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神戸北野異人館街にある神戸北野美術館、ラインの館、Bricolage(ギャラリーブリコラージュ)で3月31日まで、「猫を愛する芸術家の仲間達 Vol.5」が開催されている。41人の作家による120点以上のアート作品は全て「猫」がテーマ。北野異人館街と猫との意外な関係も明らかになった。
【動画】1枚の紙が見る見るペルシャ猫に…立体紙切り師のスゴ技!
神戸北野美術館館長の竹中愛美子(たけなかよしこ)さんに聞いた。
北野異人館街の雰囲気と猫は相性がいい
「猫を愛する芸術家の仲間達」の第1回が開催されたのは、2020年2月22日。語呂合わせで2020=ニャオニャオ、2月22日=ニャンニャンニャン。「2」が5つも並んで「ニャオニャオ、ニャンニャンニャン」の日に始まった。
「当館で行う展示会は、猫グッズがメインではなく、41人の作家による120点以上のアート作品を原画展示しているのが特徴です。他の猫関連イベントとは異なる芸術性の高い展示となっています」
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猫好きの作家はもちろん、普段は猫を描かない作家がこの展示会のために描いた作品もあるそうだ。
この北野異人館街には昔から多くの猫がすみ着いており、地域猫として保護されてきた。
神戸港には多くの船が出入りする。船に積載されている穀物を狙うネズミを退治するために、船員たちの乗せた猫たちが港で繁殖した。そのため神戸に限らず、港町には猫が比較的多いのだという。
「建物も同じようにネズミの被害は困りますから、猫がいると守ってくれるんです。歴史を紐解いていくと、この地域で活動なさっていた画家がよく猫を描いていますし、北野地域の住民の方も猫を飼っておられる方が多いようです。個人的にも猫が好きで、異人館で猫の展示をすることに意味があると思い至ったわけです」
取材に訪れた日、作品を出展している作家のひとり、立体紙切り師の辻笙(つじ・しょう)さんが在廊していたので、作品について聞いてみた。
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辻さんの作品は、招き猫をモチーフにした「福徳円猫」というタイトルがついていた。
「幸福と徳が欠けることなく満ちていることを意味する『福徳円満』という四字熟語があるんですが、満の字を猫に替えて『ふくとくえんニャン』と読んでもらえたら嬉しいです」
額の中央に招き猫、その周りに和柄の猫が5匹、思い思いの恰好で佇んでいる。正面からは平面に見えるが、じつは立体作品である。さらにムチャ振りをして、辻さんの本領である立体紙切りをお願いすると快く応じてくれ、筆者がリクエストしたペルシャ猫を切ってくれた。
3つある展示会場のうち「ラインの館」は北野美術館の隣にある。こちらでは豪華なソファのある1部屋が展示室に充てられており、2点の作品が展示されている。
3つめの展示会場「Bricolage」はハンター坂を下り、徒歩で数分。こぢんまりしたギャラリーの壁に、作品が展示されている。
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どの会場でも誰でも作品を購入することができ、売り上げの一部は地域の保護猫活動などに寄付されるとのこと。
港町・神戸、そして北野異人館街と猫との深いつながりを知った上で訪れると、見方や感じ方もまた変わるかもしれない。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)