ライブ配信で、会社倒産の身の上話「生活が苦しい」と語ったら投げ銭激増 でもそれって軽犯罪法違反になるの?【弁護士が解説】

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2025年02月25日 16:40  まいどなニュース

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会社倒産の身の上を配信したら投げ銭が!これって犯罪になるの? ※画像はイメージです(koumaru/stock.adobe.com)

40代のAさんは長年勤めていた会社が突然倒産してしまい、生活の基盤を失ってしまいました。途方に暮れていたAさんは、友人から動画配信サービスを勧められライバー活動に取り組むことにしました。初めは恥ずかしさと不安でいっぱいでしたが、勇気を出して配信を始めます。

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最初の頃は当然視聴者も少なく自信を失いかけていたものの、Aさんの誠実な人柄と丁寧な配信態度が徐々に評価され、視聴者数も少しずつ増えていきます。毎日コツコツと配信を続けるうちに、固定ファンもつき始めました。

そんなある日の配信中、突然画面に「100円の投げ銭を受け取りました」という通知が表示されました。Aさんは驚きと喜びで胸が一杯になりました。たとえ100円でも、自分の配信に価値を見出してくれる人がいるという事実に、大きな励みを感じたのです。

投げ銭を一度受け取ったことで、Aさんはより多く獲得できるにはどうしたらいいかを考え工夫を重ねます。視聴者との交流を深めてリクエストに応えるなど、配信の質を高める努力を重ねました。そして、ある日思い切って自身の境遇を打ち明けることにしました。

会社の倒産により収入を失い、生活に困窮している現状を赤裸々に語ったのです。Aさんの切実な訴えに多くの視聴者の心を動かし、同情の声とともに、次々と投げ銭が寄せられたのです。

Aさんは視聴者の温かい支援に感激し、涙ながらに感謝の言葉を述べました。ただ視聴者の一人から「これって軽犯罪法違反になるんじゃない?」とコメントされ、冷静さを取り戻します。確かに物乞いやこじき行為は軽犯罪法で取り締まられています。Aさんの行為はこじき行為とみなされるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに伺いました。

ー軽犯罪法で禁止されている「こじき」とはどういうものですか

軽犯罪法第1条第22号にて「こじきをし、又はこじきをさせた者」に該当した場合、拘留又は科料に処すると示されています。「こじき」とは不特定の他人の同情に訴えて、必要な金銭や品物を求める行為を指します。

こじき行為とは、社会的に自立できるにもかかわらず、他人の善意に依存しようとする行為を規制するものです。視聴者が配信者のパフォーマンスやコンテンツに価値を感じ、その対価として自発的に行う投げ銭に対して、自身の困窮具合をを強調し、同情や憐れみを誘って金銭や物品を要求する行為がこれに該当します。

特定の目的や目標のために広く支援を呼びかけるクラウドファンディングとも異なります。ただし「ほしいものリスト」は、不特定多数に同情を訴えて継続的に金品を集めた場合、こじき行為とみなされる可能性があります。

ーライブ配信でも摘発されるのでしょうか

2015年にこじき行為の生放送を何度も配信していた男性が、軽犯罪法違反の疑いで書類送検されています。何度か警察から注意を受けていたにも関わらず、継続していたため送検されたようです。

一回のライブ配信で摘発される可能性は低いと考えますが、今の時代はすぐに情報が拡散されてしまいます。何度かやっているうちに誰かの目に留まり、通報される場合もあるでしょう。「生活が苦しいから、投げ銭ちょうだい」という一言には気を付けるべきです。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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