Appleが2月28日、新しいiPhoneの入門モデル「iPhone 16e」を発売します。このモデルは3年ぶりとなるエントリーモデルで、従来のiPhone SEシリーズの後継でありながら、最新のiPhone 16シリーズの一員として位置付けられています。一方、これからiPhoneを購入する人にとっては、旧モデルの「iPhone 15」や「iPhone 14」も比較対象になります。本稿では、iPhone 16eとiPhone 15、iPhone 14を詳しく比較していきます。
●デザインはiPhone 14ベースだがアクションボタンやUSB Type-C端子を搭載
iPhone SEシリーズがiPhone 8のデザインを踏襲していたように、iPhone 16eにも「元ネタ」があります。それはiPhone 14のデザインです。Face IDを搭載し、ホームボタンを廃止することで、現行iPhoneと同じ操作感を実現しています。ホーム画面への移動は画面下から上へのスワイプで行うジェスチャー操作となり、iPhone 14や15と同じ使い勝手を提供します。
インカメラ周りのデザインは、iPhone 14と同様の「ノッチ」を採用しています。一方、iPhone 15が採用しているDynamic Islandは搭載されていません。そのため、通知の表示方法は、音楽再生やUber Eatsなどの情報が画面上部に小さなアイコンとして表示される従来の方式となります。
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iPhone 16eには、これまでiPhone 15 Proのみに搭載されていたアクションボタンが採用されています。このボタンはカメラやフラッシュライト、集中モードなど、よく使う機能へのクイックアクセスを可能にします。また、ビジュアルインテリジェンス機能と組み合わせることで、カメラを向けた物体の認識や情報検索なども簡単に行えます。
外部端子についてはiPhone 14のLightningポートから、USB Type-C端子へと移行しました。これにより、Androidスマートフォンやスマート家電と同じケーブルが使用可能となり、入手性も向上しています。ただし、iPhone 15と同じUSB 2.0相当の転送速度ながら、DisplayPort出力には対応していません。そのため、ARグラスなどへの画面出力はできない仕様となっています。
充電に関しては、iPhone 16eはQiワイヤレス充電(7.5W)に対応していますが、iPhone 15が対応しているMagSafe充電(最大25W)には非対応となっています。MagSafe対応のアクセサリーやケース、充電器は使用できません。
●プロセッサや最新の「A18チップ」を搭載
iPhone 16eの大きな特徴は、最新のA18チップを搭載している点です。これまでiPhone 14やiPhone 15のノーマルモデルでは、同年のProモデルより1世代前のチップを搭載していましたが、16eではその方針を変更しています。そのためiPhone 14(A15 Bionic)、iPhone 15(A16 Bionic)と比べると、2〜3世代分の性能差があります。
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CPUは6コア構成(2つの高性能コアと4つの高効率コア)を採用し、日常的な操作から負荷の高い処理まで快適に行えます。GPUについては4コア構成となっており、iPhone 16の5コアとは異なります。ただし新世代のアーキテクチャを採用しているため、単純なコア数での性能比較はできません。
●Apple Intelligenceを利用できる最安モデル
高性能なA18チップを搭載した理由の1つが、新しいAI機能「Apple Intelligence」への対応です。この機能は端末内のAIとクラウドのAIを組み合わせて動作し、さまざまな便利機能を提供します。
以前より自然な会話ができるようになったSiriは、キーボードからの入力にも対応するようになりました。さらに文章のトーンを編集できるライティングツールや、オリジナルの絵文字を作成できるGenmojiも新たに搭載されています。写真関連では、不要な被写体を消去できるクリーンアップツール、自然言語での写真検索、画像生成のImage Playgroundなどが利用可能です。
これらの機能はiPhone 14やiPhone 15では利用できず、16eが最も手頃な価格で利用できるモデルとなります。ただし日本語対応は2025年4月からの予定です。
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●4800万画素のシングルカメラ、劣化を抑えた2倍ズームには対応
iPhone 16eは48メガピクセルのシングルカメラ(単眼)を搭載しています。iPhone 16と同じ高解像度センサーを採用し、広角撮影に加えて、中央部分を切り取る2倍ズーム撮影(12メガピクセル相当)にも対応します。これにより、暗所に強い広角カメラと、標準的な明るさで使えるズームカメラの機能を1つのレンズで実現しています。なお、この48メガピクセルセンサーはiPhone 15にも搭載されているものです。
一方で、iPhone 15/14が持つ超広角カメラ(35mm換算で13mm相当)は省略されています。この違いは特にポートレートモードでの撮影に影響があり、iPhone 15/14で可能だった撮影後のフォーカス範囲調整などの機能は利用できません。
●Apple開発の自社モデムを初搭載、バッテリーの持ちが向上
iPhone 16eでは、Appleとして初めての自社開発モデム「Apple C1」を採用しています。このモデムチップは携帯電話網やWi-Fiへの接続を担当するもので、電力効率が大幅に向上しています。その結果、バッテリー持続時間はビデオ再生で最大26時間を実現。iPhone 15/14の20時間から6時間の延長となりました。
ただし、通信面では注意が必要な点もあります。これまでのiPhoneが対応していた4Gの1500MHz帯(Band 11、Band 21)に非対応となっています。特にBand 21はNTTドコモが地方エリアの整備に活用している周波数帯のため、地域によっては通信の安定性に影響が出る可能性があります。
また、プロセッサとモデムチップの両方が新開発品となるため、予期せぬ不具合が発生する可能性も考慮する必要があります。通信の安定性を重視する場合は、実績のあるiPhone 15の選択も検討に値するでしょう。
●iPhone 16eは確かに安いが、iPhone 15との価格差は少ない
iPhone 16eは、従来のiPhone SEシリーズと比べると高めの価格設定となっています。Apple Storeでの販売価格は、iPhone 16eの128GBモデルが9万9800円(税込み、以下同)から、256GBモデルが11万4800円から、512GBモデルが14万4800円からとなっています。24回払いの場合は、それぞれ月額4158円から、4783円から、6033円からです。
一方、iPhone 15は128GBモデルが11万2800円から、256GBモデルが12万7800円から、512GBモデルが15万7800円からとなっています。24回払いでは、それぞれ月額4700円から、5325円から、6575円からです。iPhone 14については、16eの発表とともにApple Storeでの販売が終了し、取扱店での在庫限りの販売となっています。
キャリア販売では価格差が異なってきます。例えばNTTドコモの128GBモデルでは、iPhone 16eが10万9780円(2年後返却で4万3780円)、iPhone 15が10万9758円(同4万4022円)、iPhone 14が10万7041円(同2万2033円)となっています。さらにMNP割引を適用すると、2年後返却での実質負担額はiPhone 16eが1210円、15が4895円、14が3333円と、大きな差がなくなります。
●iPhone 16eはどんな人におすすめ? 機種選定のポイント
iPhone 16eは、最新のApple Intelligenceへの対応と優れたバッテリー持続時間が魅力です。新しいAI機能を使いたい人や、長時間の利用を重視する人に向いています。ただし、通信バンドの制限や新開発チップの採用には注意が必要です。
iPhone 15は、Dynamic IslandやDisplayPort出力、超広角カメラなど、より多彩な機能を備えています。また、実績のある設計で安定した通信にも対応しており、カメラ機能や拡張性を重視する人に適しています。
iPhone 14は、一括購入価格の安さが魅力です。Lightning端子の採用や今後のiOSアップデート期間を考慮する必要はありますが、長期使用を予定している方には選択肢となるでしょう。
ただし、キャリアの割引プログラムを利用する場合、特に2年後の返却を前提とするなら、実質負担額に大きな差はありません。その場合は、最新機能を備えたiPhone 16eか、完成度の高いiPhone 15の選択が合理的な判断となるでしょう。
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