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火を使わず、ボタン1つで料理ができる便利な調理家電「電気圧力鍋」。手軽に本格的な料理が楽しめるため、昨今人気が高まっています。
電気圧力鍋は、ガスの代わりに電気を使うので、電気代が気になる人もいるでしょう。そこでこの記事では、いつも通りにガスを使って調理した場合と、電気圧力鍋で調理した場合の光熱費を比較してみました。
果たして節約効果はあるのか、電気圧力鍋の購入を考えている人は参考にしてみてください。
●電気圧力鍋とは
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電気圧力鍋は、電気の力で鍋の中を高圧にすることで、高温で調理できる自動調理鍋です。短時間で食材に火を通すことができるので、調理時間を短縮できます。カレーやシチューなどの煮込み料理をはじめ、肉料理、炊飯、低温調理など、幅広く活用できます。
食材を入れてボタンを押すだけの「ほったらかし調理」ができるので、忙しい人にも便利です。また、火を使わないので付きっきりでいる必要がなく、小さな子供がいる家庭でも安心して調理することができます。
電気圧力鍋の価格は、メーカーや容量によって異なりますが、1万5000円〜3万円程度です。
●「電気圧力鍋の電気代」と「ガス調理のガス代」を比較
さっそく本題の光熱費を比較してみましょう。比較にあたっては、調理時間を出す必要があります。今回、カレーを作るとして、それぞれの調理時間は以下となります。
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・電気圧力鍋:約30分〜40分
・ガス調理:約50分〜70分
※調理時間は電気やガスを使用している時間とします
電気圧力鍋の調理時間ですが、圧力をかけて調理している時間は5分〜10分程度ですが、その前後に加圧時間と減圧時間がかかるためプラス20分〜30分ほど、さらにカレーの場合は圧力調理後にルーを入れて煮込む時間も必要です。そのためイメージよりも調理時間が長いと感じるかもしれません。
それでも通常の作り方でコトコト煮込むよりは、時短になるでしょう。
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一般的な電気圧力鍋の消費電力は、700W〜1000Wです。ここではベーシックなモデルに多い800Wで計算します。
ガス代は、都市ガス利用とし、以下のガス消費量で計算します。
・標準バーナー:2.97kW
・標準バーナー(とろ火):0.37kW
(参考:リンナイ商品カタログ)
※調理中の火加減は標準火力(2.97kW)ととろ火(0.37kW)1対1の割合とする
「電気圧力鍋」VS「通常ガス調理」光熱費比較
・電気圧力鍋
調理時間:約30分〜40分
光熱費:約12.4円〜16.5円
・通常ガス調理
調理時間:約50分〜70分
光熱費:約22.3円〜31.2円
※全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」31円/kWh(税込)で計算
※1kW=3.6MJ/h、ガス発熱量45MJ/m3、1m3あたり200円(都市ガス全国平均2024年10月を参照)として計算
調理時間を短縮できるため、電気圧力鍋の方が光熱費を節約できることが分かりました。
1時間あたりの電気料金とガス料金を比較すると、電気料金は24.8円であるのに対して、ガス料金は26.72円とそれほど変わりません。やはり時間が短縮できたことが大きいといえます。
●電気圧力鍋、本体価格の元が取れるのはいつ?
上記の結果を踏まえて、平日(週5日)の調理を電気圧力鍋に置き換えた場合、年間でどのくらい光熱費を節約できるのか試算してみます。
毎回カレーを作るわけではありませんが、目安として1回で12円節約できるとします。1カ月(20日)で240円、1年間(240日)で2880円の節約ができます。
電気圧力鍋の価格は1万5000円のラインアップが多いことから、本体価格を1万5000円とすると、約5年3カ月で元が取れる計算になります。
5年以上使い続けて「ようやく元が取れた」と感じるか、時短や火を使わない安全性などそれ以上の価値を見出して満足するかは、使う人の考え方次第です。
●電気圧力鍋は忙しい人の味方
電気圧力鍋は食材や調味料を投入すれば、あとは自動で調理してくれる“優れモノ”です。火加減の調整もいらないので、キッチンにいる必要がなく、時間を有効に使うことができます。また、圧力調理で調理時間も短縮してくれるので、忙しい現代人には満足度が高い家電ではないでしょうか。
一方で、デメリットとしては「場所を取る」「使用後のお手入れが大変」などがあります。最近ではパーツの少ない、お手入れが簡単な製品も登場しています。気になる人はお手入れのしやすさで製品を選ぶとよいでしょう。
電気圧力鍋のおかげで、普段作らない手の込んだ料理に挑戦でき、料理のレパートリーが増えたという人もいます。商品に付属しているレシピ本の通りに作ればほぼ失敗がないので、料理初心者も安心ですね。
このようなメリット・デメリットを考慮して、購入を検討してみてください。