米保守系政治集会「保守政治行動会議(CPAC)」の壇上で、大規模人員削減の象徴に見立てたチェーンソーを掲げるイーロン・マスク氏(左)=20日、メリーランド州オクソンヒル(AFP時事) 【ワシントン時事】米メディアによると、実業家のイーロン・マスク氏が率いる米政府の「政府効率化省(DOGE)」で、前身組織から所属していた職員21人が25日、一斉に退職した。マスク氏が進める歳出や人員の急進的な削減に内部からも反発が強まっていることを示した形だ。しかし、トランプ大統領がマスク氏擁護に回る中、反発を意に介する様子はない。
米メディアによると、退職したのはIT技術者らで、「政府の基幹システムを傷つけたり、重要な公的サービスを解体したりすることに自分の技術を使いたくない」と表明。マスク氏はX(旧ツイッター)で「退職しなければ、解雇されていただろう」と非難した。
こうした中でもマスク氏は、強引な手法を続けている。先週末、政府職員に対し、前週の仕事の成果を五つ挙げ、報告するよう求めるメールを一斉送信。応じなければ、解雇されると説明した。
政府の人事管理局は24日に報告しなくても解雇にならないと否定したが、マスク氏は同日夜、「もう一度チャンスが与えられる。2度目に反応しなければ、解雇となる」とXに投稿し、改めて報告を求めた。
米メディアによると、中央情報局(CIA)、商務省などは、すぐに報告しないよう職員に指示。トランプ氏の腹心がトップを務める連邦捜査局(FBI)でさえ、同様の対応を取った。一方で運輸省などは従うよう職員に促した。政権内の亀裂があらわになり、職員からは困惑の声が上がっているという。
ロイター通信のまとめでは、2万人以上の職員が解雇され、7万5000人が早期退職を受け入れた。マスク氏はさらに人員削減を進める構えを示している。