著作権法改正案に抗議するキャンペーン広告が一斉に掲載された25日付の英紙=ロンドン 【ロンドン時事】英国で検討されている、人工知能(AI)開発者に音楽作品を利用しやすくする著作権法改正案について、ミュージシャンらが25日、一斉に抗議活動を展開した。元ビートルズのメンバー、ポール・マッカートニーさんらは公開書簡で「次世代の未来を奪う」と訴えた。
英政府はAI産業育成のため、著作権所有者が拒否の意思を示さない限り、生成AIの学習データとして作品を許可なく無償使用できる法改正を目指している。制作者側はこれに対し、数多くあるAI企業に拒否を伝えたり、利用状況を監視したりすることは不可能だと主張する。
英紙タイムズで公表された書簡には、歌手のエルトン・ジョンさんやノーベル賞作家のカズオ・イシグロさん、指揮者のサイモン・ラトルさんらも名を連ね、「著作権を盗むことに対する道義的、経済的論拠はない」と批判した。
また、英各紙1面には関連業界が政府の方針に抗議し、「公正にしよう」と訴えるキャンペーン広告が同時掲載された。このほか、1000人を超えるミュージシャンが共同制作者となり、「無音」のアルバムをリリース。法改正された場合、何が起こるかを表現したという。