、失敗したりすることがあって当然です。ですが、早い段階で正しい敬語を習得しておくのに越したことはありません。もちろん、言葉は時代によって変化していくものです。一部のバイト言葉が市民権を得る可能性もゼロではありません。ですから、日々いろいろな言葉にアンテナを立てながら、よりよい表現を取り入れていくようにしましょう。


 人は、頭では使うのはよくないとわかっていても、よく耳にする言葉を使ってしまうものです。だからこそ、できるだけ美しい言葉を耳に入れることが大切です。そして、正しい敬語を意識して使っていきましょう。


(高田将代、マナーコンサルタント)



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