本格的な花粉シーズンがやってきた。
しかも今シーズンは、昨夏の猛暑、昨年の飛散量の少なさ、乾燥している気候などの条件が重なり、この10年で花粉が飛ぶ量がもっとも多いとの予測もある。
そんな“最恐花粉”の襲来に立ち向かうべき、鼻やのどの「粘膜」のコンディションが悪化している人が急増中だという。
神鋼記念病院耳鼻咽喉科部長の浦長瀬昌宏先生が語る。
「もっとも外敵にさらされる鼻やのどの粘膜には、免疫細胞が存在し、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入するのを食い止める盾の役割を果たしています。
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粘膜は低温・乾燥が苦手で、寒くて乾いた冬には機能が低下します。
とくに今シーズンはインフルエンザの大流行に加え、風邪の原因となるさまざまなウイルスも猛威をふるいました。
病原体と戦ったり、鼻を強くかんだり、き込んだり、鼻の穴を触ったりすることで粘膜に大きなダメージを負っている人が多いのです」
さらには粘膜も老化は免れず、50〜60代からコンディションが低下するという。
そんな機能が低下した粘膜で花粉飛散の本格シーズンを迎えると……。
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「粘膜の状態の悪化は、免疫力の低下を意味します。
花粉症の症状が悪化するだけでなく、病原体に感染しやすくなりや肺炎、気管支炎などの二次感染のリスクも上がります。
また60代以上の人で、花粉症の症状が以前より軽くなったという人もいます。
アレルギー反応は正常な反応が強く出すぎるもので、粘膜が元気なら反応も大きく出るもの。花粉症の症状が軽減したことは、粘膜自体が老化して機能が低下している可能性もあります」(浦長瀬先生、以下同)
粘膜の状態をつねに整えておくことで、花粉症をはじめとしたアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など鼻の病気だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞、がんといった病気にもかかりにくくなるという。
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そんな粘膜の機能を高めるにはどうすればいいのだろうか?
「鼻やのどの粘膜は加湿・加温することで血流が改善してコンディションが整っていきます。
ふだんから鼻呼吸をしたり、マスクをつけたりと粘膜を意識した生活を心がけること。
暖かい蒸気で鼻やのどをケアする吸入器を使うのも粘膜ケアに最適です。
私も鼻の調子が悪くなったときは、ぬるめのお風呂に長く入ったり、加熱式の加湿器をつけて寝たりします」
■玉ねぎに含まれる硫化アリルで粘膜を整える
さらに身近な食材を使った意外な“粘膜の整え方”もある。
「玉ねぎの独特な匂い成分である『硫化アリル』には、粘膜の再生に役立つビタミンB1の吸収と活性化を促す作用があります。
また玉ねぎには、ポリフェノールの一種でアレルギー反応を引き起こすヒスタミンの放出を抑える作用がある抗酸化成分『ケルセチン』など、粘膜にいい成分が豊富に含まれています。
玉ねぎは皮ごとスライサーで薄く切って水にさらさずにビニール袋に。その匂いを思いっきり鼻で吸いこむと鼻がとおります」
“玉ねぎスーハー”は粘膜が花粉によるダメージを受けている夜にやるのが効果的。寝る前30秒のスーハーでつらい季節を乗り切ろう。
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