“AI菓子職人”実装カフェを万博に出店 「バウムクーヘン食べ放題」の狙いは?

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2025年02月24日 17:01  ITmedia ビジネスオンライン

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神戸市の老舗菓子企業「ユーハイム」の河本英雄社長(左)とバウムクーヘン専用AIオーブン「THEO」

 洋菓子大手のユーハイム(神戸市中央区)は、大阪・関西万博の「EARTH TABLE〜未来食堂〜」エリアに、AI搭載バウムクーヘン焼成機「THEO」(テオ)を実装したカフェ「THEO’S CAFE by JUCHHEIM」を出店する。大阪・関西万博を通じて、AIと人が共に働く「未来のお菓子屋」の姿を発信する狙い。


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●ユーハイム社長が語る「AIの2つの特徴」とは?


 お菓子を大量に届けるためには、大規模な工場での生産と、全国の拠点への配送が不可欠だ。しかし、その生産や配送過程では環境に負荷がかかり、顧客の手元に届くまでに時間がかかるという課題があった。


 この課題に対しユーハイムが出した答えの一つが、2020年に開発したTHEOだった。THEOはユーハイムの職人から焼成データを学び、人間の職人と遜色なくバウムクーヘンを焼成できる「AI菓子職人」だ。


 THEOは小型で設置が容易なため、どこでも誰でもバウムクーヘンを焼けるのが特徴だ。これにより、大規模な工場での一括生産や配送に頼らず、必要な場所で焼きたてのバウムクーヘンを提供できる仕組みを実現した。ユーハイムは、この革新を通じて「未来のお菓子屋さん」の在り方を見いだそうとしている。2月12日に都内で開いた万博出展記念PRイベントで、河本英雄社長は以下のようにTHEOの特徴を説明した。


 「THEOでは、熟練の職人のバームクーヘンを焼く技術を、何度も何度も実機で焼きながら、データに上げて学習させます。だいたい職人が3日間くらいかけて、(バウムクーヘンを)15本ぐらい、ぐっと集中して焼くと、その職人のベストの焼き方を学習できます。すると、人間よりも優れた学習能力を発揮します。これはAIの一つの特徴です」(河本社長)


 ユーハイムは2023年に日本創業100周年を迎え「お菓子には世界を平和にする力がある Peace by Piece」を、企業の理念に掲げた。世界を平和にする夢の実現に向けて、大阪・関西万博に「THEO’S CAFE」を出店。「夢の卵」をテーマに、AIと人が共に働く未来のカフェを開く。


 店舗の内装は「卵」をモチーフにしたデザインが特徴で、明るく柔らかな空間に仕上げた。壁やテーブルの素材には、ユーハイムがバウムクーヘン作りで使用した卵の殻を再利用し、サステナブルな未来のお菓子屋さんの在り方を表現している。店内では3台のAI職人THEOが、スタッフと共に毎日焼きたてのバウムクーヘンを提供する。


 THEOの強みは「世界中のどこでも、誰にでも、焼きたてのバウムクーヘン」を届けられることだという。好きなときに焼きたてのバウムクーヘンを楽しめる「食べ放題」を実施し、未来のスイーツタイムを体験できる新たな価値を創出する。THEO’S CAFEでは余ったバウムクーヘン生地を無駄にしないために、万博会場内に出展するユーハイムのフードトラックで、新たなお菓子に生まれ変わらせる「リ・ボーンクーヘン」も展開する予定だ。


 河本社長は、AIのもう一つの特徴として「持久力、忍耐力、再現性」を挙げ「人間よりもかなり優れている」と語る。


 「ベテランの職人でもずっと焼き続けると、時には成功したり失敗したりします。でも(THEOなら)ベストなものを常に焼き続けられます。極端な話、休憩時間がいらない。理論上は24時間焼き続けられますから。われわれはこのカフェで、THEOが持っている力を最大限、引き出したいと考えました。それは、ひたすらその職人のベストのものを焼き続けること。そして焼き続けたバウムクーヘンを、どんどんお客さんに食べ放題として提供することだと考えました」(河本社長)


 AIは焼き続ける。客はお腹一杯食べる。AIと人間の新たな関係が、万博で見られそうだ。


(アイティメディア今野大一)



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  • 万博という税金のマネーロンダリングだよね。
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