柔道男子66キロ級の世界選手権2連覇王者、丸山城志郎(31=ミキハウス)が25日、大阪府内で引退会見を行った。
内股へのこだわりが詰まった柔道人生だった。世界一と称され、自身の代名詞とされた内股について「数年前に(天理大監督の)穴井(隆将)先生からおっしゃってもらった、日本刀のような切れ味。相手を真上にはね上げて、真下にたたき落とす。こういう投げ方をする選手はなかなかいないので、そういうところは好きです」と表現した。
自身最高の内股には19年にドイツ・デュッセルドルフで行われたグランドスラム(GS)3回戦で韓国人選手相手に決めたものを挙げ「あれは自分の中ではきれいやなと思った」と振り返った。
世界で最も美しい、とまで言われた内股は、たゆまぬ努力と徹底したこだわりによって作り上げられた。
「とにかく投げ込みをひたすらやっていた。人を投げる感覚、きれいに投げる感覚は、乱取りでは身に付けられない。投げ込みで自分が納得のいく形で投げることをひたすらやっていた」
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全体練習後、主に3人の後輩を相手に、それぞれ毎日15本ずつ投げて感覚を磨いていった。技へのこだわりは、誰にも負けないものがあった。
学生時代には毎日100回以上の内股を仕掛け、その反応を見ながら微修正を繰り返した。成功から学ぶのではなく、失敗から課題を見つけるのが丸山流。「相手を投げられた時は、自分の悪いところが見つからないし、見つけようともしない。返されれば返されるほど、技はうまくなる。悪いところをより自分で深掘していくことができる」と貪欲に取り組んだ。
そこまで技にこだわったからこそ、若い選手に物足りなさを感じるところがあるという。「すごい技を持ってるなっていう選手を見ない。組み手がうまいとかパワーのある選手はいるけど、技がうまい選手はなかなかいない」。後輩の大学生に対して「技を極めたかったら、その技だけをかけろと言う。他の技をかけても、その技を磨くことはできない」とアドバイスをするのは、技にこだわる重要性を伝えたいからだ。
今後は指導者として新たな道を進む丸山は「技で一本を取る、相手を仕留める柔道を伝えていきたい」。自身に続くような技を極める選手の輩出に意欲を見せた。【永田淳】
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