ガールズバンド漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』『ロックは淑女の嗜みでして』続くアニメ化で期待すること

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2025年02月24日 08:00  リアルサウンド

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■漫画の面白さとアニメ化へのポイント

  ガールズバンド漫画の話題が尽きない。はまじあきの漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』(芳文社)のアニメ2期制作が決定し、音楽と物語がどのように紡がれるのかといった関心を誘っている。福田宏の漫画『ロックは淑女の嗜みでして』(白泉社)も4月からのアニメ放送を前にPVが公開され、何かヤバいものが始まりそうだと期待を煽っている。漫画のどこに面白さがあり、アニメ化ではどこがポイントになるのか?


  2月15日に開催された「結束バンドTOUR “We will B”」で発表されたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の2期制作に関する告知は、作品のファンを大いに喜ばせ、同時にどうなるのだろうといった興味を抱かせた。アニメの続きを観られるのは素直に嬉しいが、監督が斎藤圭一郎から山本ゆうすけに代わり、キャラクターデザインにけろりらと共に小田景門が名前を連ねることがもたらす影響が読めなかったからだ。


  直後にYouTubeのアニプレックスチャンネルで公開された「【緊急】「ぼっち・ざ・らじお!」【特別編】」で、斎藤監督から2期で描かれるだろう展開では、バンド演奏の場面が増えていくため、1期以上の熱量やリソースを注ぎ込む必要があるといったコメントが出た。実際、学園祭ライブで一区切りとなったアニメ1期から続く原作の展開は、ひとりが参加する結束バンドがどんどんと高みを目指すバンドものとしての色を濃くしていく。


  ぽいずんやみという名の音楽ライターが現れて、バンドシーンの中での結束バンドの評価が語られるようにる。、SIDEROSというライバル的なポジションに立つガールズバンドも登場して、結束バンドのメンバーを本気で音楽へと向かわせる。配信へのアクセスを稼ごうと大量にエフェクターを買い込むひとりのコミカルなエピソードも挟まれるが、ストーリー自体は音楽フェスへの出場権をかけたコンテストに出場を決め、楽曲作りや練習に励むといったエピソードが積み重なっていく。


  そうした努力がもたらす結果を経て、バンドとしての存在感を高めていく原作の展開を見通した上で2期を作るとなった時に、やはり相当な覚悟が必要だったのだろう。斎藤監督から山本新監督に引き継がれた理由には、そうした状況と対峙するのにより相応しい人材だといった判断があったようだ。


  音楽と向き合う登場人物たちの内面を、より深く感じさせるアニメになっていくだろう2期で、小田景門がキャラクターデザインに起用されたことにも意味がありそうだ。1期の1話「転がるぼっち」でギターを始めてみようと心に決めて、家の階段を上がっていくひとりを描いた小田を、けろりらは「作品観を理解してくれている」「作品に対する解像度が高い」と評価している。キャラクターが増えて絡みも多くなる2期を任せるに相応しいアニメーターと判断したと言えそうだ。


  音楽がどのように描かれるのかも気になるところだ。SIDEROSや他のバンドの演奏を、結束バンドのように作り込んでいくとなるとやはり相当なリソースが必要になるだろう。結束バンドの楽曲がどれも名曲だっただけに、担当者にのしかかっているプレッシャーも凄まじいはずだ。


  そうした展開を分かった上で、2期の制作にゴーサインが出て手がけるスタッフの構成も決まったからには、描ききる確信が得られたと見るべきだろう。原作に描かれるSIDEROSの大槻ヨヨコのツンデレぶりやバンドとしての人気ぶり、奥手だったひとりが本気でフェスに挑もうと思うようになる姿、結果として奏でられる音楽の素晴らしさがしっかり描かれると確信して登場を待ちたい。


■『ロックは淑女の嗜みでして』の魅力は?

  当分先になりそうな『ぼっち・ざ・ろっく!』のアニメ2期が待ち遠しい人に、ガールズバンドものの面白さを補充どころか浴びせ倒して溺れさせそうなアニメが、4月から始まる『ロックは淑女の嗜みでして』だ。お嬢様学校に通う少女たちがインストゥルメンタルのバンドを組んで活動するという、あらすじだけ聞けば可憐で華やかな空気感が浮かぶ作品だが、そこは『常住戦陣!!ムシブギョー』のような熱血アクションで評判の福田宏作品だけあって、想像を絶する展開が待ち受けている。


  母親の再婚で不動産王の娘になった鈴ノ宮りりさだったが、ミュージシャンだった父親から教えられたエレキギターを忘れられずにいた。そこに現れたのが黒鉄音羽という、こちらは重鎮の政治家を親に持つ少女。黒髪に笑顔を絶やさない顔立ちのお嬢様として誰から慕われていたが、なぜかギターのピックを廊下で落とし、それを拾ったりりさが行き先を探すと、旧校舎でひとりドラムを叩いていた。


  りりさは音羽に誘われギターでセッションをして燃え上がっていく。そして演奏が終わった後、お嬢様どうしてにこやかに讃え合う、なんてことはまったくなかった。そこでのすやりとりの意外性に打ちのめされた後も、キーボードの院瀬見ティナやベースの白矢環が加わって生まれたバンドで、りりさたちはライブハウスに出るようになっていくなかでやりとりは激しさを増す。


  ロックに対する凄まじいとしか言いようのない情熱がこもった言葉の応酬に心を躍らされ、汗を飛ばしながら楽器を演奏するパワフルでエキサイティングな姿や表情に目を引きつけられる。『ムシブギョー』の頃から変わらない、熱さを激しくてダイナミックなポージングで描いて連ねていく福田の漫画が、読む人をライブの場へと引きずり込んで全身をロックに浸らせる。


  音が聞こえてきそうな迫力の漫画を、本当に音を出さなくてはいけないアニメにする大変さは、『ぼっち・ざ・ろっく!』2期と同様。インストバンドという設定は演奏そのものへの注目も上げさせる。どれだけの音を聞かせてくれるのか。演奏そのものをどのようにアニメで描くのか。そうした関心に、PVではりりさのギターも黒羽のドラムもしっかり応えてくれている。実際に誰が演奏しているのかも気になる。放送開始が楽しみだ。


  ガールズバンドものではクワハリ原作、出内テツオ漫画の『ふつうの軽音部』(集英社)が人気となって、アニメ化への期待も持たれている。高校に入ってギターを始め歌うようにもなっていく鳩野ちひろの成長と、高校の軽音部にありがちな人間関係を描いて共感を誘っている漫画。上手くはないが感動を誘うちひろの歌声を誰なら再現できるかがアニメ化のポイントとなりそうだが、いざアニメ化となればこれぞといったキャスティングが行われるものと期待したい。


  新たに戦線に加わってくるガールズバンドものもある。「コミックアルナ」(KADOKAWA)に連載中の新挑限「ダンジョンバンド」は、ギター、ベース、ドラムのスリーピースでライブハウスレビューを飾った女子高生バンドが、観客ゼロの仕打ちを受けて落ち込んでいたところに雷が落ち、ライブハウスの出入り口が異世界とつながってしまうというストーリー。異世界から来る勇者やモンスター相手に、女子高生バンドが音楽への情熱をぶつけていく展開の先に何がもたらされるのかが大いに気になる。



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