山林火災の影響で避難所で過ごす子どもら=27日午後、岩手県大船渡市 80棟超の建物が延焼するなど被害が拡大する岩手県大船渡市の山林火災。住民からは27日、「大震災を思い出した」「いつまで避難すればいいのか」などと不安の声が聞かれた。
同市三陸町の三陸公民館に身を寄せた約300人は同日、落ち着かない一日を過ごした。娘や孫と26日から避難する無職坂本幹夫さん(70)は「避難中に道路が見えなくなるくらいのすす煙に遭遇し、危険だと感じた」と振り返る。
同様に26日から夫婦で避難する袖野美紀子さん(75)は財布と毛布だけを手に自宅を出た。27日に自宅に一度戻ると、火が近くに迫り、「万一風向きが変わったら危ないと感じた」と話す。小学校の女性教諭(64)は「火災で家がなくなるかもと思い、14年前の東日本大震災を思い出した」とおびえた表情で語った。
同館に入る越喜来地区公民館の鈴木健悦館長(76)によると、避難者には高齢者が多く「避難はいつまで続くのか」などの声が出ている。鈴木さんは「東日本大震災でも避難所を運営したことがある。その経験を生かし、避難者が少しでも快適に過ごせるようにしたい」と力を込めた。
約150人が避難する市立越喜来小の近くにある飲食店の女性店主(66)は「火災がどこまで拡大するのか…」とおびえた様子。店から火災の煙が見えるといい、店主は「自分ができる支援として、避難者や消火活動に当たる消防団員らに食事を無償で提供したい。これ以上被害が拡大しないでほしい」と祈るように話した。
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岩手県大船渡市で発生した山林火災=27日午後
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山林火災の影響で避難した住民ら=27日午後、岩手県大船渡市