写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2022年2月18日 記事は取材時の状況)
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人にはそれぞれ歴史が隠されています。時としてそれは家族であっても明かすことができない重大な秘密であることも。今回は夫には絶対に明かせない超ド級の秘密を抱えた妻のエピソードをご紹介します。
◆イケメンで子煩悩な夫の唯一の欠点
今回お話を伺った小夜子さん(仮名・45歳)は、高2の息子と夫の3人暮らし。東京都下の閑静な住宅街に住んでいます。仲睦まじい家族に見えますが、実はここまで結婚生活を維持するのには大変な苦労があったそうです。
「主人の女癖に問題があって、何度も離婚の危機を迎えました。しかも、モテるんですよ。だから余計にたちが悪いんです……」
小夜子さんの夫はデパートに勤務しており、甘いルックスに加えて、年齢よりも若く見えます。さらにデパート勤務でお客さんの前に出るということもあって身だしなみにも人一倍気を付けています。
さらに、女性が多く勤務している職場ということもあって、イケメン既婚男性である小夜子さんの夫は放っておいてもモテてしまうのだとか……。
「主人も優しい性格だから断れないんでしょうね。それでいつもトラブルになっているというのに」
女性関係にルーズなのは致命的ですが、子煩悩で誰にでも優しい夫のことを、小夜子さんは心から愛しています。
しかし小夜子さんはそんな夫にも絶対に言えない隠し事がありました。
◆幸せな家族に隠された秘密
「実は高2の息子の本当の父親は、主人ではありません。息子の本当の父親は、主人の弟なんです。このことを知っている数少ない仲の良い友人には『まるでドラマみたいね』なんて言われます。確かにそうだな、と自分でも思いますが、これは紛れもない事実です」
小夜子さんの夫の実弟は双子で、不慮の事故で他界してしまっているそうです。
「主人の実弟は交通事故でこの世を既に去ってしまっています。事故があったのは、私と主人が結婚してすぐのことでした……」
◆結婚式の一週間前に、一晩の過ちを犯す
結婚式を一週間後に控えたある日の夜のことです。当時、小夜子さんは新大阪に住んでいました。飲み会が長引き、終電を逃してしまった夫の実弟が泊めてもらいにやってきました。
双子ということもあって、夫と顔のパーツはそっくり。それでも、弟の方はヒゲを生やしていてワイルドな印象だったそうです。
「やはり、主人に似てイケメンでした。もう結婚も決まって式の準備も進めていたので、家族同然だと思っていました。二人きりで飲みなおしているうちに、いい感じの雰囲気になりました。主人に悪いとは思いましたが、やはり雌の本能に逆らうことはできませんでした」
そうして、二人は身体を重ねてしまいました。
◆妊娠した小夜子さんの、謎の確信
一夜の過ちがあった日の週末、小夜子さんは結婚式を挙げ、関西国際空港からハネムーンへと旅立ちます。
小夜子さんはあの夜の過ちに嫌な予感がしたため、初夜にはピルを服用して臨みました。その後、予感は的中し小夜子さんは第一子を妊娠し今日に至るのです。
「妊娠が分かった時は、ああ、やっぱりそっか、と妙に冷静な気持ちでした。中絶をして全てを無かったことにしようかと考えたこともありますが、生まれてくる命には罪はありませんから……」
小夜子さんは伏し目がちに言います。もっとも、ピルは多くの場合、飲んだ当日から避妊効果があるわけではないので、夫の子かもしれません。でも、小夜子さんは、義弟の子だとなぜか確信しているようなのです。
そして、夫に打ち明けるつもりもなかったといいます。
「その時、既に何度も浮気で泣かされていましたから、復讐の気持ちもあったのかもしれません。私さえ黙っていれば、このことは誰にもバレませんからね」
◆棺の前で生むことを決心
小夜子さんがお腹にいる赤ちゃんを産みたいと思ったのは、夫の実弟が不慮の事故で亡くなったことも大きいようです。ちょうど彼が亡くなった時期が、中絶が可能な週が目前に迫っていた時だったのです。
「彼の棺の前で手を合わせたとき、私はこの子を産むことを決心しました。そして、夫にもこのことは言わないということも……」
赤ちゃんを出産した時のことは今でも覚えているそうです。
「主人に似ているけれど、紛れもなく弟の子どもであると、私だけには分かりました。もしかしたら多くの人にとっては理解すらできないかもしれませんが、私にとっては人生最高の瞬間でした。だって、主人の亡くなった弟を手に入れることができたわけですから。主人は何があっても私から離れることはできません」
◆息子のことは世界で一番愛してる
「もちろんどの親でもそうだと思いますが、息子のことは世界で一番愛していますよ。それは変わりありません」
小夜子さんはにっこりと微笑みました。今でも家族での墓参りは欠かしません。このことだけは墓場まで持っていくつもりだそうです。
まるでドラマのような出来事がこの世にはあるものです。一見幸せそうに見える家族であっても、その裏には何か隠されているのかもしれません。
<文/浅川玲奈>
【浅川玲奈】
平安京で生まれ江戸で育ったアラサー文学少女、と自分で言ってしまう婚活マニア。最近の日課は近所の雑貨店で買ってきたサボテンの観察。シアワセになりたいがクチぐせ。